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マンションを売却するとき、買取は損になると思っていませんか?確かに買取だと、仲介で売却するより受け取る金額は少なくなることが一般的です。一見、損をしているようにも見えますが、実はその分、別のメリットもあるのです。買取が仲介よりも安くなってしまう理由と、それを補うメリットの部分について説明します。
マンション買取と仲介の違いとは?
マンションの売却には、仲介と買取という2つの方法があります。まず、それぞれの特徴について見ていきましょう。
仲介とは
仲介とは、売却のためのさまざまな活動を仲介業者に代行してもらいながら買主を見つける方法です。売主は仲介業者と媒介契約を結び、広告や内覧受付などの販売活動や、契約に伴う諸事務などを依頼します。その代わり売買契約が成立したときは、売主は成功報酬として、仲介業者に仲介手数料を支払うことになります。
マンションの販売価格をいくらにするかは仲介業者のアドバイスを受けつつ、最終的には売主が決めるので、自分の希望に近い価格で売却が叶う可能性があります。ただし、買主がすぐに見つかるかどうかはわかりません。価格設定が適切であれば、スムーズな売却が期待できますが、逆に価格設定が高すぎる場合などは、物件が売れ残ってしまうリスクがあります。
一般的には売却完了までかかる期間は5か月程度ですが、物件の状態や不動産市況によっては1年以上かかることもあります。そのため売却完了までのスケジュールが流動的になりがちです。
買取とは
買取とは、不動産会社または買取業者にマンションを買い取ってもらうことです。売主は直接買取業者と売買契約を結んで、決済日にマンションを引き渡します。
ここからは、買取の特徴について詳しく見ていきましょう。
マンションの買取は仲介に比べて買取価格が安いことがデメリット
マンション買取の一番のデメリットは、仲介に比べると売却価格が安いということでしょう。実際の価格は業者によって異なりますが、だいたい市場の売却価格の7〜8割程度になるのが一般的です。なぜ買取のほうが、価格が安くなってしまうのでしょうか。
買取業者は、買い取った物件をリフォームし、新しい付加価値をつけて再販売することで利益を得ます。そこで販売利益はもちろん、リフォームや販売活動に伴う費用、売れ残った場合の在庫リスクなどもあらかじめ見込んだうえで、買取額を提示します。したがって、どうしても買取のほうが仲介よりも価格が安くなってしまうのです。
仲介のデメリットとは
なるべく高く売りたいなら、仲介のほうが有利に思えます。とはいえ仲介でも、価格設定が高かったり、宣伝や広告が十分でなかったりして物件が売れ残ってしまったら、売却価格の値下げを検討することが一般的です。また、うまく売買契約が成立すれば、成功報酬として仲介業者に仲介手数料を支払わなければなりません。仲介手数料は一般的に売却価格の3%+6万円+消費税(昭和45年建設省告示第1552号(PDF)より)が相場とされていますから、決して安くはありません。ほかにも、売り出す前に必要に応じてハウスクリーニングやリフォームなどを売主負担で行うこともあります。
このように、仲介にかかる諸費用と手間もしっかり考慮したうえで、仲介と買取のどちらの方法が自分の希望に近い形か、考えてみてはいかがでしょうか。
マンション買取ならではの6つのメリット
買取価格の面だけを見るとデメリットが大きいように思える買取ですが、仲介にはないメリットもあります。
メリット1:短期間で売れやすい
買取は、不動産会社または買取業者と価格面で折り合えば、すぐに売却できます。販売活動のために室内をリフォームしたり、買主が見つかるまで待ったりする必要がありません。従って、あくまで目安であり業者や物件の状況、不動産市況によって異なりますが、最短2週間、平均1か月程度で売却が完了することもあります。交渉する相手がプロの業者だけで済むため、手続きも簡便です。
転勤や進学を契機とした住み替えや、相続税の支払い期限が迫っているなど、売却期間がはじめから決まっている場合にはスケジュールが立てやすい買取がおすすめです。
メリット2:条件の悪いマンションでも売却できる可能性がある
間取りや立地環境が悪いマンションは仲介ではなかなか売れないものですが、買取なら一般的には不人気な物件でも買い取ってもらえる可能性があります。買取業者はリフォームやリノベーションをして付加価値をつけてから再販することを前提としていますから、売れると判断した物件は買い取ります。築年数が古くて修繕が必要な場合や、仲介に出しても売れずに残ってしまった物件などは、買取で検討し直してみるといいでしょう。
メリット3:契約不適合責任が発生しない
マンションを売却したあとで、契約書に記載されていない瑕疵や不具合が見つかった場合、一般的には売主が責任を負わなければなりません。これを契約不適合責任と言い、仲介による売買契約を結ぶときはとくに注意しなければならない点です。ところが買取は買主がプロの業者なので、素人である売主の責任は特約に盛り込まれ、免責されることが多いです。このような特約が契約に含まれている場合、売主は買取後に発見された不具合に対して責任を負う必要がなくなります。
このように、基本的に買取なら売却後のトラブルを心配する必要がありません。ただし、売主が故意に不具合を隠し、重大な欠陥を業者に伝えなかった場合、特約があっても責任を負うことがあるため、隠さず正直に伝えましょう。不明な点があれば専門家(弁護士や司法書士)に相談することもおすすめです。
メリット4:まわりに知られず売却できる
仲介では、物件を販売するため広告を出して、室内や外観の写真を掲載したり、インターネットで閲覧できるようにしたりします。個人情報は保護されているとはいえ、写真を見ればどの物件が売りに出ているのかは特定されやすいでしょう。
買取は販売活動をする必要がないので、売却情報は買主である買取業者しか知りません。周囲に売却情報が漏れにくいため、周囲に売却を知られたくない事情があるときには買取がおすすめです。プライバシーの保護は、買取が選ばれる理由のひとつです。
メリット5:何度もの内覧の対応が不要
仲介の場合、購入希望者が内覧を希望したら対応しなければなりません。内覧は、相手に購入を決断させる絶好の機会なので、売主は掃除や片づけ、場合によってはハウスクリーニングを依頼する必要も出てくるでしょう。また、内覧当日は売主も同席するため、スケジュールの調整や購入希望者の応対など、何かと気忙しいことが続きます。さらに内覧は一度きりとは限りません。
その点、買取の場合、室内を見るのは査定をする業者のみで一度で済みます。現状のままの買取が基本なので、掃除や片づけに手間をかける必要がありません。
メリット6:仲介手数料がかからない
仲介手数料とは、媒介契約を結んだ仲介業者に、物件が売れたときの成功報酬として支払う金額のことです。売買金額によって上限が定められているとはいえ、売却に関わる費用の中でもかなり大きな割合を占めています。買取なら業者との直接取引なので、仲介手数料はかかりません。
マンション買取が向いているケース
マンションの売却を検討する場合、仲介よりも買取のほうが向いているケースがあります。いくつかご紹介してみましょう。
売却期限が決まっている
子どもの進学や職場の転勤を機に住み替えをするときは、なるべく早く売却して引越しを終えたいものです。あるいは離婚や相続の関係で急いで現金化する必要があるときや、借金の返済期限が迫っている場合など、売却期限が決まっていてスケジュールに余裕がないときは、短期間で売却可能な買取のほうが向いていると言えるでしょう。
仲介で売りにくい条件のマンション
仲介ではなかなか買い手のつかない不人気なマンションは、買取を検討してみるといいでしょう。間取りが悪いもの、付帯設備に不具合があるもの、築年数が古くてリフォームやリノベーションしなければ売れそうにないものなどは、仲介よりも買取のほうが早く売れる可能性があります。
そのほか、売却を人に知られたくない事情があるときは、物件広告を出す仲介は不向きです。その場合は買取を検討することをおすすめします。
業者選びのポイント
買取は仲介に比べて買取価格が安いというデメリットがありますが、仲介にはない、いろいろなメリットもあります。なるべく早く売却したい、不用品の片づけや室内の掃除に時間と手間を取られたくない、人に知られたくないなどのさまざまな事情にも柔軟に対応できるのが買取です。
ただ、こうしたメリットを最大限に活用するには、何よりも信頼できる業者選びが大切です。まずはマンション買取の取引実績が多い業者か確かめ、適正価格で買取してもらうためにも業者選びは慎重に行いましょう。
必ず訪問査定も受けて、査定価格の根拠をしっかり聞いて、納得のいく返答が得られるか確かめてみてください。買取の査定価格は市場価格よりも低く設定されることが多いとはいえ、許容できる範囲の価格かどうか確認しましょう。
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