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「マンションを売ろう」
そう思ったときに何をしたらいいのでしょう? マンションの売却には、 仲介で売る方法のほかに、買取業者に直接マンションを買い取ってもらう「買取」という方法があります。
ここでは、マンションの買取とはどのようなものなのか、仲介との違いやメリット、デメリットについてわかりやすく説明します。
マンション買取とは?仲介との違い
冒頭でも説明したとおり、マンションを売るためには「買取」と「仲介」の2つの方法があります。この2つの違いについて見ていきましょう。
買取とは
買取とは、不動産買取業者に直接物件を買い取ってもらう方法です。買取業者は買い取ったマンションに対してリフォームなどを行って付加価値を加え、買取価格よりも高い価格で売り出して利益を得ます。
再販時の利益確保を前提としていることや、後述する契約不適合責任が免責になる(売る側は買取後の保証をしなくていい)ほか、必要な修繕や改修などの費用負担も考慮するため、買取の場合の売却価格は、仲介の相場よりやや低めとなります。
仲介とは
仲介とは、不動産仲介業者が、売主と買主をつなぎ、売買契約を成立させる方法です。
仲介業者は、売主と相談しながら価格を決め、広告や見学活動を行い、売却をサポートします。マンションの売買が成立すると、売主は、買主が支払う金額を受け取り、仲介業者に対して成功報酬として仲介手数料を支払います。
マンション買取のメリット
では、マンション買取のメリットとは何でしょうか。
仲介に比べて早く売却できる
マンション買取の場合は、買取業者が査定した価格がそのまま買取価格となります。買主を探す時間が不要になるため、査定価格に納得できればすぐに現金化できます。買取の場合、売却終了までの期間は、状況にもよりますが最短2週間、平均1か月ほどです。
仲介の場合は、査定価格をもとに売り出す価格を決め、広告を出すなどして販売活動を行いますが、その価格ですぐに売れるとは限りません。 もし反応が悪い場合には、販売価格を下げたりする対応が必要となります。仲介での売却期間は不動産会社とのやり取りも含めて 平均5か月程度と言われていますが、どの物件でもこの期間で売れるわけではありません。人気のない場合は1年たっても売れないことがあります。
売却に時間がかからず、スケジュールが組みやすいのが、買取の大きなメリットです。
条件の悪いマンションでも売却できる可能性がある
たとえば築年数が古かったり室内が傷んでいたりするマンションの場合、仲介でそのまま売るのは難しく、売主の負担でリフォームやハウスクリーニングが必要なケースがあります。買取の場合は買取業者が買い取った後にリフォームなどを行うことを前提としているので、 状態の悪いマンションでもそのまま売却できる可能性があります。
また、立地が悪いなどの理由で仲介では売りにくいマンションでも、リノベーションなど独自のノウハウを持っていたり、販売ルートを持っていたりする業者であれば買い取ってもらえることがあります。
すべてのマンションが買取可能というわけではありませんが 、条件が悪いと思われるマンションも、買取が可能かまず相談してみるとよいでしょう。
契約不適合責任が発生しない
仲介でマンションを売却する場合、売主には買主に対して契約不適合責任が発生します。マンション売却後に欠陥や不具合が見つかった場合、買主は売主に対して契約不適合責任を主張でき、売主は物件の修理をしたり損害賠償を行ったりしなければなりません。
契約不適合責任は不動産に詳しくない買主を保護するための制度なので、売主が個人で買主が業者である買取の場合、基本的には双方の合意により契約不適合責任を免除する特約を設定できます。ただし、虚偽の情報が発覚した場合、業者との信頼関係が損なわれ、その後の取引が不利になる可能性があるため、売主は誠実に物件の重要事項や不具合を開示することが望ましいです。
まわりに知られず売却できる
仲介の場合は、チラシを配布したり、インターネットに物件情報を載せたりする販売活動が必要となります。マンションを売ろうとしていること、そして売却価格や間取りなどもオープンになってしまいます。
マンション買取の場合は、販売活動が必要ないので、まわりに知られることなく売却を完了できます。
内覧の対応を何度もしなくていい
仲介で売却する場合、内覧を希望されるとその都度対応しなければなりません。内覧の際に部屋がきれいかどうかは買い手の心理に影響するので、念入りに掃除して部屋を片付けておくなどの準備が必要です。また、個人ではなかなか手の及ばない共用部の状態が判断基準とされることもあります。内覧希望者に感じよく接することも大切なので、内覧対応はいろいろと神経を使うことが多く、一度で終了するとは限りません。
買取の場合は、内覧対応が必要となるのは買取業者が査定のためにチェックする一度だけです。前述した通り、リフォームなどをすることが前提となっているので、部屋を特別きれいにしておく必要もありません。
仲介手数料がかからない
仲介業者が売主の販売活動を行ってサポートする仲介の場合は、売買契約が成立すると、仲介業者に成功報酬として仲介手数料を支払わなければなりません。
仲介手数料は、売却金額が400万円を超える場合、取引額×3%+6万円+消費税となるのが一般的で、不動産売却にかかる手数料のなかでも大きな金額になります。
買取の場合は仲介業務がないので、仲介手数料は不要です。
マンション買取のデメリット
次に、マンション買取のデメリットについて説明します。
仲介に比べて売却価格が安くなる
マンション買取の最大のデメリットは、買取価格が仲介による売却価格の相場よりも安くなることでしょう。 買取価格は物件にもよりますが、売却価格の7、8割程度になるケースが多いようです。
前述したように買取業者はリフォームなどをして再販売することを前提としていることや、買取後に見つかるかもしれない不具合への修繕費も事前に考慮するからです。結果、マンションの買取価格は相場よりも低くなるのです。
売却価格を上げるためにできることがほとんどない
仲介の場合は、仲介手数料がかかるものの、少しでも高く売りたいと考えたときに、高めの価格で売り出して反応を見るといった戦略を取ることができます。また、内覧の際の印象をよくするために部屋の中をきれいにしたり、場合によってはご自身の負担でリフォームしたりすることも、売却価格を高くすることにつながります。
しかし、買取の場合は、査定された金額を上げるためにできることはほとんどありません。 少しでも高く売るためには、複数の買取業者に査定を依頼し、提示された価格やその他の条件をしっかり検討して、納得できるまで業者と交渉しましょう。
マンション買取の流れ
マンション買取の場合、決済、引き渡しまでの期間は、売買契約を結んでからおよそ2週間〜1か月程度になることが一般的です。マンション買取のスケジュールは以下のような流れになります。
ステップ1:買取査定を依頼する
まず、マンション買取を扱っている買取業者を調べ、買取の査定を依頼します。だいたいの相場をつかむためにも、いくつかの買取業者に査定を依頼し、価格を比較してみるといいでしょう。
最初は、売却を希望しているマンションの基礎的な情報をもとに簡易査定(机上査定)が行われます。簡易査定では、マンションの間取りや築年数、立地条件、周辺の売却相場などをもとに、概算の買取価格が示されます。
ステップ2:訪問査定を受ける
訪問査定とは、マンションの状態や周辺の環境などを調べるために、買取業者が実際に物件を見て査定することです。簡易査定と訪問査定の結果を総合的に勘案して、最終的な査定額が提示されます。
ステップ3:買取金額や条件を検討する
買取業者から査定額が提示されたら、自分の希望金額や、周辺の売却価格などを参考にしながら、妥当な金額かどうかを検討します。一般的に示されている売却価格の相場は、仲介の金額であることも考慮しながら判断しましょう。あわせて、売却までのスケジュールや、家財道具をどうするかといった条件についても買取業者と確認しておきましょう。
ステップ4:売買契約を結ぶ
買取金額や引き渡しのスケジュールなどについて買取業者との間で合意できれば、売買契約となります。収入印紙を貼付した売買契約書を作成します。
通常、契約を結んだ時点で、買取業者は手付金として一般的に売買金額の10%程度を売主側に支払うことが多いようです。残りは売主と買取業者との間で定めた決済日に残代金として支払われます。なお、決済日を過ぎて買取業者が残りの代金を支払えない場合は、遅延損害金を請求できます。
ステップ5:決済・引き渡し
決済が終了したら、マンションの引き渡しとなります。鍵を買取業者に渡せば、引き渡しの終了です。
ステップ6:確定申告
もしマンションの売買で利益が生じたら、その売却益(譲渡所得)について確定申告をしなければなりません。確定申告は売買を行った年の翌年に行います。
詳しくは次の記事をご覧ください。
マンション買取業者を選ぶポイント
マンション買取の場合は 査定価格がほぼそのまま買取価格となるため、どこに買取を依頼するかが大切になります。マンション買取業者を選ぶポイントは以下の通りです。
信頼できるかどうか
マンション売却は大きな金額が動くだけに、マンションの買取実績が豊富な、信頼できる業者を選ぶことが大切です。買取業者には、それぞれ得意分野があります。戸建てを中心に扱っている業者もあれば、都市部のマンションだけを扱っている業者もあります。マンションの買取を専門に扱っている業者であれば、買取のノウハウもあり、トラブルなくスムーズに進められる可能性が高いと言えるでしょう。
提示された査定金額は適切か
買取の場合は、査定金額が高いかどうかは大きな判断基準となります。金額だけでなく内容についてもきちんと確認しましょう。たとえば、不要な家財道具を残した状態で引き渡す場合、別途、処理費用が必要となる買取業者もあります。処理費用を差し引くと他社よりも金額が低くなるケースもあるので、手数料なども含めて条件を確認することが大切です。同じエリアの売買情報を確認したり、疑問があれば信頼できる買取業者の窓口に相談するとよいでしょう。
マンションを高く買い取ってもらえる時期はいつ?
「少しでも高く買い取ってもらいたい」。そう思ったときに狙うべきタイミングはあるのでしょうか。おすすめなのは、マンション価格の相場が上昇局面にある時期です。
相場が好調だと、業者も買い取ったマンションをスムーズに転売できるので、高値で買い取ってもらえる可能性が高くなります。マンション価格が下落局面だと、業者が買い取っても損失を被る可能性が高まるため、積極的に買い取れない場合も出てきます。
現在(2023年4月時点)は、日本の低金利政策が継続しているので、買取には比較的よいタイミングと考えられます。買取業者も金融機関から融資を受けて買取をするので、金利が上がると買取にも影響が表れます。買取を考えるときは、マンションの価格上昇が踊り場を迎えていないか、長期金利が上昇し始めていないか、なども考慮に入れておく必要があります。
マンション買取の特徴を活かして利用しましょう
ここまで説明したように、マンション買取には、仲介にはない特徴があります。とくに、急な引越しや相続、離婚などで早く現金化したい場合、マンション買取は、手間やコストがかからずトータルでメリットの多い方法だと言えるでしょう。
マンション買取の場合は、どこに買取を依頼するかが大切なポイントとなります。信頼できる業者を選んで、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
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