家族信託に必要な書類とは?状況別にわかりやすく紹介

2024.05.13

家族信託を始めるにあたって求められる書類は、司法書士などの専門家に依頼する際や信託契約公正証書を作成する場合、そして信託口座を開設する場合など、場面ごとに異なります。

こうした書類のなかには、法務局やお住まいの地域の役場で発行してもらう必要のあるものも少なくありません。家族信託をスムーズに進めるためにも、必要書類を事前に把握し、計画的に準備を進めましょう。

ここでは、家族信託における必要書類を手続きのステップごとに解説します。

家族信託を始めるにあたって必要な書類

家族信託を契約するには、必要書類を不備のないよう提出する必要があります。以下の表では、一般的に必要となる書類を状況別にまとめたものになります。

なお、ご紹介する必要書類はあくまでも一例で、依頼者の方の状況や依頼内容によっては、追加で別の書類を求められるかもしれません。詳しくは、依頼する司法書士や家族信託サービスを提供する会社から案内があるため、それをもとにいつまでにどの書類を準備するのかリストアップしておくと安心です。

■司法書士などの専門家への依頼時(家族信託の契約が決まった場合)

必要書類 内容 入手方法
本人確認書類 ・運転免許証
・パスポート
・マイナンバーカードなど
依頼者のものを用意する
信託財産に関する資料 ・不動産の登記事項証明書
・固定資産税納税証明書
・証券口座の預入資産がわかる書類
・保険証券のコピー
・預金通帳など
法務局や金融機関で入手する
委託者の家族構成がわかる資料 ・戸籍謄本
・住民票
・相続関係説明図など
市区町村役場の窓口で入手する

■公正証書の作成時

必要書類 内容 入手方法
本人確認書類 ・運転免許証
・パスポート
・マイナンバーカードなど
委託者と受託者、
そのほかの当事者で各々用意する
家族信託に関係する親族の書類 ・戸籍謄本
・住民票(交付3ヵ月以内のもの)
信託契約に関係する方全員分を
市区町村役場で用意する
信託契約公正証書に使用する実印の証明書 ・印鑑証明書 委託者と受託者で
各々市区町村役場に請求する
信託契約公正証書で信託する不動産を特定するための書類
(※)
・不動産の登記事項証明書 委託者または受託者が
法務局に請求する
不動産の評価額を確認するための書類 ・不動産の固定資産評価証明書 委託者が市区町村役場に請求する

※不動産を信託財産に含める場合

■信託口口座の開設時

必要書類 内容 入手方法
受託者の本人確認書類 ・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
受託者が用意する
受託者の信託口口座の印鑑 ・届出印 受託者の実印または銀行印を用意する
(印鑑登録証明書は不要)
信託契約締結時につくった公正証書 ・信託契約締公正証書 公証役場で謄本の交付を受け、提示する

司法書士などへの依頼時に必要となる書類

家族信託は専門家に依頼して手続きするのが一般的であり、主な依頼先として司法書士が挙げられます。司法書士が依頼者の状況を確認するため、基本的には以下のような必要書類を求められるでしょう。

書類名 内容 入手方法
本人確認書類 ・運転免許証
・パスポート
・マイナンバーカードなど
依頼者のものを用意する
信託財産に関する資料 ・不動産の登記事項証明書
・固定資産税納税証明書
・証券口座の預入資産がわかる書類
・保険証券のコピー
・預金通帳など
法務局や金融機関、証券会社の窓口などで入手する
委託者の家族構成がわかる資料 ・戸籍謄本
・住民票
・自作の相続関係説明図
市区町村役場の窓口で入手する

これらの書類は依頼者側で準備するほか、なかには家族信託の依頼先である司法書士などが代理人として取得できるものもあります。その場合、実印を押印した委任状が必要です。契約者ご本人による書類の取得が難しいときには、代理人にそろえてもらうことを検討してみてください。

各書類・資料について確認していきましょう。

【1】本人確認書類

本人確認書類は、家族信託の契約締結や信託登記の手続きにおいて、依頼者の身元を確認するために不可欠な書類です。依頼者は、運転免許証やパスポートなど、公的機関が発行した顔写真付きの身分証明書を準備しておくようにしましょう。

また、家族信託の信託財産に不動産が含まれる場合、信託登記が必要になります。信託登記とは、不動産を受託者名義で管理できるようにするための手続きです。この信託登記の際、司法書士などの専門家による本人確認が行われる場合には、本人確認書類の提出が求められます。

【2】委託したい財産に関する資料

家族信託の依頼では、適切なコンサルティングから契約書作成に進むため、委託したい財産を特定できる情報と評価額を伝える必要があります。どのような財産をどれだけ所有しているのかが把握できるよう、信託財産ごとに必要となる適切な書類を準備しておきましょう。

委託したい財産の例 必要となる書類の例 入手先
預貯金 ・預金通帳
・残高証明書
手元にあるもののコピーを取るか、銀行に交付請求する
不動産 ・登記事項証明書
・登記済権利証(再発行不可)
・固定資産税評価証明書
・住宅ローンの残高証明書
それぞれ、法務局・所在地の
市区町村役場・金融機関に請求する
自動車 ・登録事項証明書
・購入時の契約書
・任意保険証の写し
手元にないものは、保険会社や運輸支局に問い合わせる
株などの有価証券 ・株券(非上場株式の場合)
・証券口座の残高証明書(上場株式の場合)
口座に預け入れているものは証券会社に請求する

なお、不動産の所有権を証明できる登記済権利証を紛失してしまっている場合、原則として再発行をしてもらうことはできません。この場合、法務局による事前通知もしくは司法書士などの専門家から本人確認情報を作成してもらうことで、登記申請が可能になります。

【3】委託者の家族構成がわかる資料

委託者や受託者、受益者など家族信託に関わる方の関係を明確にするため、戸籍謄本や住民票の準備が必要です。マイナンバーカードを持っている場合、これらの書類は一部のコンビニエンスストアに設置されているマルチコピー機でも取得できます。

また、相続関係説明図と呼ばれる、いわゆる家系図のようなものを求められるケースもあるでしょう。相続関係説明図は、ご家族の氏名、生年月日、死亡年月日、委託者ご本人との関係性などを明記し、作成します。委託者自身で作成できるほか、司法書士などに依頼をし準備してもらうことも可能です。

【監修者からひとこと】
直近の相続登記などで作成済みの相続関係説明図があれば、これを司法書士に渡すことで、家族信託の組成や契約の参考としてもらうこともできます。一般的には、初回説明時に口頭で家族関係を説明してから、戸籍謄本を集める(もしくは司法書士に集めてもらう)流れになります。

公正証書の作成時に必要となる書類

家族信託における公正証書は、正式には「信託契約公正証書」と呼ばれます。自分たちで信託契約書を作成するのではなく、法務大臣に任命された公証人を通じて契約締結した場合に作成される公文書です。

委託者や依頼したい司法書士だけで公正証書を完成させることはできず、全国にある公証役場へ連絡をする必要があります。

私文書による家族信託も可能ですが、内容の不備や契約の有効性によって、親族トラブルに発展する可能性も否定できません。信託契約公正証書には、契約内容を巡るトラブルを防ぐ効果のほかに、信託口口座の開設時に謄本(写し)を提出することで手続きがスムーズになるという側面もあります。

信託契約公正証書の作成時には、次のような書類が必要です。

書類名 内容 入手方法
本人確認書類 ・運転免許証
・パスポート
・マイナンバーカード
委託者と受託者、
そのほかの当事者で各々用意する
家族信託に関係する親族の書類 ・戸籍謄本
・住民票(交付3ヵ月以内のもの)
信託契約に関係する人全員分を
市区町村役場で用意する
信託契約公正証書に使用する実印の証明書 ・印鑑証明書 委託者と受託者で
各々市区町村役場に請求する
信託契約公正証書で信託する不動産を特定するための書類
(※)
・不動産の登記事項証明書 委託者または受託者が法務局で請求する
不動産の評価額を確認するための書類
(※)
・不動産の固定資産評価証明書 委託者が市区町村役場で請求する

※不動産を信託財産に含める場合


【1】本人確認書類

本人確認書類は、契約の当事者となるご本人が来所していることを公証人に確かめてもらうために必要です。委託者および受託者のほか、信託監督人・受託者代理人・受益者代理人など、信託財産の管理において重要な役割を担う人全員分を用意しておきます。

用意する書類は、顔写真付きの公的証明書であれば問題ありません。運転免許証やマイナンバーカード、運転経歴証明書などで対応できます。

【2】戸籍謄本・住民票

住民票は、契約書作成時点の現住所を証明し、謄本などを送付する際に誤りがないようにするために必要です。契約の当事者全員分の準備が必要となるため、それぞれの居住地の市区町村役場で発行しておきます。

一方の戸籍謄本は、家族信託の仕組み上必要なものです。信託契約は長期に及び、受益権の相続や信託契約の終了に伴う残余財産の帰属によって、事実上の遺産承継が生じる場合もあります。こうした兼ね合いで、遺言書を公正証書でつくるときなどと同様に、当事者の相続関係を証明しなければなりません。

当事者の戸籍謄本のうち委託者の分については、出生から現在までのすべてのものを取り寄せて、他の人の戸籍謄本と照合することで相続関係がわかるようにしましょう。全員の方に共通するのは、戸籍謄本は原則上、本籍地役場に行かないと取得できないという点です。

【3】実印・印鑑証明書

実印と印鑑証明書も、公証人による本人確認、契約書作成のために必要とされます。用意するのは、委託者と受託者のほか、信託監督人・受託者代理人・受益者代理人などの契約における重要な当事者です。信託監督人以下の当事者は司法書士や弁護士となることが多く、その場合は社印などを用意してもらうことになります。

印鑑証明書を取得できるのは、それぞれの居住地の市区町村役場です。実印の印鑑登録が済んでいない場合は、登録を済ませてから証明書を取得すると良いでしょう。

【4】不動産の登記事項証明書(不動産を信託財産に含める場合)

不動産を信託財産に含める場合は、信託契約公正証書で正確に特定するため、登記簿の写しである登記事項証明書が必要です。前提として、不動産の特定は郵便物が届く住所や新築時の資料ではできません。これらの情報は、土地や建物の情報(権利の状況を含む)を公示する「登記簿」の内容とは異なっていることが多いためです。

法的効力のある文書では、登記簿の写しである登記事項証明書から正確に情報を入手し、記入することが求められます。登記事項証明書は誰でも入手でき、法務局の窓口申請のほかにオンラインでの請求も可能です。委託者・受託者・依頼先の専門家のうちのどなたかが取得しておくようにしましょう。

【監修者からひとこと】
とくに建物の場合は、登記簿が作成されておらず、登記事項証明書の取り寄せができないものもあります。その場合は、新築時の資料か、現地の住所・写真を渡すと良いでしょう。

【5】不動産の固定資産評価証明書(不動産を信託財産に含める場合)

不動産の登記事項証明書を信託財産に含める場合は、固定資産評価証明書も必要です。不動産の課税評価額から、信託財産の規模を正確に証明し、公正証書の作成手数料を計算するために用いられます。

固定資産評価証明書は、不動産の所在地にある市区町村役場で入手が可能です。委託者の手元に届いている固定資産税納税通知書で事足りる場合もあるため、公証役場で確認してみると良いでしょう。

信託口口座の開設時に必要となる書類

信託口口座とは、家族信託で委託者の預貯金を管理する場合に、受託者自身の預金と区別するための口座です。信託法上の「分別管理義務」に従い、個人資産と混ざらないようにして管理するために欠かせません。

信託口口座開設を受け付けている銀行は多いものの、基本的には「司法書士などの専門家が作成した書類があること」などの事前審査があります。詳しくは、依頼先に確認してみましょう。

下表で紹介する書類のなかでとくに重要なのは、信託契約公正証書です。それぞれについて確認していきましょう。

書類名 内容 入手方法
受託者の本人確認書類 ・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
受託者が用意する
受託者の信託口口座の印鑑 ・届出印 受託者の実印または銀行印を用意する(印鑑登録証明書は不要)
信託契約締結時につくった公正証書 ・信託契約締公正証書 公証役場で謄本の交付を受け、提示する

【1】本人確認書類

本人確認書類は、口座開設者となる受託者の分が必要です。一般的な預金口座の開設と同様に、申し込んだ方がご本人かを確認するために用いられます。

基本的には、運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付きの公的証明書を提示すれば問題ありません。提示できる書類は金融機関によって異なるため、確認しておくことが大切です。

【2】届出印

銀行などの金融機関で開設する口座は、届出印を必要とするのが一般的です。印鑑廃止の動きが進んでいる現在でも、窓口での不正出金を防ぐためにこの手続きはまだ残っています。

信託口口座の開設で届出印を用意するのは、受託者となる方です。印鑑の種類は問いませんが、セキュリティを高めるためにも実印や銀行印など、日常的に使用することのない印鑑が適切でしょう。

【3】信託契約書(公正証書が基本)

信託口口座の開設では、一般的に信託契約公正証書の提示が求められます。自分たちでつくった契約書(私文書)では事前審査に通らないケースが多く、スムーズに手続きを進めるためにも公正証書の作成が必要です。

公正証書が作成できている場合、提示するのは作成時にもらった謄本(原本の写し)で構いません。これから作成する段階であれば、信託契約書案だけでも開設を受け付けてくれる場合があります。信託口口座開設予定の金融機関に問い合わせてみましょう。

必要書類を確認して家族信託の準備を進めよう

家族信託を始める際の必要書類は、司法書士など専門家への依頼時、公正証書作成時、信託口座開設時の3つの場面で異なります。本人確認書類や戸籍謄本、印鑑証明書をはじめ、それぞれの段階で求められる書類を事前に確認し、計画的に準備しておくことが大切です。

必要書類が多いぶん家族信託の手続きは複雑になりがちで、専門知識も必要となります。自力で家族信託を進めるのに不安がある場合、専門家の力を借りると良いかもしれません。

東京ガスと提携している「ファミトラ」は、弁護士監修のシステムを使用し、家族信託の手続きを簡単かつ低価格で利用できるサービスを提供しています。必要書類の準備でお悩みの方は、「ファミトラ」のサービスを利用しスムーズに家族信託の組成を進めてみてはいかがでしょうか。

遠藤 秋乃

執筆者

遠藤 秋乃
司法書士/行政書士/ライター

大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。
転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。
2017年に退社後フリーライターへ転身し、現在も活動中。
培ってきた知識や相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応した経験をもとに、原稿執筆を行う。

SNS:https://twitter.com/akino_endo


  • この記事をシェアする
  • Facebookアイコン
  • LINEアイコン
  • Twitterアイコン
マンション無料買取査定!

東京ガスなら提携の買取会社から
最短1日でお電話で 査定価格を
ご連絡します。

今すぐ査定を申し込む
買取サービスについて詳しく見る

関連記事を読む