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家族信託を司法書士に頼むべき3つの理由|選び方や相場、流れを解説

2024.04.15

司法書士は、家族信託の相談先として、一般的な選択肢です。

司法書士は登記の専門家ですが、法律全般や相続に関する手続きにも通じており、家族信託に関する総合的な支援が期待できます。他の分野との連携や、アフターフォローにも対応していれば、契約の目的にあった信託を始める上で安心です。

ここでは、家族信託を司法書士に依頼するべき理由や費用、依頼した際の流れなどについて解説します。

家族信託における司法書士と他の専門家との違い

家族信託の依頼先には、司法書士や弁護士を含む4種類の選択肢があります。それぞれ対応できる相談や業務を整理すると、下の表の通りです。

専門家 主な業務 家族信託に関する業務への対応範囲 家族信託を依頼するケース
司法書士 登記および供託に関する業務 家族信託の契約内容の設計、家族信託に関する手続き全般
(契約書の作成・信託登記、手続きに関する相談など)
家族信託を委託したい場合全般
弁護士 法律相談、交渉・訴訟対応、そのほかの手続き全般 家族信託の契約内容の設計、手続き全般、委託者と関係者との間の利害調整 信託により家族間でトラブルが予想される場合
行政書士 書類作成、許認可の申請 信託契約書の作成、相続に関する相談対応、予備的な対策に必要な書類作成(遺言書・任意後見契約の書面など) 手続き書類の作成方法を相談したい場合
税理士 課税額の計算、節税に関する相談対応と手続き、税申告、帳簿作成 信託期間中の課税額の試算、信託事務で作成する計算書・試算書の作成支援、相続税および贈与税の申告 家族信託の税務のほか、受託者が行う信託事務(信託法に基づく報告義務)に関する相談・支援を希望する場合

家族信託で全般的な対応ができるのは、司法書士、もしくは弁護士です。とくに、不動産や自社の株式などの、登記業務と関係する財産を信託したいケースは、司法書士の得意分野となります。利害関係者の間で調整を行うなら、訴訟代理権に基づいて交渉できる弁護士が相談先になるでしょう。

行政書士や税理士は、あくまでも信託契約の周辺事情に関する支援を担う専門家です。行政書士はあらかじめ内容が決まっている書類の作成に特化し、税理士は信託期間中の課税関係について対応できます。

【監修者からひとこと】
実際に家族信託の手続きをする際は、窓口となった専門家から提携先の他分野の士業へと繋ぎ、各窓口で相談するのが一般的です。内容によって相談先が分かれることから、最初からチーム体制で支援してくれる窓口でないと、負担がかかりすぎる懸念があります。

家族信託を司法書士に頼むべき3つの理由

家族信託を司法書士に頼んだ方が良い理由として、信託内容の相談ができる点や、手続きが迅速かつ正確に行える点が挙げられます。これらのポイントを押さえると、対応に期待できる範囲がイメージしやすくなるでしょう。

信託内容について相談できる

司法書士は登記を専門としますが、相続および認知症対策になる制度全般に通じる有資格者です。家族信託と深い関係にある成年後見制度や遺言に関しても、実務レベルでの対応ができます。不動産を信託したい場合には、司法書士がとくに得意とする登記実務の知識を活かせます。

以上のような特徴から、司法書士には「家族信託の必要性」から「契約内容の設計・手続き」まで、オールマイティな相談が可能です。信託の必要性は、下記の記事であらかじめ基礎知識を仕入れられます。

スピーディーに手続きを進められる

家族信託について司法書士に相談するほかのメリットとして、必要な一連の手続きを迅速に完了させられる点が挙げられます。土地や建物を信託する場合は、次のような手続きを一括で任せ、余計な時間をかけずに信託契約を開始できます。

  • 公証役場での信託契約書の作成
  • 土地・建物の信託登記(信託目録の作成含む)
  • 金銭を信託するときに必要な「信託口口座」の開設に関する手続き
  • 自社の株式を信託する場合に、必要になることがある登記などの手続き

これらの手続きは弁護士でも対応していますが、内容や方法が複雑になるため、実際には司法書士に外注しているケースも少なくありません。そうであれば、始めから家族信託を扱う司法書士に依頼した方が、ノンストップで手続きを進められる点で安心です。

正確な手続きを行える

家族信託の手続きは、司法書士などの専門家への依頼が必須なわけではありません。必要書類ややり方さえ分かっていれば、自力での手続きも理論上は可能です。

ただし実際には、家族信託の知見はあまり集積されていないため、情報収集が難しく、自分では適切に手続きできない可能性が大きいと言わざるを得ません。専門家ですら、経験・知識がない人が多数いる状況です。

そのため、家族信託や相続を専門分野とする司法書士であれば、手続きにかかる負担を減らして、正確に進めることができるでしょう。

家族信託を司法書士に依頼する場合の費用

家族信託を司法書士に依頼する場合の費用相場は、手続きにかかる実費と信託財産の規模に基づいて算出される司法書士報酬の合算で、総額50万円から100万円程度です。内訳の大半は司法書士報酬で、少なくとも30万円程度は必要だと考えられます。

個別の事例での司法書士報酬の金額は、信託したい財産の評価額によって決まるのが一般的です。下の表で紹介するのは、信託財産の価格帯で決まる司法書士報酬の一例です。

信託財産の価格 報酬の相場
信託財産1億円以下 信託財産の価格の1%(相場は30万円~)
信託財産1億円超3億円以下 信託財産の価格の0.5%
信託財産3億円超5億円以下 信託財産の価格の0.3%
信託財産5億円超10億円以下 信託財産の価格の0.2%
信託財産10億円超 信託財産の価格の0.1%

家族信託で必要な費用の内訳は、以下の記事でも詳しく紹介しています。費用対効果から信託の必要性を判断したい人などは、参考にしてみて下さい。

司法書士に家族信託を依頼する際の流れ

司法書士に家族信託を依頼するときの流れは、全体で6ステップです。まずは信頼できる相談先と繋がって、面談と打ち合わせをしっかり行い、そのあとに手続きへと進みます。

1.司法書士が在籍するサービスへの問い合わせ

最初に行うのは、司法書士事務所や、司法書士が在籍する家族信託サービス運営会社への問い合わせです。問い合わせをする際には、口コミを参考にする、支援の範囲を確認するなど、選び方などの基準を自分のなかで持っておくと良いでしょう。実績もチェックし、比較検討します。

家族信託サービスを運営する会社であれば、最適な司法書士とのマッチングのためのコンサルを設けているところもあります。マッチングの前に簡単な相談、提案も得られるため、必要な手続きの目途を立てやすいのもメリットです。

2.依頼先となる司法書士との面談

いよいよ家族信託について相談しようとするときは、依頼先となる司法書士との面談が必要です。多くの有資格者は予約制を取っているため、あらかじめ都合のいい日を決めて予定を擦り合わせておくと良いでしょう。

司法書士との面談では、事前に「家族信託で実現したい目的」や「親族関係および財産の状況」を整理しておくとベターです。最低限、預金状況や所有する不動産の情報をメモにまとめ、当日は近親者同士の関係について簡単に話す必要があります。

3.司法書士との委任契約の締結

司法書士との相談で疑問・不明点がクリアになり、家族信託の目的・内容も大枠が決まったときは、正式に委任契約を締結します。契約により、信託契約書作成や登記申請など、ひつような手続きを司法書士側で行えるようになります。

すぐに手続きを行いたい場合は、委任状にサインしたり、信託契約書の作成に必要な公証役場に関する案内を聞いたりするとよいでしょう。

4.信託内容について打ち合わせを行う

司法書士と委任契約を締結したあとの段階では、信託契約書の内容をより具体化するため、詳細な打ち合わせを行うのが一般的です。打ち合わせでは、下記の項目について協議します。

  • 信託する財産はどれか
  • 信託する期間はどれくらいか
  • 信託契約を通じて、誰に管理を任せるのか
  • 信託する財産の管理・運用・処分の具体的な内容
  • 受託者(契約により財産管理する人)に支払う報酬はどうするか
  • 信託財産から利益を得る権利(受益権)をどのように扱うか
  • 信託するかしないかを問わず、最終的に誰に財産を承継させたいのか

打ち合わせの結果次第で、家族信託だけでなく、予備的に遺言書や成年後見制度が必要だとわかる場合もあります。当日は、契約内で財産管理を担う受託者や、信託不動産に住む・収益を得るなどの受益者にあたる人が同席しても構いません。

家族信託が最終的な目的に沿うように、徹底的に話し合うことが大切です。

5.司法書士が信託契約書を作成する

打ち合わせを終えて家族信託の目的・内容の詳細が決まったら、司法書士側で数日かけて信託契約書を作成します。契約書と言っても、原案であり、有効化するには公証役場での手続きが必要です。

後日行う公証役場での手続きでは、受託者・委託者と司法書士が立ち会い、公証人の手を借りて公正証書を作成します。公正証書が正式な信託契約書の役割を果たすため、当日までに契約書原案に誤りがないかしっかり確認すると良いでしょう。

6.登記・口座開設のあと管理・運用が開始する

信託契約書の原案に基づいた公正証書を作成しても、まだ家族信託を始められるわけではありません。受託者自身の財産と信託財産を分別管理できるように、登記申請や信託口口座の開設が必要です。

■信託不動産に関する登記申請
登記申請は、土地や建物を信託した場合に行います。公正証書から内容を抜粋するように信託目録の作成が必要になるなど、土地の売買などで行われる手続きとは大きく異なる内容です。申請に関しては、司法書士の得意分野であり、基本的には委任状と本人確認書類・印鑑などがあれば手続きを代行してもらえます。
■信託口口座の開設
金銭や預貯金を信託する場合には、各地の銀行で信託口口座を開設し、そこに入金しておかなくてはなりません。必要書類は銀行の案内に従いますが、司法書士も取得の支援などを行ってくれます。

これらの手続きが完了した段階で、受託者による財産の管理・運用が始まります。

家族信託を依頼する司法書士事務所の選び方

司法書士の得意分野は「不動産や会社の登記」であり、必ずしも家族信託・相続に強いとは限りません。依頼先選びでは、公式ホームページや無料相談の対応から、どの程度まで対応してくれそうかを確かめる必要があります。

依頼先選びで意識しておくと良い基準としては、次の5点が挙げられます。

  • 家族信託の実績が豊富か
  • どこまでがサポート内容に含まれるか
  • 他分野の専門と提携しているか
  • 契約後のアフターフォローがあるか
  • わかりやすい言葉で説明してくれるか

家族信託の実績が豊富か

家族信託は平成18年の信託法改正で生まれた比較的新しい制度であり、取扱いが少ないのが実情です。依頼する司法書士を探すときも、家族信託の実績が豊富にある、相続の悩みの解決方法として家族信託も提案しているなどといった情報を確認したいところです。

実績に関しては、直接専門家へ尋ねるのが確実ですが、自身のある有資格者ならホームページの分かりやすい場所に掲載するのが一般的です。

どこまでがサポート内容に含まれるか

家族信託に強い司法書士と言っても、支援できる範囲・内容はさまざまです。設計や手続きの難易度を考えると、信託の仕組みに関する依頼者や家族への説明、登記申請、信託口口座の開設などが支援に含まれていると良いでしょう。

とくに難しいのは信託契約書の作成ですが、トラブルなく家族信託の目的を果たすには、適切な内容設計と説明、周辺の手続きが重要です。

他分野の専門と提携しているか

家族信託に必要な知識や手続きは、司法書士だけでは完結しません。税金に関しては税理士へ、会社法上の手続きなどの周辺の法律問題は弁護士へ、それぞれ連携して解決する必要があります。

自分で他分野の専門家にも依頼しようとすると、それぞれに相談する手間と時間だけでなく、お金も余分にかかってしまいます。理想的なのは、依頼しようとする司法書士から連携がとれている状態です。

東京ガスと提携している家族信託サービスの「ファミトラ」では、全国の司法書士・弁護士ネットワークを駆使し、チーム体制で信託したい人を総合的に支援しています。複数の分野で相談する必要がなく、ワンストップで必要な提案が得られます。

契約後のアフターフォローがあるか

家族信託は30年以上続くこともある長期契約で、受託者には収支報告などの義務も課せられています。やったことのない手続きを継続して行うなかで、アクシデントがあるかもしれません。相続開始や契約による受益権の移動にも、その時々に合わせた対応が必要です。

依頼先の司法書士選びでは、上記を踏まえてアフターフォローがあるかどうかも重要です。場合によっては、信託監督人として契約当事者になってもらう必要があるかもしれません。契約前・契約締結時だけでなく、信託期間中もしっかりサポートしてくれるか、見極めましょう。

【監修者からひとこと】
家族信託の契約中は、受託者に一定の業務負担があります。信託法で定められた報告義務のために収支に関する書類を作ったり、税の申告手続きをしたりする手間です。これらについてフォローがあると安心できます。

わかりやすい言葉で説明してくれるか

司法書士選びでは、説明が分かりやすく、丁寧であるかどうかも見極めのポイントです。信託契約には法律に基づくさまざまな専門用語がありますが、無料相談の段階でも「理解度に合わせて用語をかみ砕いて説明してくれるか」に注意を払いましょう

顧客目線での分かりやすい説明は、信頼性のバロメーターでもあります。説明が分かりやすければ、本人や家族の目線で適切な提案をしてくれる期待が大きく、資産状況や家庭内事情を打ち明ける上でも安心できます。

家族信託は司法書士などの専門家に依頼しよう

司法書士は登記および供託の専門家ですが、法律全般に通じており、相続に関する悩みの解決策から手続きまで丁寧にサポートできます。相談先としてはぴったりですが、家族信託に関する相談なら注意も必要です。他の分野との連携やアフターフォロー、説明の分かりやすさにも注意して選ぶようにしましょう。

東京ガスと提携している家族信託サービス「ファミトラ」では、全国の専門家のネットワークを駆使し、相続・認知症対策の悩みに対する提案から信託期間中の支援まで行っています。従来のサービスに比べ、利用しやすい価格となっている点もメリットです。

ワンストップで信託について手続きを進めたい人は、まずは資料請求から問い合わせてみてはいかがでしょうか。

遠藤 秋乃

執筆者

遠藤 秋乃
司法書士/行政書士/ライター

大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。
転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。
2017年に退社後フリーライターへ転身し、現在も活動中。
培ってきた知識や相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応した経験をもとに、原稿執筆を行う。

SNS:https://twitter.com/akino_endo

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