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家族信託にかかる費用は?家族信託の費用相場やそれぞれの費用の詳細について解説

2024.02.01

家族信託とは、財産の管理・運用を家族や信頼できる人に任せることを指します。家族信託をしておけば認知症や加齢によって自身の判断力が衰えても、大切な財産を守り、活用し続けることが可能です。

では、実際に家族信託を利用する際はどの程度の費用がかかるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、家族信託にかかる費用について解説していきます。費用例や費用に関する注意点も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

家族信託にかかる費用の目安


家族信託を専門家に依頼する場合、費用の相場は50万~100万円です。自分で行う場合は20万円前後で済みますが、基本的には専門家への依頼をおすすめします。

家族信託には複雑な法律が関わるため、専門家を介さなければ後々トラブルが起こる可能性があるためです。トラブルの内容によっては余計な税金などの支払が発生し、結果的に専門家に依頼するよりも出費が多くなってしまうこともあります。

そのため本記事では、専門家に依頼することを前提に、家族信託に掛かる費用の紹介を紹介していきます。

【監修者からひとこと】
家族信託を専門家に依頼することで、家族の状況やニーズに合わせた最適なプランを提案してもらえます。また、契約の成立に必要な不動産登記、公正証書作成、信託口座開設などの手続きもサポートしてもらえます。

家族信託の費用の内訳

家族信託にかかる費用は、大きく分けて以下の3つです。

  • 契約に関する費用
  • 登記に関する費用
  • 信託契約締結後にかかる費用

なお、信託契約締結後にかかる費用は、人によって必要有無が異なります。それぞれ詳しく確認していきましょう。

契約に関する費用

コンサルティング費用

専門家に支払うコンサルティング料は、信託財産の金額によって決まります。詳細な金額は依頼先によって異なりますが、相場としては下表のとおりです。

信託財産の価格 作成費用
信託財産1億円以下 1%
信託財産1億円超3億円以下 0.5%
信託財産3億円超5億円以下 0.3%
信託財産5億円超10億円以下 0.2%
信託財産10億円超 0.1%

信託契約書作成費用

信託契約書の作成にあたって専門家に支払う費用です。信託契約書は、家族信託によって、どの財産を、誰がどのように管理し、誰が利益を受け取るのかといった内容が書かれている、非常に重要な書類です。

相場としては1通あたり10~15万円程度ですが、前述のコンサルティング費用に含まれているケースは多いです。

公正証書作成費用

信託契約書を公正証書として作成するためにかかる費用です。公正証書は高い証拠能力と執行力を持つため、作成しておくことで後々のトラブルを防ぐことができます。

作成費用は手数料令によって下表のように定められています。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1,000万円以下 17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下 23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下 29,000円
5,000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に超過額5,000万円までごとに13,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 95,000円に超過額5,000万円までごとに11,000円を加算した額
10億円を超える場合 249,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

参照元:別表(第九条、第十七条、第十九条関係)

登記に関する費用

登記代行手数料

不動産を信託財産とする場合、信託した旨を不動産登記簿に記入しなければなりません。登記代行手数料として専門家に支払う費用は、1件あたり5万~10万円が相場になります。こちらも専門知識を要するため、専門家に依頼して手続きを行いましょう。

信託登記の登録免許税

信託登記の際には、登録免許税という税金も発生します。金額は固定資産評価額をもとに決まり、土地は評価額の0.3%(※1)、建物は評価額の0.4%です。

※1:令和8年3月31日までの減税措置

信託契約締結後にかかる費用

受益者代理人や信託監督人への報酬費用

家族信託は、契約を締結して終わりではなく、そこから信託財産の管理・運用が始まります。契約時に受益者代理人や信託監督人を選出した場合は、選出した人へ報酬を支払う必要があります。報酬額はそれぞれ月に1万円程度が相場になります。

受益者代理人と信託監督人の役割については下記のとおりです。

・受益者代理人
受益者の代わりに、受益者の権限を行使する人のことです。受益者本人が認知症などによって判断力を失っている場合や、複数の受益者がいるために意思決定が困難な場合などに定められます。

・信託監督人
受託者が信託契約の内容にしたがって財産の管理・運用を行っているかどうかを監督する人です。信託財産の金額が大きい場合や、受益者が未成年であったり、障害者であったりする場合に定められます。

また、信託監督人を司法書士に依頼した場合は、毎月数万円の費用が必要になることを覚えておきましょう。

信託契約の変更にかかる費用

信託契約の内容は、当事者間での合意があれば、あとから変更することも可能です。その際、既存の信託変更契約書を変更する必要があるため、契約書費用として約10万円がかかります。信託変更契約書を公正証書として作成する場合は、契約時と同じく公正証書作成費用も必要になります。

また、関係者がなくなったり、住所の変更が必要になった際には、信託関係者の変更登記が必要です。こちらには手数料と登録免許税がかかり、あわせて数万円程度です。

家族信託にかかる費用例


続いて、家族信託にかかる費用をシミュレーションしてみましょう。今回のシミュレーションでは、信託財産を3,273万円(※2)、うち不動産1,575万円というケースを想定して行います。

※2:MUFG資産形成研究所が2020年に行った「退職前後世代が経験した資産承継に関する実態調査」に記載された、相続財産の平均値を参照

【費用例】

項目 費用
コンサルティング費用
(信託財産費用と信託契約書作成費用を含む)
約36万円
登記代行手数料(※3) 約10万円
公正証書作成費用 約3万円(29,000円)
信託登記の登録免許税 土地:建物=2:1の場合
土地にかかる費用: 3万円程度
建物にかかる費用: 2万円程度
合計 約54万円

※3:5万円~10万円と幅があるため、最大費用で算出

各項目の費用については、上述で取り上げた内容をもとに計算しています。このシミュレーションにおける費用の総額は約54万円となり、専門家に依頼する場合の費用相場に近い価格になっています。

家族信託の費用における注意点

ここでは、家族信託の費用における、以下の2つの注意点について解説します。

  • 贈与税や相続税が発生する場合がある
  • 誰が払うか決めておく

それぞれ見ていきましょう。

贈与税や相続税が発生する場合がある

家族信託の課程で、贈与税や相続税が発生する場合があります。例としては以下のようなケースが当てはまります。

・委託者が生存している
・かつ委託者と受益者が異なる

この場合、家族信託によって発生した利益を受益者が受け取ったとき、委託者から受益者に財産が移ったとみなされるため、贈与税が課せられます。

一方、委託者と受益者が同一である場合、贈与税はかかりません。委託者が生きているあいだは、委託者と受益者を同一にしておくことが一般的です。

また、委託者と受益者を兼ねる人が亡くなり、他の人が受益者を引き継ぐ場合には、引き継いだ人が相続税を支払う必要があります。

誰が払うか決めておく

家族信託に関する費用を誰が支払うかは、契約を締結する前に関係者間で話し合って決めておきましょう。

受託者は財産の管理・運用を任されているものの、自分でその利益を受け取ることがありません。そのため、家族信託に関する支払いは、原則として利益を受け取る受益者が行います。これを「受益者課税の原則」といいます。

【監修者からひとこと】
受託者が信託契約に基づいて行った行為によって、受益者以外の第三者に損害を与えた場合、受託者はその損害を賠償する責任を負います。受託者の業務上の過失については、受益者は関与せず、責任も負わないのが原則です。

まとめ

家族信託の費用について解説しました。

家族信託を専門家に依頼する場合、30万~60万円ほどの費用がかかります。老後に備えて家族信託を検討しているものの、費用の高さに二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのが、家族信託サービス「ファミトラ」です。ファミトラでは相場をよりも抑えた価格で家族信託を始めることできます。締結後にもコンシェルジュが伴走するため、長期的に見ても安心感のあるサービスです。

家族信託を検討されている方は、ぜひこちらのページもご確認ください。

松元 健太郎

監修者

松元 健太郎
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ライター

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・ファイナンシャルプランナー2級を保有。
不動産会社に勤務し、退職後、不動産ライターとして独立。
法人で不動産賃貸経営も行い、不動産の現場で得た経験・知識を活かし、ライターとして活動中。

ホームページ:https://xn--lsv228akxb.com/

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