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マンションの売却を検討するとき、売却利益がどのくらい得られるのかは気になるところ。少しでも売却利益を残して、新しい資金計画に当てたいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、マンションを売却しても、売却した金額がそのまま利益になるわけではありません。
本記事では、売却利益の計算方法や売却利益を最大化させるポイントを不動産鑑定士の中田敏之さんにわかりやすく解説していただきました。
売却利益とは?マンションの売却利益を計算する方法
売却利益(課税譲渡所得額)とは、マンションの売却価格から購入価格、リフォーム価格、その他諸費用を差し引いた金額です。基本的な計算式は、次のようになります。
売却利益 = 売却価格 – {購入価格 + リフォーム価格(注)+ 諸費用(仲介手数料や税金など)}
注…売却にあたってリフォームをした場合
注…そのほか計算方法の詳細はこちら
売却利益の計算シミュレーション
たとえば、あるマンションを10年前に5,000万円で購入したと仮定します。購入時および売却時の諸費用が合計500万円、売却を検討する際にリフォームに500万円を投じ、売却価格が6,000万円であった場合、売却利益は以下のように計算できます。
売却価格:6,000万円
購入価格:5,000万円
諸費用:500万円
リフォーム価格:500万円
【計算式】
6,000万円 −(5,000万円 + 500万円 + 500万円)= 0円
この例では売却利益は0円となりますが、売却価格が上昇した場合やリフォーム価格が低く抑えられた場合、売却利益が発生しますので、利益が出た場合の税金の計算方法を抑えておく必要があります。
マンションの売却利益にかかる税金
マンション売却で利益が出ると、税金がかかります。以下で詳しく見てみましょう。
売却利益にかかる税金「譲渡所得税」とは?
譲渡所得税は、マンションなど不動産を譲渡したときの売却利益にかかる税金で、所得税と住民税の一部として発生します。譲渡所得税は、売却利益(課税譲渡所得額)に所得税と住民税の税率をかけることで計算が可能です。
売却利益(課税譲渡所得額)×税率=譲渡所得の税額
また、譲渡所得を計算するための税率は、マンションの所有期間により変わることを覚えておきましょう。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超え10年以下の場合には「長期譲渡所得」の税率となります。
【譲渡所得の税率(ご自宅の場合)】
注…ほかに2037年まで所得税額×2.1%=復興特別所得税がかかります
注…10年超所有軽減税率については、国税庁のHPをご確認ください
譲渡所得税の算出時の詳細や計算シミュレーションは以下の記事で紹介しているので、併せてチェックしてみてください。
マンション売却で売却利益を最大化する4つのコツ
売却利益は、マンション売却時の収支を計算することで算出できます。この章では、売却利益を最大化する4つのコツをご紹介します。
コツ1:特例を活用して税負担を減らす
ここまでで説明したとおり、売却利益は売却価格がそのまま利益になるわけではなく、購入価格や売却時にかかった費用のほか、税金を差し引いた額をさします。とくにマンション売却により利益が出た場合にかかる税金は金額も大きくなるため、特例を活用して税負担を減らすことを検討しましょう。
たとえば、ご自宅を売却して売却利益が発生する場合に、一定の要件を満たすことで受けられる「居住用財産3,000万円の特別控除の特例」があります。この特例は、ご自宅を売却した場合の売却利益に対して、最大3,000万円まで控除を受けられる特例です。つまり、居住用財産3,000万円の特別控除の特例を適用することにより売却利益が全額控除されれば、税金がかからないケースもあります。
適用に関する詳細の要件などは、こちらをご確認ください。
そのほかマンション売却時に検討できる特例としては、以下のようなものがあります。
- 10年超所有軽減税率
- 買い替え特例
また、正確な売却利益を算出するために、売却時にかかった費用の領収書を残しておくことも忘れないようにしましょう。
コツ2:売れやすい時期を狙うことで売却価格を上げる
不動産の需要が高まる時期に売却を行うことで、より高い価格で売れる可能性が高まります。マンションが売れやすくなる時期には、不動産市況や季節、住宅ローン金利の動向、景気などさまざまな要因があります。
以下でマンションの売り時について詳しく解説しているので、チェックしてみてください。
コツ3:ご自身の状況や物件にあった売却方法を見極める
マンションの売却方法には、仲介業者をとおして買主を探す「仲介」と、買取業者に直接物件を買い取ってもらう「買取」の2種類があります。買取による売却相場は、リフォームや修繕などの対応も視野に入れたうえで物件を買い取るため、一般的には仲介による売却価格の7〜8割程度といわれています。
しかし、売却時にリフォームや修繕などが必要である場合、トータルで考えると買取を利用した方が良いケースもあります。売却価格の最大化だけにとらわれず、ご自身の状況や物件の状態を加味したうえで売却方法を選択することも重要です。
コツ4:信頼のおける不動産業者(担当者)に依頼をする
売却利益を最大化させるためには、信頼のおける経験豊富な不動産業者(担当者)を選ぶことも大切です。不動産の売却は、動く金額もかかる労力も大きく、何度も経験するようなことではありません。業界における豊富な知見をもつ不動産業者(担当者)に相談して、ご自身の状況や物件の状態に応じた最善の方法を見つけましょう。
不動産業者を選ぶ際にチェックすべきポイントは、以下の3つです。
以下の記事では、信頼できる不動産買取業者の選び方について解説しています。マンションの買取を検討している方は、こちらもチェックしてみてください。
ご自身の所有するマンションの売却利益を計算してみましょう
マンションをはじめとする不動産の売却は、時間や労力がかかるうえ大きな金額が動くため、事前調査や準備が欠かせません。売却利益を意識することは、純粋な売却価格だけでなく、マンション売却時にかかる費用や税金なども含めたトータルの収支を考えるきっかけとなります。
本記事を参考に、まずはご自身の物件の売却利益を計算してみてはいかがでしょうか。上手に専門家を活用し、ご自身が納得のいくマンションの売却方法を模索しましょう。
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