災害時の電気に関する備えになる機器・設備|メリットや違いを紹介

2024.09.17

電気は、安全を確保するための照明や、家族の安否を確認し情報を集めるためのスマートフォン・携帯の充電のほか、空調や生活家電など、生活環境を維持していく家電を使うために不可欠です。

大規模災害が発生した際、この電気が使えなくなり、復旧までに時間がかかることもあります。そのため、長期間の電源を確保できる機器を準備しておく必要があります。

ここでは、災害時における電源の重要性や、備えとなる機器・設備について解説します。

災害発生に向けて電気に関する備えをする重要性

大規模地震など広域に影響の出る災害は、停電を引き起こす可能性があります。実際に、2011年に発生した東日本大震災では466万戸が停電しました。そのうち8割が復旧するまでには3日を要し、完全に復旧するまでには約3ヶ月(※)もかかっています。

照明やエアコン、冷蔵庫、スマートフォンなど、電化製品への依存度が高まっている現代において、電気が使えない状況で生活を継続することは困難です。電気が使えない状況は、暗闇で過ごしたり情報収集ができなかったりするため、不安によって心身の健康状態にも影響を及ぼすこともあります。

もしも停電が長引いたとしても、できる限り普段通りの生活をするためには電気に関する備えは優先度の高い災害対策といえます。

電気が途絶えた際に考えておきたい機器・設備

災害時に使える電源はどのようなもので、どのような形で備えておけばよいのでしょうか。
電源として使える機器・設備には、以下のようなものがあります。

  • 電池式の照明器具
  • モバイルバッテリー
  • 発電機
  • ポータブル電源
  • 蓄電池
  • 太陽光発電システム+蓄電池

それぞれの特徴について見ていきましょう。

電池式の照明器具

停電すると、室内の照明はもちろん、屋外の街灯も点かなくなり、想像以上に暗い環境になります。窓の少ない部屋では、昼間であっても暗く感じるでしょう。

地震発生直後に室内が暗闇だと、倒れた家具や割れたガラスを視認できず、転倒や怪我をするリスクがあります。安全に避難するためには、懐中電灯やランタンなどの非常用の照明器具を用意しておくことが大切です。

また、後に紹介する発電機やポータブル電源などの非常用電源と併用するのであれば、コンセントから給電するタイプの照明も有効です。。

照明器具は屋内での活動に重要なものであるため、用意する際は、1種類だけでなく複数を用意しておくと安心です。

モバイルバッテリー

災害発生時は、安否確認や情報収集、災害状況の記録撮影などに、スマートフォンの使用が欠かせません。そのため、停電によってスマーフフォンを充電できない事態は避けたいところです。

対策として、モバイルタイプのバッテリーを、できれば通信機以上の数用意しておきましょう。

持ち歩けるタイプのものは軽くて扱いやすいものの、充電できる容量はコンパクトな分小さくなりやすい点には注意が必要です。充電式のタイプは充電した分を使い切ってしまえば充電できなくなってしまうので、乾電池式やソーラー式など別のタイプも用意しておくと安心です。

また、太陽光や手回しによる発電で動かせるラジオのなかに、スマートフォンへの充電機能や懐中電灯などを兼ね備えたタイプもあります。

発電機

発電機は、ガソリンなどの燃料を使ってエンジンを回転させることにより電気をつくる機器で、燃料さえあれば長時間にわたって電気を使えます。

一方で、引火のリスクのある燃料を常に確保しておかなければならない点には注意が必要です。

また、燃焼時に排気ガスを出すことから、一酸化炭素中毒を防ぐために屋外での使用が原則となっています。特に都市部にあたっては排気ガスや騒音が発生するので、ご自宅や避難場所の周りにマンションや住宅が密集している場合、ご近所への影響を考えながら使用しましょう。

ポータブル電源

ポータブル電源は、持ち運びできる充電器の中でも大容量のバッテリーを内蔵したものです。モバイルバッテリーよりも長時間利用できます。またAC出力にも対応し、一般の家電製品に使えるコンセントを備えているため、使える家電の種類が多い点も特長です。

ポータブル電源は、あらかじめ電気をためておく形式であるため、発電機と異なり燃料を必要とせず、排気ガスも出ません。エンジンも必要ないため騒音もなく、室内で安全に使える点もメリットといえます。太陽光パネルを備えたものであれば、充電しながらの利用も可能です。

蓄電池

蓄電池は、電気を貯めておき、必要なときに供給できる機器です。

蓄電池単体では、電力会社から購入した電気を貯めることができます。電力会社から購入した電気を蓄電池に貯めておけば、停電時でもスマートフォンの充電や電化製品が使用できます。

燃料を必要せず、排気ガスや大きな音も出さないため、周囲を気にせず使えます。
また、蓄電池は環境負荷の低減の取り組みとして補助金制度が用意されているため、費用を抑えて導入できる可能性があります。



太陽光発電システム+蓄電池

蓄電池は、貯めておいた電気を使い切ってしまえばそれ以降は使用できません。最低限の使用に留めれば数日間の停電ではもつかもしれませんが、大規模災害で数週間の停電になると対応できなくなります。

そこでおすすめなのが、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせる方法です。日中は太陽光発電システムでつくった電気を使いながら、余った電気(余剰電力)を蓄電池に貯めることで、夜間などの発電量が期待できないときに電気を使用することができます。長期間にわたる停電の中でも、普段通りに電気を使えます。

災害・停電時における電気の備えについて検討しよう

災害は突然やってきます。夜間や悪天候の中でも安全を確保し、被災後の環境を維持して生活のストレスを軽減するには、電気の確保が必要です。すぐに持ち出せるタイプの照明やバッテリーのほか、さまざまな家電を利用するための蓄電池の備えをしておきましょう。

とくに、電気をつくる太陽光発電システムと大容量で電気を貯める蓄電池の組み合わせは、長期にわたる在宅避難で安心した生活を送るためには不可欠となる重要な備えです。

また、太陽光発電システムと蓄電池は、電力の安定供給に貢献する観点から、補助金制度が充実しています。適用条件や申請期限などの縛りはありますが、活用できれば費用負担を抑えられます。

東京ガスと提携企業では、住宅ごとの電気の利用状況にあわせて太陽光発電システムと蓄電池をセットにした導入や制度活用の案内もしています。お気軽にご相談ください。

※参考資料:
災害時に備えて食品の家庭備蓄を始めよう|農林水産省

南部 優子

執筆者

南部 優子

防災士。2008年より、研究機関と共同で、内閣府をはじめとする国や自治体のほか、インフラ企業などを対象に、防災に関する調査分析、防災計画・事業継続計画(BCP)の策定、各種マニュアル作成、防災訓練・研修の企画運営、講師、ファシリテーターを歴任。
現在は、フリーの防災ライター&ファシリテーターとして防災力を養うための人材育成に力を入れ、地域住民を対象とした講座、研修、ワークショップも多数実施しています。

ホームページ:https://facil.shishinsha.jp/

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