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駅に近い、いわゆる駅近マンションは利便性が高く、駅から遠いマンションより売れやすいと考えられがちです。しかし、実際には周辺環境や室内の状況によってもマンションの価値は異なってきます。
仲介によるマンションの売却では、適切な価格設定や訴求ポイントをしっかり見定めないと、思うように買主が見つからない状況にもなり得ます。その場合は、マンションが売れない原因を把握し、対策を練る必要があります。
今回は、駅近マンションが売れない原因や売主ができる対策、どうしても売れないときの対処法について解説します。
駅近マンションの売れやすさに影響する4つの条件
駅近マンションといっても、購入希望者が感じる価値は様々です。売れやすさは、その価値に対して適正な価格を設定しているかによって変わります。物件の価値を評価する際、以下の4つの条件はとくに重要な要因とされています。
- 駅までの距離
- 駅の利便性
- 周辺環境
- 競合物件の有無
売りたい物件の4つの条件を客観的に評価し、適正な価格設定やアピールポイントを検討しましょう。
駅までの距離
駅近は一般的に駅から「徒歩10分以内」を指します。
東日本不動産流通機構(レインズ)の『中古マンションの駅からの交通別成約状況(2022年、首都圏)』によると、以下のような結果が出ています。
徒歩10分以内 | 11~20分以内 | 21分以上 | |
---|---|---|---|
㎡単価 | 80.63万円 | 52.18万円 | 36.10万円 |
価格 | 4,917万円 | 3,598万円 | 2,558万円 |
出典:中古マンションの駅からの交通別成約状況(2022年、首都圏)|東日本不動産流通機構
徒歩10分以内の成約に比べ、駅からの距離が11分以上となる物件について㎡単価、価格は低くなっています。このことから、駅近のマンションは高い資産価値を持つことがわかります。
ただし、駅近のなかでも、「駅直結」「徒歩5分以内」「5分以上」などで価格の傾斜があります。2006年の国土交通省国土交通政策研究所「住宅の資産価値に関する研究(PDF)」によると、新築分譲時に比べ、中古マンションは立地をシビアに評価される傾向にあることから、1分違うだけでも価格に影響します。
駅からの徒歩の所要時間は、一般的に「道路距離80m=1分」を基準に距離から計算されます。ご自身が駅近のマンションを持っている場合は、より正確に駅からの距離、および徒歩の所要時間を把握しておくことが重要です。
駅の利便性
駅近マンションの価値は、最寄り駅の利便性にも影響を受けます。
特急や急行などが停まる主要駅、複数の路線が乗り入れるターミナル駅は利用者が多く、商業施設も充実しています。主要駅やターミナル駅に近いマンションであれば、資産価値は下がりにくいでしょう。
また、最寄り駅で再開発の計画があるなど、将来的に発展する可能性がある地域かどうかも大切な要素です。再開発が行われると地域の利便性が向上し、土地価格も上昇する傾向にあります。
周辺環境
駅近マンションの価値は、周辺環境によっても変わります。
購入希望者の多くは、スーパーやコンビニ、飲食店、病院など生活に欠かせない施設が充実しているかをチェックします。子育て世帯であれば、保育園や小学校、公園などが近くにあるかも重要なポイントになるでしょう。
駅近マンションの場合、立地によっては「電車の音がうるさい」「商業施設が多くて深夜まで騒がしい」などの騒音トラブルが起こることもあり、価値を左右する要因の1つとなります。
競合物件の有無
駅近マンションの価値は、競合物件があるかどうかによっても変わります。
地域によっては、駅周辺に同じようなマンションが複数建てられているため、多くの物件が売りに出されていることもあるでしょう。競合物件が多い場合、価格競争により売却価格を下げざるを得ない可能性もあり、買主を見つけにくくなる傾向があります。
セキュリティ
駅近マンションは利便性が高い分、人通りが多い立地にある物件が多いと言えます。とくに繁華街が近くにあり、治安が悪いと言われている地域周辺の物件の場合、「トラブルに巻き込まれるのではないか」と不安を感じる方もいるでしょう。
駅近マンションであっても、十分なセキュリティ対策が講じられていない物件は買い手がつきにくく、売却価格が下がる傾向にあります。
上記4つの条件に加え、建物自体や売りに出すタイミングが重要になるケースもあります。詳しくは以下の記事で解説していますので、ご覧ください。
駅近マンションを売れやすくするためにできること
ここまで、駅近マンションの価値を決める条件を説明してきました。まずは、自身のマンションの価値に対して、適正な価格を設定しているかが重要な観点となるため、これらを踏まえ依頼している不動産会社と認識合わせをしましょう。
以下の3点の対応を定め、売り出し方を考えていくことで、「売れない」状況を改善することができます。
価格設定の見直し
マンションを売却する際に、「少しでも高く売りたい」と考えるのは自然なことです。ただし、仲介で購入希望者を募っている際に、相場と比べて販売希望価格が高すぎると、最初の段階で候補から外されてしまうため、問い合わせや内覧につながりにくくなります。そのため、周辺の競合物件の条件と価格を調査し、自分自身で客観的な価格感を持つことは重要です。
また、初期の不動産会社が提示した価格が必ずしも適正でないことも踏まえ、セカンドオピニオンとして別の不動産会社に査定を依頼しましょう。そうすることで、販売希望価格についてより客観的な判断が可能になります。
購入希望者にとってマイナスとなり得るポイントがあれば、その点も整理しておくとよいでしょう。
訴求ポイントの見直し
また、売却するマンションの訴求ポイントを見直すのも一つの手段となります。
たとえば、駅から徒歩10分のマンションの場合、駅近であることよりも、「騒音が少ない」といった周辺環境の良さを最初にアピールしたほうが良いかもしれません。所有物件の特徴を客観的に見て、どのポイントを優先して訴求していくかを整理することが大切です。
依頼している不動産会社と話し合い、どのように訴求していくかを考えるとともに、内覧では相手の質問にスムーズに答えられるように準備しておきましょう。訴求ポイントはもちろん、デメリットもきちんと伝えたうえで誠実に対応することが購入希望者の不安解消につながります。
広告の見直し
販売の広告を見直すことで、買い手がつきやすくなることもあります。インターネットへの掲載や、周辺のチラシのポスティングなど、広告は購入希望者になり得る人にどれだけ効率的にリーチできるかということに直結します。
とくに、近隣で住み替えたいという需要がある方は、周辺環境の理解から決断が早い傾向にあります。また、それは「マンション」や「戸建て」といった物件種別についても同様です。早く売りたい際には、特定のエリアや物件種別を得意としている会社に依頼することが有効になります。
ただし、広告や周知は不動産会社や担当者の力量によっても変わってきます。
場合によっては別の不動産会社へ切り替えるのも選択肢として考えたほうが良いでしょう。
どうしても駅近マンションが売れないときは?困ったときの対処法
訴求ポイントや価格設定、売り出し方を見直しても駅近マンションが売れない場合は、売り方を「仲介」から「買取」に切り替えてみてはいかがでしょうか。
買取とは、買取業者(不動産会社)に直接マンションを買い取ってもらう方法です。買取では買い取った物件をリフォームして再販するため、仲介に比べて価格が相場より低くなるデメリットもありますが、短期間で売却しやすく、最短2週間、平均1か月ほどで買い取ってもらえます。
マンションが売れずに売却活動が長期化すると、住み替え後の資金計画が崩れたり、精神的なストレスになったりと、売主の負担が大きくなる可能性があります。そのため、仲介で売却活動をしてもなかなか買主が決まらない場合や、売却を急ぐ事情がある場合には、買取を検討してみましょう。
マンション買取の流れや注意点は、以下の記事で詳しく説明しています。
不動産会社と相談しながら、駅近マンションを売るための適切な対処法を検討しよう
仲介では買主が一般の個人となるため、駅近マンションも、売れない原因は物件によってさまざまとなり自分だけでは原因の特定が難しいケースもあります。そんなときは、信頼のおける専門家を頼り、対策を講じることが大切です。
また、売り方を見直す際には、すでに仲介を依頼している不動産会社だけでなく新たに買取業者を選定することも必要となります。
以下の記事では、信頼できる不動産買取業者を選ぶポイントを詳しく解説しています。ぜひ参考にして、適切な売却方法をご検討ください。
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