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不動産査定について、費用がどれくらいかかるのかを心配する方は少なくないでしょう。不動産査定にかかる費用は、依頼する先が不動産会社か、不動産鑑定士かによって異なります。
この記事では、不動産査定の基本から、費用の相場、査定を依頼する際の注意点などを解説しています。不動産売却を検討中の方は参考にしてください。
そもそも不動産査定に費用はかかる?
不動産査定に関する費用は、査定の目的や依頼する会社によって異なります。
不動産会社が行う売却を目的とした査定は、営業活動の一部として行われるため、一般的に無料で受けることが可能です。
一方、不動産鑑定士による査定は、有料であることがほとんどです。不動産鑑定士による査定は、裁判や相続など、法的な基準に則った不動産の正確な価値を知る必要がある場面で用いられます。
不動産鑑定士による有料の不動産査定について
不動産鑑定士は、不動産の価値を正確に評価する専門家です。厳格な国家試験をクリアした上で、不動産の価値を判断するための深い知識と経験を持っています。
不動産鑑定士による査定は、不動産会社による査定とは異なり、物件の詳細や市場動向を基に、正確な価値を導き出します。下表は、不動産鑑定士による有料査定と無料査定との違いについてまとめたものです。
項目 | 無料査定 | 有料査定 |
---|---|---|
査定する人 | 不動産会社 | 不動産鑑定士 |
依頼する目的・用途 | 不動産の売却のため | 相続や担保など第三者への価格を提示するため |
特徴 | 営業活動の一環として行われている | 証拠資料として活用することが多い |
不動産鑑定士による有料査定は、相続や資産評価など、正確な価値判断が求められる場面で行われることが多いです。
ただ、売却を直接的に考えている場合は、有料の鑑定よりも不動産会社による無料査定を依頼するのが一般的です。不動産会社による査定の詳細については、こちらのページで詳しく解説しています。
不動産鑑定が必要となるケース
不動産鑑定が必要とされるのは、以下のような、第三者に対して明確な価値証明が求められる場面です。
- 相続関連で適正な価格を知りたい
- 不動産担保として取り扱いたい
- 不動産を賃貸借したい
それぞれ見ていきましょう。
相続関連で適正な価格を知りたい
相続が発生した際、複数の相続人がいると、不動産を含めた遺産の公平な分配が課題となります。そのため、不動産鑑定による物件の正確な価値の確認が求められます。
たとえば広大な土地の場合、評価額を減額できる「広大地」という制度があり(※)、不動産鑑定によって広大地の評価が可能です。ここで「広大地」とは、特定の地域の一般的な宅地面積を大きく上回る、非常に広い土地のことを示します。
相続した土地が広大地として認められると、国税庁の定める計算方法に基づき、土地の評価額が最大で65%減少し、節税効果が期待できます。相続した土地が広大地に該当するかの判定は、節税策として非常に重要です。
※「広大地の評価」は、課税時期が平成29年12月31日以前の場合に適用。平成30年1月1日以降に相続が発生した場合は「地積規模の大きな宅地」として評価されます。
不動産担保として取り扱いたい
不動産を担保とした資金調達の際には、物件の正確な価値を知ることが重要です。自己(または自社)の土地や建物の適正な価値を把握することで、資金調達の可能額を明確にできます。
この価値は、金融機関が資金提供の判断をする際の基準ともなります。したがって、不動産の評価額を明確にし、実勢価格に合致しているかを確認することは、資金調達の成功に直結するのです。
不動産を賃貸借したい
不動産鑑定士による鑑定では、その不動産を賃貸として貸し出す際の、妥当な賃料も算出してもらえます。
賃貸人は、相場に合わせた賃料を設定することで、賃借人を獲得しやすくなり、後のトラブル回避にも繋がります。一方、賃借人も不動産鑑定を通じて物件の適正な賃料を知ることで、過剰な賃料を支払うリスクを避けられます。
鑑定評価は、ビルやマンションの家賃、地代、更新料などの設定に役立ち、賃貸の適正価格を知るための手段として有効です。
手数料(料金)の相場
不動産鑑定の費用は、評価される物件の価値によって変わります。一般的な住宅の鑑定の場合、費用は約20万円から30万円が目安とされています。
また、鑑定の対象となる物件の種類や範囲によっても費用は異なります。たとえば、土地だけ、または建物だけを鑑定するよりも、土地と建物の両方を一緒に鑑定する場合の方が、費用は高くなる傾向があります。
なお、不動産鑑定の費用は、以下3つの軸をベースに決められています。
報酬基準型 | ・物件種別の鑑定報酬額表に基づく料金設定方法 ・あらかじめ料金が明確で、多くの企業で採用されている主流の基準 |
---|---|
積み上げ型 | ・鑑定の作業量に応じて費用がふえる方法 ・土地の広さや複雑な鑑定時に適用され、具体的な基準額は定められていない |
定額型 | ・物件種や作業量に関わらず一律の費用で、物件種や作業量に左右されません ・利用者には分かりやすいが、鑑定士の工数に応じていないため、鑑定会社での採用は少ない傾向 |
依頼の仕方
不動産鑑定は、不動産鑑定士が所属する事務所に依頼しましょう。インターネットでの検索はもちろん、税理士や弁護士、つながりのある不動産会社などから紹介してもらえることもあります。
また、価格面は事務所によって差があり、得意な物件の種類もそれぞれ異なります。ホームページなどから料金表や実績を確認したうえで依頼しましょう。
日本不動産鑑定士協会連合会の相談所も利用し、無料相談も活用しながら適切な鑑定士を見つけることをおすすめします。
不動産査定にかかる費用で注意したいポイント
不動産査定の費用は、依頼先や依頼する成果物によって異なります。また、相続の際に有料の不動産査定を依頼する場合は、その費用を誰が負担するのかも決めておく必要があるでしょう。
ここでは不動産査定の費用における注意点をご紹介します。
鑑定報酬は依頼先によって異なる
不動産鑑定士への依頼費用は、民間の統一報酬基準が存在しないため、事務所によって大きく異なります。
報酬が高額な事務所が必ずしも高品質であるとは限りませんが、安価すぎる報酬を提示する事務所は、適切な鑑定作業が行われているか疑わしいでしょう。
適正な価格で信頼性の高い鑑定を受けるためには、事前のリサーチや比較検討が欠かせません。
依頼する成果物によって費用が異なる
不動産鑑定の成果物には「鑑定評価書」と「調査報告書」の2つの選択肢が存在します。調査報告書は、手軽に不動産の価格を把握するためのもので、簡易的な内容となっています。一方、鑑定評価書はより詳細で、公式な場面での使用を想定したものです。
調査報告書は、相続時の内部調整や事業承継の際の価格確認に向いている一方、税務署提出や裁判資料としては不適です。適切な成果物の選択は、依頼の目的や利用シーンによるため、不動産鑑定士への相談を推奨します。
相続における査定時は誰か費用を負担をするかを考える
有料の不動産査定を行う場合、物件によっては依頼費用が高額になることがあります。相続人が複数存在する際、その費用の負担についての合意が必要です。
トラブルを防ぐためにも、相続人同士で事前に相談し、「誰が」「どれだけの費用を負担するのか」を明確にすることが重要です。
状況に応じて必要な不動産査定を活用しよう
今回は、有料の不動産査定や不動産鑑定の重要性と特徴を詳しく解説しました。しかし、売却を主目的とする場合、不動産会社の無料査定で十分なケースがほとんどです。売却する目的に応じて、有料・無料どちらの査定を依頼するかを選びましょう。
東京ガスではマンションに特化した無料の簡易査定サービスを行っております。仲介ではなく直接の買取となるため、査定額がそのまま売却額になるため、「思っていた査定額よりも低くなってしまった…」という心配もありません。
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