マンションの査定方法と査定価格の算出方法を詳しく解説!

2024.01.29

マンション査定方法はいくつかあり、その種類や価格の算出方法については、自分でもある程度は理解しておくのがおすすめです。算出方法についての知識を身につければ、査定額が妥当なものであるかを判断するための材料になります。

適切なマンション査定の方法は、売却検討の理由や売却目的に応じて変わります。ここでは、自分にあった方法を選べるよう、各査定方法の特徴や算出方法ついて解説します。

■この記事でわかること

  • マンション査定の方法
  • マンション査定価格の計算方法
  • 査定を希望する状況・目的にあった査定方法

マンション査定の方法

マンション査定の方法には、簡易査定(机上査定)、AI査定、訪問査定の3つがあります。下表はそれぞれの特徴をまとめたものです。

査定方法の種類 査定価格の精度 メリット こんな人におすすめ
簡易査定
(机上査定)
精度は中くらい 遠方や訪問対応不可でも査定できる 売却するか迷っている人
AI査定 精度はやや低い 匿名かつ即時で査定できる 簡単に目安程度の査定がしたい人
訪問査定 精度が高い 実際の売却価格に近い査定ができる 売却が確実な人

売却価格に最も近くなるのは訪問査定ですが、売却を検討する段階でよく利用されるのは簡易査定です。最近では、AIが蓄積されたデータを参照に算出してくれるAI査定も普及してきました。

簡易査定(机上査定・卓上査定)

簡易査定とは、依頼者が提供するマンション資料を基に査定する方法です

提供した資料は、不動産会社が持っているさまざまな情報と照合し、査定に役立てられます。照合される情報は、指定流通機構(通称:レインズ)で閲覧できる売却価格、路線価・固定資産税評価額といった課税時の評価額などです。

簡易査定は、査定担当者の机上に揃った書類を基に行うため、「机上査定」や「卓上査定」とも呼ばれます。

簡易査定のメリットは、訪問対応が必要なく、関連して査定結果の連絡も比較的早いことです。依頼する会社から遠く離れた場所に住んでいたり、訪問対応ができなかったりする人には、都合の良い方法です。

ただし、実際の物件の状況を考慮しないため、査定価格はあくまで参考価格の扱いとなります。

AI査定

AI査定とは、アプリやブラウザから情報を入力するだけで、AIが査定を行ってくれる方法です。

AI査定による査定額は、入力して数十秒から数分程度ですぐ分かります。氏名や電話番号などの個人情報は不要な場合も多く、売りたいマンションの情報も大まかな内容しか求められません。

AI査定の特徴は、査定価格もほとんど即時で査定額がわかる点と24時間いつでも査定できる点です。ざっくりとマンションの価値を知りたい場合や査定額をすぐに知りたいときにおすすめです。

その反面、簡易査定よりも精度がやや落ちる可能性があります。細かい情報を入力したり、マンション査定を得意としているサイトを利用したりといった対応が必要です。


訪問査定

訪問査定とは、不動産会社の査定担当者が実際に物件を訪れて査定する方法です。

依頼者から事前に提供された資料に加えて、室内の状況や、マンション周辺の環境も反映されるため、実際の売却価格に近い、正確な査定額を得ることができます。

訪問時の所要時間はおよそ2時間で、査定額がわかるまでには1週間程度の時間を要します。ただし、簡易査定やAI査定を受けた場合でも、実際に売却の手続きに進むためには訪問査定で正確な査定額を出してもらう必要があるため、売却の意思が明確な場合や、迅速に売却を進めたい場合は、はじめから訪問査定を依頼するのがおすすめです。

マンションの査定額を算出する方法

マンション査定の査定額は、取引事例比較法と呼ばれる、過去の取引価格を参考にする方法で計算されるのが一般的です。

また、人気のあるマンションの場合は、賃料収入や転売利益に着目した収益還元法で計算を行うこともあります。他に原価法と呼ばれる方法もありますが、マンションの査定方法としてはほとんど用いられません。

不動産査定の3つの方法

これらの3つの査定方法は、不動産鑑定士が「国が認める適切な取引価格」を計算するときの方法に準じています。不動産会社による査定は、不動産鑑定士が行う鑑定よりも、現実的な取引価格を出すことを目的としています。

取引事例比較法

取引事例比較法は、マンション査定の最も一般的な計算方法です。査定対象のマンションの近隣にある、条件が近い物件を探し、その過去の取引事例を基に査定額を決定します。実際に売れたマンションの価格を参考にするため、現実的な査定額を算出することが可能です。

取引事例比較法でマンション査定価格を計算するときは、下記の式を用います。

■取引事例比較法による建物評価額の算出式
・建物評価額 = 標準値の単価(円/平方メートル) × 建物面積(平方メートル) × 補正率

これは、国が地価公示法に基づいて公表する「正常な取引価格」の計算方法と基本的に同一です。

なお、算出内にある標準地とは、土地の利用状況や環境に特殊事情がなく、取引価格の参考とするのに適切な土地を指します。年1回のペースで、国の土地鑑定委員会が選定し、不動産鑑定士が価格の鑑定を行っています。

補正率には事情補正、時点補正、個別的要因比較、地域要因比較の4種類が存在します。各補正率の趣旨は次の通りです。

事情補正 依頼者が希望する売却時期や、市場の需要に関する補正
時点補正 売却時期に応じた市場の相場変化を反映する補正
個別的要因比較 立地、日当たり、築年数、そのほかの敷地・建物の条件による補正
地域要因比較 対象物件のある地域と、類似物件が含まれる別の地域の間に価格差がある場合の補正

収益還元法

3大都市の中心にあるマンションや、賃貸物件として人気のあるマンションなど、転売や賃貸による収入が見込めるマンションを査定する際には、収入還元方が用いられます。これは買主が将来得られる利益に着目した計算方法で、直接還元法とDCF法の2つに分類されます。

直接還元法では、マンション保有中に儲けられる額にスポットを当てます。計算方法は以下のとおりです。

■直接還元法による建物評価額の算出式
・建物評価額=1年間の純収益÷還元利回り

一方、DCF法は売却から一定期間が経過したあとまでを考慮し、売却価値の変動が買主の手取りに与える影響を含めた計算を行います。簡単に言えば、マンションの買主がしばらく賃料収入で生活したあと、その物件の価値下落を気にして売却することを折り込む方法です。

買主に売却損が出れば、賃料収入を含めた損益は想定よりも下落します。下記の式を用いて計算します。

■DCF法による建物評価額の算出式
・建物評価額=毎期得られる純収益の現在価値の合計値+将来の売却価格の現在価値

 

原価法

原価法は、不動産の査定価格を計算するときの方法の一つですが、マンション査定時に用いられることはほとんどありません。建物を建築しなおすときの費用に着目した手法であり、戸建ての物件を査定する際、あるいは建物を解体する予定の土地を査定する際に用いられます。

参考までに、原価法の算出式も紹介します。建物構造ごとに決まっている再調達単価と、建物の築年数からわかる耐用年数が基になっています。

■原価法による建物評価額の算出式
・再調達単価 × 延床面積 ÷ 耐用年数 × 残存年数(耐用年数-築年数)

 

まとめ

マンション査定の方法には、簡易査定、AI査定、訪問査定の3種類があります。

専門家の査定を受けたいものの、訪問対応まではしたくない場合は、簡易査定がおすすめです。匿名かつ即時に査定を受けたいならば、AI査定も選択肢に入るでしょう。もし「正確な価格が知りたい」「納得できる価格ならすぐ売却手続きに進みたい」と思うなら、訪問査定してもらうのがベストです。

マンション査定価格の計算方法としては、過去の事例と比較するのが一般的ですが、人気物件なら、買主が得る利益に着目した方法を用いることもあります。

いずれにしても気になるのは、中古マンションが売れると分かったときの「売却完了までの道のり」ではないでしょうか。必要な対応や書類が知りたいとき、すぐ売却検討に移りたい方は、こちらのページも参考にしてみてください。


遠藤 秋乃

執筆者

遠藤 秋乃
司法書士/行政書士/ライター

大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。
転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。
2017年に退社後フリーライターへ転身し、現在も活動中。
培ってきた知識や相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応した経験をもとに、原稿執筆を行う。

SNS:https://twitter.com/akino_endo

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