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マンションの売却を検討するとき、最初に考えるのは、「仲介」による売却方法、つまり仲介業者を通して買主を探す方法ではないでしょうか。しかし、仲介の場合は売却期間が予測できません。売却までのタイムリミットがある場合や早く売却をしたい事情がある場合などは「買取」が適しています。買取とは、買取業者(買取を行っている不動産会社)に直接買い取ってもらうという売却方法です。
今回は、仲介にはない買取ならではの特徴やメリット・デメリットとともに、買取で失敗しないために知っておきたい注意点を解説します。
マンション「買取」とは
マンションを売却する方法には「仲介」と「買取」の2種類あります。仲介業者(不動産会社)を通すのが一般的ですが、買取には仲介とは違うメリットがあるため、マンションを売却する方なら必ず押さえておくようにしましょう。ここでは、買取の概要と特徴を説明します。
「買取」ならではの特徴
「買取」とは、買取業者が直接物件を買い取る方法です。
仲介による売却では、いつ、誰が、いくらで購入してくれるかわからない中で販売活動をします。販売活動の前に、仲介業者が査定額をだしますが、その価格のとおりに売れるとは限りません。一方、買取では買取業者が出した査定額がそのまま売却価格になります。
マンション買取のメリットとデメリット
続いて、マンション買取のメリット・デメリットを整理して解説します。
マンション買取のメリット
まずは、マンション買取のメリットから見ていきましょう。
メリット1:短期間で売れやすい
仲介による売却では、不特定多数の方に向けて販売活動をするため、いつ売れるかはわかりません。一方、買取は、買取業者による査定額に売主が納得さえすれば、状況にもよりますが最短2週間、平均1か月ほどで買い取ってもらうことができます。
メリット2: 条件の悪いマンションでも売却できる可能性がある
- 築古
- 使用感や劣化が目立つ
- 設備が故障している
このような条件のマンションは仲介では売りにくい傾向があります。買取ならどんな物件でも買い取ってもらえるということはありませんが、買取業者は買取後にリフォームを行うことを前提としているため、一般消費者と比較すると「条件」や「現状」を重視する傾向は低いといえます。また、独自のノウハウや販売ルートを持っていたりするので、改修後の再販で利益が見込めると判断されれば買取対象となります。
メリット3:契約不適合責任が発生しない
仲介でマンションを売却した場合、売主には「契約不適合責任」が課されます。契約不適合責任とは、マンション売却後に欠陥や不具合が見つかった場合に、修理や損害賠償をしなくてはならない責任を売主が負うことです。
売主の契約不適合責任は民法で規定されていることですが、当事者の合意があれば免責とすることも可能です。買取であれば、契約不適合責任が免責となることが一般的です。
メリット4:まわりに知られず売却できる
買取によるマンション売却では販売活動は不要であるため、近隣などのまわりの方に知られずに売却できます。
仲介であっても、チラシを配布したり、インターネットに物件情報を載せたりする販売活動をしないことも可能ですが、それでは物件情報を周知することができず、好条件での売却には期待できません。不動産ポータルサイトや不動産会社のホームページやチラシなどへ物件情報が掲載されたり、休日に内覧者が訪問してきたりすることで、まわりの方に販売中であることが気づかれてしまう可能性もあります。買取にはそうした心配もありません。
メリット5:何度もの内覧の対応が不要
居住中の物件を仲介で売却するにあたって苦労するのが、内覧対応です。内覧での印象は購入検討者の決め手となるため、内覧の前には家中を整理整頓して、掃除することが求められます。1度や2度の内覧対応で成約となることは稀で、何度もの内覧対応をしてやっと成約するということも少なくありません。
一方、買取の場合は、買取業者が訪問するのは1度のみです。内覧時の印象が価格や売却スピードに影響することはないため、清掃なども不要で手間がかかりません。
メリット6:仲介手数料がかからない
買取では買取業者が買主(当事者)となるため、仲介にはあたりません。従って、仲介手数料はかかりません。
仲介手数料は「物件価格×3%+6万円(税別)」が上限です。多くの仲介業者は上限額を請求するため、売買金額が3,000万円なら96万円(税別)、5,000万円なら156万円(税別)と決して安い金額ではありません。この費用が節約できる点は、買取の大きなメリットだといえるでしょう。
マンション買取のデメリット
仲介と比較して多くのメリットがある買取ですが、デメリットもあります。それは、買取金額です。前述した通り、買取業者は、買い取った物件をリフォームして再販することで利益を出します。相場通りで買い取ってしまうと利益がでないため、買取価格は相場の7〜8割程度になるのが一般的です。
マンション買取でおさえるべき5つの注意点
最後に、マンション買取のメリット・デメリットを踏まえ、おさえるべき5つの注意点を解説します。
注意点1:信頼できる買取業者を選ぶ
すべての不動産会社がマンションを買い取ってくれるわけではなく、仲介業専門という不動産会社も少なくありません。売主から買取を行って、リフォームをして新たな顧客に販売する買取再販事業は、買取物件と買取価格の見極め、リフォームプランの作成と実施、再販と多岐に渡ります。これらは、一定の実績と信頼、資金力がなければできません。
好条件かつ安心して買い取ってもらうためには、大前提として、買取実績が豊富で、信頼できる買取業者を見極めることが大切です。
注意点2:ローン残債が返済可能かどうかを確認する
前述した通り、買取価格は仲介による売却価格の7〜8割程度となります。マンションの住宅ローン残債がある場合は、買取価格でローンが完済できるかどうかを確認しておきましょう。
ローン残債は、毎年、金融機関から郵送される残高証明書や借入当初にもらっているはずの返済予定表で確認できます。これらの書類が手元にない場合は、金融機関に問い合わせれば教えてもらえます。
注意点3:事前に相場を確認しておく
買取価格は、仲介による売却と比べて安くなる傾向にありますが、相場がまったく関係ないというわけではありません。査定額を提示してもらった際に金額が妥当であるかが判断できるよう、事前に相場を確認しておくことも大切です。
注意点4:リフォーム・リノベーションは行わない
買取では、基本的に現状維持の取引となります。「少しでも高く売りたい」「傷だらけで申し訳ない」という気持ちからリフォームや修繕の実施を検討することもあるかもしれませんが、売主がリフォームや修繕をしても、買取価格に影響しない場合もあります。かけた費用が無駄になってしまうため、現状のまま買取査定を依頼しましょう。
注意点5:買取価格以外の条件やサービスを確認する
買取に加えて、次のようなサービスを提供している買取業者もあります。
- 不用品処分/買取
- 買取保証
不用品の処分や買取をしてくれる業者なら、マンション内に家具や家電が残っていてもそのままの状態で売却できます。
「買取保証」とは、一定期間、仲介による販売活動をしてみて、売れなかった場合に限り不動産会社が買い取ってくれるというサービスです。限られた時間の中でも、高く売れるチャンスを逃したくない方に適した売却方法だといえるでしょう。
また、買取は「現状のまま」が基本であり、契約不適合責任は免責となるのが一般的ですが、この点は買取業者により異なります。売却後にトラブルに発展しないよう、契約前はこれらの条件やサービスを確認することも大切です。
注意点を理解したうえでマンションの買取を検討しよう
買取は、仲介では売れないマンションも売却できる可能性があることに加え、仲介より早く、手間なく売却できます。一方、仲介で売却する場合と比較して価格が落ちてしまうのが一般的です。このような買取の特徴やメリット・デメリットを理解したうえで、買取による売却を検討するようにしましょう。
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