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リースバック利用時のデメリットを解説!トラブルを回避するための4つのポイント

2023.10.10

リースバックとは、自宅を売却してまとまった資金を得る方法の一つで、そのままもとの家に住み続けられることがメリットになります。

高齢者の方などを中心に相続対策や老後の資金確保の手段として活用されています。とくに自分が亡くなったあと、誰かに引き継ぐ予定のない家に住んでいる方にとっては、メリットが大きい方法だと言えるでしょう。

しかし、リースバックにはデメリットやリスクもあります。知識がないまま契約すると、トラブルに発展する可能性もあるので、制度の仕組みや契約内容をよく理解して、慎重に判断することが大切です。

ここではリースバックの特徴や活用シーン、トラブルを回避するために知っておくべき3つのデメリットについて解説します。

そもそもリースバックとは?

リースバックの特徴は、自宅を不動産会社に売却し、その後、買主と賃貸借契約を締結したうえで、家賃を支払いながら借主として住み続けることにあります。

リースバックには、主に次のようなメリットがあります。

  • まとまった資金が得られる
  • そのまま自宅に住み続けることができる
  • 住宅ローンを早期に返済できる
  • 売却したことを周りに知られない
  • 将来的に買い戻しができる

通常の不動産売却とは異なり、売却後も同じ物件に住み続けられるため、生活スタイルをほとんど変えることのないまま、まとまった資金を得られる点が大きなメリットです。リースバックにより資金を得られれば、住宅ローンの早期返済や住み替え資金にも充てることができます。

また、自宅の所有権は失いますが、その後も借主として同じ物件に住み続けることができるので、売却したことを周りに知られる可能性は低く、条件によっては将来的に買い戻せるケースもあります。

どんなときに活用できる?

「病気や怪我で大きな資金が必要になった」「住宅ローンの返済が難しくなった」など、経済的な危機は誰にでも起こり得ます。このような際、短期間でまとまった資金を得られるリースバックは有効な手段です。

また、自宅の住み替えやリフォーム、老後の生活資金、施設入居費用を工面するために活用を検討することもできるでしょう。

リバースモーゲージとの違い

リースバックとよく似た仕組みにリバースモーゲージがあります。リバースモーゲージとは、自宅を担保にしたローン融資のことです。

契約者が亡くなったあと、自宅を売却することで元金を一括返済する仕組みなので、月々の支払いは借入利息のみであり、負担の少ない方法だと言えます。契約者が亡くなるまでは居住できるため、リースバックと同様、自宅の住み替えのほか、高齢者が老後の生活資金をまかなう目的などで利用されています。

ポイントは、リースバックとリバースモーゲージでは、所有権を失うタイミングが異なるということです。リースバックでは、最初に自宅や土地を不動産会社に売却するため、その時点で所有権は失われます。しかしリバースモーゲージでは、契約者が亡くなるまでは所有権を持ち続けます。

そのため、リバースモーゲージでは、リフォームなど自宅を自由に活用できますが、固定資産税などの税負担があるほか、建物の修繕・メンテナンスなどの手間が生じます。一方、リースバックではあくまで借主として入居するため、税負担や修繕・メンテナンスの必要は生じませんが、自由なリフォームは困難になるうえ、家賃の支払いも発生します。

不動産担保ローンとの違い

不動産担保ローンは、金融機関から融資を受ける際に、不動産を担保にして借り入れるローンです。リースバックと違い、不動産の所有権を保有し続け、ローンを完済するまでの間、ローン契約に従って返済を行います。

不動産担保ローンの契約期間は、一般的に数十年程度の長期に及ぶので、定期的な返済を行う必要があります。ローンによって資金調達を行うため、新しい物件の購入や法人が事業を拡大する際などに使用するのが一般的です。

リースバック、リバースモーゲージ、不動産担保ローンそれぞれの特徴

リースバック、リバースモーゲージ、不動産担保ローンの違いを表にまとめると以下の通りです。

リースバック リバースモーゲージ 不動産担保ローン
仕組み 物件を売却して、そのまま賃貸する 物件を担保にし、年金方式で資金を得る 物件を担保にし、資金調達する
借入の有無 なし あり あり
担保の設定 不要 必要 必要
所有権移転 する しない しない
固定資産税の納税義務 なし あり あり
年齢条件 事業者により異なる 60~65歳以上が原則 事業者により異なる
月々の負担 家賃 借入利息 元本+借入利息

リースバックとリバースモーゲージでは所有権移転の有無のほか、月々の負担が大きく異なります。リバースモーゲージは月々の支払いが利息のみにとどまり、一見するともっとも負担が少ない方法に思えますが、長生きするほど利息の支払いが増えるデメリットがある点を理解しておきましょう。

一方、不動産担保ローンはリースバックよりも多めに資金調達できますが、元本と利息を返済しなければなりません。そのため、月々の負担がもっとも大きいデメリットがあります。

それぞれの特徴をよく理解したうえで、最も適した手段を選択することが重要です。

トラブル実例から学ぶ、リースバック3つのデメリット

リースバックは自宅に住みながら資金調達したい方にとって大変便利な手法ですが、デメリットも少なくありません。実際、リースバックによって大きな失敗をしてしまった方もいます。

よくあるトラブル事例を2つ紹介します。

【事例1】賃貸借条件が「普通借家契約」でなく「定期借家契約」であることに後から気づいた

賃貸借契約の種類をきちんと把握できていなかったために、自宅に住み続けられなくなってしまったケースです。「定期借家契約」の場合、契約期間満了で退去するのが基本なので、借主が望めば継続できる「普通借家契約」とは大きな違いがあります。契約後のキャンセルは基本的にできず、取り返しのつかない事態に発展しかねません。

【事例2】賃料の合計額が売却価格を超えることに契約後になってから気づいた

物件を売却し、賃料を払って住み続けたほうが得になると思い込んでいたケースです。リースバックではほとんどの場合、物件の売却価格は相場よりも安くなり、反対に家賃は高く設定される傾向にあるので、金額的に得をする可能性は低いのが現実です。

以上のトラブル事例を踏まえ、リースバックが抱えるデメリットを3つ解説します。

1.家賃の支払いが発生する

リースバックを利用すると、物件を売却して借主として入居することになるので、固定資産税や都市計画税、住宅ローンなどの支払いはなくなります。

しかし、リース料として家賃を継続して支払わなければならず、住宅費の負担がゼロになるわけではありません。また、一般的な相場よりも家賃が高く設定されがちなので、負担が重くのしかかることもあるでしょう。

2.ずっと住み続けられないことも

リースバックでの契約は「定期借家契約」が基本です。定期借家契約の場合、一般的な賃貸借物件で適用される「普通借家契約」と違い、契約期間の延長ができません。

後から契約の変更をしたい場合は再契約を締結すれば住み続けることはできますが、貸主と借主双方の合意がなければ再契約はできません。したがって、借主が「契約期間満了後も家に住み続けたい」と主張しても、退去を求められるリスクがあります。

3.売却価格は安く、買い戻し価格は高くなる傾向に

リースバックを提供する会社は、借主の退去後、物件をリフォームして再販売することで利益を得ます。そのため、あらかじめリフォーム費用や維持管理コストを確保しておく必要があり、リースバックでの売却価格は市場価格の6~8割程度と割安になります。

将来的に買い戻すことは可能ですが、多くの場合、その額は売却価格を上回ります。安く売った後に高く買い戻すことになるので、自分で不動産を売却するケースと比較すると、金額的には損失が大きいと言えます。

これは物件売却によってまとまった資金が得られ、自宅に住み続けられるメリットの代償とも言えます。

リースバックで失敗しないために!利用時の4つのポイント

リースバックのデメリットを踏まえて、失敗しないためにはどうすれば良いのか、4つのポイントを解説します。

住み続ける期間、家賃を払えるかどうか確認しましょう

住み続ける期間が長い場合や家賃設定が高額な場合、負担が大きくなる可能性があります。居住期間と家賃はあらかじめよく確認しましょう。

負担額を確認するときは、最初の1年だけでなく、契約期間全体を通してどの程度の支払いになるのか、できるだけ正確に算出しておく必要があります。

また、リースバックの契約期間中の収支をシミュレーションして、支払いが無理なく続けられるかどうかを判断することが大切です。

契約前に条件や内容についてきちんと確認しましょう

契約の種類や期間、敷金・礼金などの費用を契約前にしっかり確認しましょう。前述した通り、定期借家契約の場合、契約期間の満了をもって退去となる可能性が高いので、不本意なかたちでの退去にならないように、必ず確認する必要があります。

また、売却価格や家賃は不動産会社の金額を鵜呑みにせず、周辺の相場価格から大きく外れていないか調べるようにしましょう。自分の住んでいる物件周辺相場を手軽に知りたい場合、不動産ポータルサイトで類似物件を調べたり、不動産会社の査定サービスを活用したりするなどの方法があります。

リースバックの場合、物件の売却価格は安くなる傾向がありますが、周辺の相場価格に対してあまりにも低い価格を提示された場合は、金額の根拠をしっかり把握することが大切です。納得できない場合や不安が残る場合は、複数の不動産会社へ査定依頼をして、比較してみることをおすすめします。

自身のライフプランに合った方法を選びましょう

リースバックでは物件の売却価格や賃料、賃貸契約期間など確認項目が多くあります。契約を締結する際は、将来の生活をシミュレーションしたうえで判断することが重要です。

また、リースバック以外にリバースモーゲージや不動産担保ローンなど、自宅に住みながら資金調達する方法もあります。それぞれ利用する条件やメリット・デメリットが異なるので、リースバックだけに限定せず、自身のライフプランに合った方法は何かをじっくりと比較してから選ぶようにしましょう。

信頼できる専門家/業者に相談しましょう

リースバックでは物件の買取先となる業者(不動産会社)と、継続的な付き合いをしなければなりません。物件を売却したあと、買主となった業者と賃貸借契約を締結し、その後も借主として住み続けるためです。

長期的な関係になることを視野に入れ、売却価格や家賃だけで決めるのではなく、情報の真摯な開示、サービスの充実性や営業担当者の誠実な対応など、総合的に見て信頼できそうな業者に依頼するようにしましょう。

もし不安な場合は実績やノウハウが豊富な不動産会社のほか、弁護士、税理士などの専門家へ相談することをおすすめします。

利用の前にはしっかりと確認を!起こりうるリスクを把握しておきましょう

リースバックの利用を考える場合、制度の仕組みはもちろん、契約内容をよく理解しておかなければなりません。内容をよく把握しないまま契約すると、将来トラブルに発展するリスクがあります。

そのため、リースバックで起きうるトラブルやデメリットをしっかりと理解したうえで、慎重に判断するようにしましょう。また、リバースモーゲージや不動産担保ローンなど、ほかの手法とも比較して、本当にリースバックが自分に適したプランなのか、考えることも大切です。

もしリースバックの仕組みや契約内容の理解が難しい場合は、信頼のおける業者や専門家を頼ってアドバイスを受けることも検討してみましょう。

草野 芳史

監修者

草野 芳史
ファイナンシャルプランナーCFP(R)/住宅ローンアドバイザー/宅地建物取引士/金城学院大学非常勤講師

建設業界歴20年以上の、建築に精通した住宅専門ファイナンシャルプランナー。住宅購入者の味方として、資金計画・住宅ローン、物件・住宅会社選びや建物検査、さらに入居後のライフプランまで一貫して、マイホーム購入を成功に導く専門家。「本当の意味で住宅購入者の味方でありたい」との想いから、住宅や保険、ローンなどの商品を売らないファイナンシャルプランナーとして名古屋駅前に家計とマイホーム相談室を設立。「安心してお得に理想の家が実現した」と喜びの声が多数寄せられる。売り手主導で“クレーム産業”と呼ばれる住宅・不動産業界の体質を変え、買い手主導の家づくりを世に広めるべく、奮闘中。

会社ホームページ:https://my-home-fp.com/

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