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マンション売却で税金がかからないケースとは?譲渡所得税の計算方法と特例控除

2024.05.20

マンション売却時の税金にはいくつか種類がありますが、基本的には、翌年の確定申告で納付することになる「譲渡所得税」が最も重要になります。

特に、譲渡所得税は特例控除の活用を検討すれば、課税される利益をゼロにできる場合もあります。

ここでは、マンション売却時に譲渡所得税がゼロになるケースを、課税の対象になる利益の計算方法を交えて紹介します。

マンション売却で譲渡所得税がかからないケース

マンション売却では主に譲渡所得税、印紙税、登録免許税の3つの税金がかかります。これらのうち譲渡所得税は、課税対象となる利益がゼロであれば発生しません。具体的には、次の場合が挙げられます

  • 諸経費を考慮した結果、マンション売却による利益がゼロになる場合
  • マンション売却による利益に対する、特例控除を受けられる場合

マンション売却で利益がでなかった場合

前提として、マンション売却において、譲渡所得税がかかるのは諸経費を差し引いた利益(譲渡所得)の部分です。諸経費には、売ったマンションの残存価値や購入手数料にあたる「取得費」と、売却時に不動産会社に払う仲介手数料などの「譲渡費用」があります。

マンションの売却価格から取得費、譲渡費用を差し引いた金額がゼロであれば、譲渡所得税はかかりません。課税される部分にあたる譲渡所得は、次の方法で計算できます。

■譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)-(特別控除)

実際に、売却で利益が出たケースを想定して、課税対象となる部分を見てみましょう。以下の例1では、売却価格5,000万円のうち1,600万円が利益となり、譲渡所得税がかかります。

■例1:購入価格より売却価格の方が高くなった場合
・売却価格:5,000万円
・取得費:3,000万円
・譲渡費用:400万円

譲渡所得=5,000万円-(3,000万円+400万円)=1,600万円

次に、以下の例2では、マンションを売って安い家に買い替えるケースを考えてみましょう。この場合、利益の計算の基となるのは、売却価格と新居の購入代金の差額です。売却価格と購入価格の差は1,000万円ですが、計算の結果、320万円が譲渡所得税がかかる部分となります。

■例2:売却価格より安い家に住み替えた場合
・売却価格:5,000万円
・新居の購入価格:4,000万円
・取得費:3,000万円
・譲渡費用:400万円

  • 計算方法
    ①譲渡益
    5,000万円-4,000万円=1,000万円
    ②譲渡益に対応する取得費・譲渡費用の割合
    1,000万円÷5,000万円=0.2
    ③譲渡益に対応する取得費
    3,000万円×0.2=600万円
    ④譲渡益に対応する譲渡費用
    400万円×0.2=80万円

譲渡所得=1,000万円-(600万円+80万円)=320万円

なお、計算後申告した譲渡所得に対してかかる税率は、マンションの所有期間に応じて変わります。住民税および復興特別所得税を含む税率は以下の通りです。

■マンション売却時の譲渡所得税の税率

譲渡所得の種類 所有期間 税率
長期譲渡所得 所有期間5年超 20.315%
(うち住民税5%)
短期譲渡所得 所有期間5年以下 39.63%
(うち住民税9%)

特例控除を受けた場合

マンション売却で利益が出た場合でも、一定の条件を満たすと特例控除を受けられ、課税される利益を少なくすることが可能です。利益から特別控除額を引いた金額がゼロより小さくなれば、譲渡所得税はかかりません。

なお、マンション売却に適用できる特例控除の種類として、主に下記の3つが挙げられます。

  • 3,000万円の特別控除
  • 軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買換え特例

特例による特別控除で注意したいのは、課税額はゼロでも必ず確定申告しなければならない点です。特例の適用要件を満たしている旨を、確定申告書および添付書類で証明する必要があるからです。

特例①3,000万円の特別控除

自身が居住するマンションや戸建を売った場合、利益から最大で3,000万円の控除を受けられます。この特例は、正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と言います。

なお、特例により3,000万円の特別控除が受けられるのは、下の表の要件を満たす場合です。

■3,000万円控除の適用要件(マンション売却の場合)

売却時期 住まなくなった日から
3年が経過する日が属する12月31日まで
買主 売主とのあいだに
親子、夫婦などの特別な関係がないこと
そのほかの要件 別荘や仮住まいの売却や
特例適用だけを目的とした売却でないこと

参照元:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

特例②軽減税率の特例

売ったマンションの所有者として住んでいた期間が10年以上であれば 、譲渡所得税の税率が通常の15%から10%に軽減される特例があります。この「軽減税率の特例」の詳しい適用要件は、下の表の通りです。

■軽減税率の特例の適用要件(マンション売却の場合)

所有期間 売った年の1月1日で
10年を超えていること
売却時期 住まなくなった日から
3年が経過する日が属する12月31日まで
買主 親子・夫婦など
売主との特別な関係がないこと

参照元:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

マンション売却時に適用できる軽減税率の特例のポイントは、3,000万円控除との併用が認められる点です。価値の高いマンションを売るケースなど、3,000万円を超える利益が出た場合には、超えた部分に対して軽減税率の特例を適用できます。

特例③特定の居住用財産の買換え

マンションを売却して新たな家を購入する場合、売った家・買った家のそれぞれについて一定の要件を満たすと、利益に対する譲渡所得税を将来に繰り延べられます。この特例は「特定の居住用財産の買換えの特例」と呼ばれ、下の表にあるのが適用要件です。

■売った家の要件(マンション売却の場合)

売却時期 2023年(令和5年)12月31日まで
居住期間など 居住期間10年以上、かつ、
売った年の1月1日時点で所有期間10年超
売却価格 1億円以下

■買った家の要件

購入時期 前のマンションを売った年の前年から
翌年までの3年間
居住開始時期 前年または売った年に取得した場合:
翌年12月31日まで
売った年の翌年に取得した場合:
取得した年の翌年12月31日まで
面積 土地:500平方メートル以下
建物:50平方メートル以下
中古住宅の場合 取得日以前の25年以内に建築された住宅でなければ、
一定の期限までに耐震基準に適合する必要あり

参照元:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁

買換え特例で注意したいのは、3,000万円控除および軽減税率の特例との併用ができない点です。新居購入を前提としたマンション売却を予定するなら、お得になる特例の選択を見極めましょう。

マンション売却における税金については、こちらのページでも詳しく解説しています。税金を納めたあとの利益がどのくらいになるか知りたい人は、是非確認してみてください。

マンション売却時には税金がかからない場合がある

マンション売却時にかかる譲渡所得税は、取得費・譲渡費用・特例控除などによって課税対象となる利益がゼロになれば発生しません。難しいのは、諸経費の計算や、特例の適用要件に関する確認です。

マンションの売却依頼や買取サービスを行う不動産会社は、税金についても熟知しています。課税額のシミュレーションなどについては、査定を依頼するときに相談してみると良いでしょう。

東京ガスグループでは、マンションの簡易査定サービスを行っています。最短7日で売却完了できるほか、査定価格=売却価格になるため、譲渡所得税等の算出はもちろん、資金計画を立てやすいです。売却を検討されている方は、ぜひチェックしてみてください。

遠藤 秋乃

執筆者

遠藤 秋乃
司法書士/行政書士/ライター

大学卒業後、メガバンクの融資部門での勤務2年を経て不動産会社へ転職。
転職後、2015年~2016年にかけて、司法書士試験・行政書士試験に合格。
2017年に退社後フリーライターへ転身し、現在も活動中。
培ってきた知識や相続準備に悩む顧客の相談に200件以上対応した経験をもとに、原稿執筆を行う。

SNS:https://twitter.com/akino_endo

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