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老後は「賃貸」と「持ち家」どちらが良い?データで見る実情とメリット・デメリットを解説

2023.10.19

老後の住まいは賃貸と持ち家どちらが良いのでしょうか。高齢になってからは賃貸を借りにくくなるのではと不安に感じている方もいるかもしれません。

実際に、賃貸に暮らす高齢者世帯はどのくらいいるのでしょうか。本記事ではデータでみる実情とともに、老後に賃貸で暮らすメリット・デメリットを解説します。

老後は持ち家?賃貸?データから見る割合

出典:総務省「2018年住宅・土地統計調査」より作図

実際に、賃貸で暮らす高齢者世帯はどのくらいの割合なのでしょうか。

総務省による2018年の調査によれば、高齢者のいる世帯では賃貸の割合は35.6%、持ち家の割合は61.2%となっています。高齢者でも賃貸で身軽に暮らす方も一定数はいるものの、持ち家率の方が高いことがわかります。

老後に賃貸で暮らすメリット・デメリット

老後に賃貸で暮らすメリット・デメリット

続いては、老後に賃貸で暮らすメリットとデメリットを見ていきましょう。

老後に賃貸で暮らすメリット

  • ライフステージに合わせた住み替えがしやすい
  • 突発的な出費がない
  • 固定資産税が発生しない
  • 不動産に関する相続問題が発生しない

賃貸は持ち家に比べて、ライフステージに合わせた住み替えがしやすい点がメリットです。ライフステージが変わり、場所をはじめ住宅の構造や間取り、広さが合わなくなっても、転居すればその時々にあった住まいへ住み替えられます。

また、設備の劣化や故障があっても、修繕費などの費用は貸主負担となる契約が多いため、突発的な出費がない点もメリットの1つです。不動産を持たないため固定資産税や不動産の相続問題についての心配もありません。

老後に賃貸で暮らすデメリット

  • 自由にリフォームできない
  • 家賃の支払いが一生続くこと
  • 入居できない可能性がある

賃貸は、賃貸契約の条件や貸主の意向にもよりますが、一般的に持ち家のように自由にリフォームができません。「バリアフリーではない」「劣化が目立つ」といった経年による課題は入居者の立場ではどうすることもできません。

また、賃貸は突発的な費用がかかるケースはほとんどないものの、家賃だけはかかり続けます。同規模の持ち家であれば、ローンを完済すれば、管理費、修繕費や固定資産税は毎年かかるものの月々の支払いの負担は減る可能性があります。

さらに、高齢者は賃貸に入居できないケースも少なくないということも、懸念材料の1つになってくるでしょう。国土交通省は、高齢であるということのみをもって入居を制限しないよう方針を示しているものの、依然として高齢者の方に対し、保証人の有無や収入面・健康面などを気にし、入居制限などを設けている物件もあります。そのため、居住していた物件から建て替えなどで移り住むことになった場合、高齢者でも入居できる物件を探す必要が出てきます。

このように、老後に賃貸で暮らす場合はメリットだけでなく、デメリットもあるため、よく検討する必要があります。

老後の住まいを具体的に考えるためのポイント

老後の住まいを具体的に考えるためのポイント

賃貸と持ち家どちらが良いかを考えるためには、老後の暮らしをより具体的にイメージする必要があります。

たとえば、資金に余裕があるのであれば持ち家を購入することも選択肢となるでしょう。資産になることや、ローン完済後は月々の支払いの負担が減るため、その後の収支の不安を解消できます。

また、住み慣れた住環境で暮らしていきたいとの思いがあるのであれば、賃貸よりも持ち家の方が適しています。もし、親族の介護などで住環境を変える必要性を感じているのであれば、いつでも住み替えがしやすい身軽な賃貸の方があっていると言えます。

将来、ご自身が大切にしたいポイントはどこなのかを具体的に考えて検討するようにしましょう。

一般的な賃貸以外の選択肢とは

一般的な賃貸以外の選択肢とは

超高齢化社会になった今、シニア層の住まいの選択肢は多様化しています。一般的な賃貸以外の選択肢は、次のようなものがあります。

  • リーズバック・リバースモゲージを活用して今の持ち家に住み続ける
  • 「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」に住み替える

この後説明するそれぞれの特徴をもとに、自分にあった住まいを選択しましょう。

リーズバック・リバースモゲージを活用して今の持ち家に住み続ける

住み慣れた今の住まいに住み続けたいと考える方も多いと思います。持ち家の場合は、設備の老朽化や身体の変化に備えてバリアフリー化などのリフォームをする必要性は出てくるでしょう。

今の住まいに住み続けたいが、手元の資金面で不安がある場合には「リースバック」や「リバースモーゲージ」を活用して住み続ける選択肢があります。

リースバック

リースバックとは、自宅に住み続けながら売却する手段を指します。その仕組みは、売却後の賃貸借です。売却後、売主(所有者)は借主に、買主は所有者かつ貸主になります。形式的には、賃貸に暮らすということになりますが、元自宅であることから転居は不要で、生活環境が変わることもありません。売却によって対価を得たうえで、一般的な賃貸同様、家賃を支払って住み続けることとなります。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージもまた、自宅に住み続けながら資金調達できる手段の1つです。リースバックとは異なり、自宅の売却ではなく、自宅を担保にした融資がリバースモーゲージの仕組みとなります。融資してもらったお金でリフォームすることも可能です。融資を得ている間は利息負担のみで、所有者が亡くなったときに自宅を売却して完済します。

「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」に住み替える

「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」と呼ばれる体調の変化や介護の負担などにも対応できる高齢者向けの物件も増えています。サ高住には分譲タイプのものもありますが、賃貸スタイルも少なくありません。

一般的な賃貸とは異なり、入居時の一時金や毎月の施設利用料の負担が必要になってきますが、年齢によって入居を制限されることはなく、住宅にかかる費用の見通しも立ちやすい特徴があります。体調面で不安がある場合や、介護の必要性を感じている場合に検討すると良いでしょう。

賃貸のメリット・デメリットを把握して最適な選択を

賃貸のメリット・デメリットを把握して最適な選択を

老後は賃貸か持ち家かどちらがいいかは一概に言えませんが、それぞれのメリット・デメリットを把握してより具体的に老後の暮らしを考えることが大切です。ライフスタイルや資金面はもちろん、体調面や介護などさまざまな角度で考えることをおすすめします。

十分に比較・検討したうえで、これからの自分にとって最適な住まいを見つけましょう。

中田 敏之

監修者

中田 敏之
不動産鑑定士/宅地建物取引士

三菱電機情報ネットワーク株式会社(現在の三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社)でエンジニアとして勤務し、その後一般財団法人日本不動産研究所で不動産鑑定・研究の職務に従事。その後、千葉市で株式会社中田不動産鑑定を開業し、代表取締役に就任。主に首都圏を中心に不動産鑑定・研究業務に従事しています。

会社ホームページ:https://nakata-kantei.net/

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