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老後を見据えた終の住処として「マンション」を検討している方も多いのではないでしょうか。
マンションは戸建てに比べ、セキュリティ面が充実している点や管理や修繕の負担が少ないことなどから老後の住まいに適していますが、物件選びに際しては注意点もあります。またマンションに住むといっても、持ち家なのか賃貸なのかによって、必要な老後資金や暮らしの快適性は大きく異なります。
本記事では、老後にマンションで暮らすメリット・デメリットについて解説します。また、持ち家と賃貸のメリットも比較して解説しますので、老後の住まい選びにお役立てください。
老後にマンションで暮らすメリット
まずは、老後にマンションで暮らすメリットから見ていきましょう。
ワンフロアで生活できる
年齢を重ねると、足腰が弱くなりわずかな段差にもつまずいたり、階段の上り下りが辛くなったりするものですが、マンションなら居住空間がワンフロアで完結するものが多いため、そのような悩みは生じません。ワンフロアの住まいは、家事動線・生活動線も短くなる傾向にあるため、掃除や洗濯などの負担も軽減します。
ただし、郊外の低層マンションや団地などにはエレベーターがない物件もあります。また、マンションによっては、内階段のあるメゾネットタイプや段差がある物件もあるため、注意が必要です。
セキュリティ対策がされている
マンションは、戸建てと比較して防犯性が高いと言われています。その理由には、次のようなことがあげられます。
- 管理人がいるなど、人の目がある
- オートロックや防犯カメラが設置されている
ただ、すべてのマンションに上記のような条件がそろっているわけではありませんが、新しいマンションになるほどセキュリティ面が充実している傾向にあります。
立地の良い場所に住める
物件次第ではありますが、駅前・駅近の物件の選択肢が豊富な点は多くのエリアで共通しています。とくに近年は、駅前などの再開発エリアでマンションが建築されるケースが多く、駅近というだけでなく、医療機関や商業エリアなどが近隣にあるため、老後も便利に安心して暮らすことができるでしょう。
修繕・維持の手間がかからない
毎月、管理費や修繕積立金は徴収されるものの、管理組合が主体となってマンション共有部分の維持・管理をします。戸建てのように自身で修繕・維持する必要がなく、手間がかからないメリットがあります。
ただし、マンションによっては、修繕計画が立てられていなかったり、計画実施に必要な費用が十分に積み立てられていなかったりする場合もあるので、管理組合の運営状況や修繕計画、積立金の状況を慎重に見極める必要があります。
老後、マンションで暮らすデメリット
老後の生活を送るうえで、マンションの構造や防犯性、管理方法はメリットとなりますが、メリットとデメリットは表裏一体の側面もあります。
戸建てより狭い
ワンフロアの物件が多いという点はマンションのメリットですが、フロアを複数設けることができる戸建に比べて「窮屈」「狭い」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、基本的に階段がないため、延べ床面積に対して居住スペースが占める割合は高い傾向にあります。同じ広さであれば、マンションのほうが広く感じる場合もあります。
近隣住民へ配慮する必要がある
マンションで暮らすうえで必ず配慮しなければならないのが、音の問題です。近年では、二重床や二重天井を採用するなど、遮音性が高い物件が増えている傾向にありますが、築年帯や構造によっては音が響きやすいため、騒音を出さないように注意しなければなりません。
管理費・修繕積立金の負担が増える可能性がある
国土交通省は、2021年に『マンションの修繕積立金に関するガイドライン』を改訂しました。このガイドラインには、マンションを適切に維持・管理していくために必要な修繕積立金額の目安が明記されていますが、改訂に伴い、この金額が増額されました。
「管理費や修繕積立金を支払えば大丈夫」と考えている方も多いでしょうが、資金計画や物件選びに際しては、この金額が将来、増額する可能性もあることを視野に入れておかなければなりません。
老後は「持ち家」か「賃貸」かを比較
老後の住まいで悩むのは、マンションか戸建かの物件種別だけではないはずです。「持ち家」か「賃貸」かという点もまた、生活費や暮らしの快適性に大きく関わります。
ここでは、それぞれのメリットをあげて比較します。
持ち家のメリット
- ローン完済後は住居費の負担が軽くなる
- 所有権があるため、ずっと住み続けられる
- 暮らしの自由度が高い
持ち家のメリットは、なんといっても自らの所有物である点でしょう。
ローンの返済が終われば、固定資産税や管理費、マンションであれば修繕積立金、戸建であれば修繕費の支払いのみになり、住居費の負担が軽くなりますし、ずっと住み続けられる点がメリットです。
マンションにおいては管理規約にもよりますが、リフォームを行うことで自分好みの部屋を作り上げることができます。
ただし、マンションの場合は生活を送るうえでのルールが定められており、建て替えや取り壊しになれば退去を求められることもあります。管理規約や物件の築年数については十分に確認しておきましょう。
賃貸のメリット
- ライフステージに合わせて住み替えやすい
- 突発的な出費がない
- 相続問題が発生しにくい
持ち家は気軽に引越しをすることができません。一方、賃貸住宅であれば、場所をはじめ住宅の構造や間取り、広さが合わなくなったら住み替えることができます。
また、建物の修理やメンテナンスが発生した場合は、一般的には貸主である大家が費用を負担するため、突発的な出費がありません。家賃はかかり続けるものの、生活費・居住費の見通しは立ちやすいといえるでしょう。
また、将来的なことを考えると、持ち家による親族の相続問題も発生しないのがメリットです。
老後に持ち家のマンションで暮らす場合の「後悔しないためのポイント」
ここまでは住み方を比較してきましたが、メリットとデメリットは表裏一体であり、人によって捉え方も変わってきます。
老後を見据えて住まいを選ぶポイントは資金面だけでなく、歳を重ねていくことで変わっていくと考えられる理想の暮らしや身体の変化を具体的にイメージすることです。
イメージするうえで重要な検討ポイントを以下で説明します。
無理のない資金計画を立てる
老後を見据えてマンションを購入する際には、綿密な資金計画を立てましょう。住宅ローン商品の中には80歳まで借り入れられるタイプもあるので、50代、60代で新たに住宅ローンを組むことも可能です。
しかし、年金生活になってもローンを返済していけるのか、慎重に検討しなければなりません。80歳までの借り入れとしても、繰り上げ返済をすれば老後生活の負担を減らすことができます。
今後の収入、支出を見越してキャッシュフロー表を作成し、老後資金に不足がでないか、老後生活の夢や理想を実現できるかを考えましょう。
周辺環境やマンションの間取り・設計を確認する
50代、60代は、まだまだ体力の余裕はあるものの、徐々に暮らしや身体の変化が現れる時期です。今は難なく上り下りできている階段も、5年後、10年後には辛くなる可能性があります。
また、今は駅からの距離が苦ではなくても、将来足腰が弱ってきたときには負担に感じるかもしれません。従って、マンションの間取りや設計とともに、周辺環境が老後の生活にもマッチするかどうかは必ず確認しておきたいポイントとなるでしょう。
ライフプランを立てる
資金計画を立てるうえでも、物件を選ぶうえでも必要になるのが、老後にどんな生活を送りたいかライフプランを明確にすることです。
退職までのライフプランを考えている人は多いものですが、それ以降のプランが明確になっている方は決して多くありません。住まいを考えることは、暮らしを考えることと同義です。まずは、これからの暮らしをイメージすることから始めてみましょう。
最適な住まい選びを
世帯によってライフプランや資産状況、健康状態は異なります。まずはこれらを見直し、マンションのメリット・デメリットと照らし合わせて、自分に最適な住まいを見つけることが大切です。
老後は、これまで仕事や子育てで忙しく暮らしていたときにはできなかったことをするチャンスでもあります。
老後に実現したいことや、なりたい自分を想像したうえで資金計画を立て、物件選びをすることで、後悔のない人生が送れるのではないでしょうか。
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