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介護リフォームで失敗しないために考えるべき5つのポイント|使える補助金も解説

2023.10.16

介護リフォームとは、介護を必要とする人が安全に暮らせるように自宅を改修する工事のことです。たとえば手すりの設置、段差の解消、トイレや浴室の改修などが該当し、バリアフリーリフォームとも呼ばれます。

介護が必要な人が身近にいる場合、介護される方や介護する方(介助者)が安心・安全に過ごすために介護リフォームを検討する方もいるでしょう。介護リフォームを考えるときは、介護される方、介助者のそれぞれが暮らしやすく、満足できる環境を整えることが大切です。

ここでは、介護リフォームを考えるための5つのポイント、リフォームに必要な予算、介護される方の症状に合わせた改修ポイントも説明します。今後、自分の親や親族の介護をする可能性のある方はぜひ参考にしてください。

介護リフォームとは

介護リフォームとは、介護を必要とする人が安全に暮らせるように自宅を改修する工事のことです。たとえば手すりの設置、段差の解消、トイレや浴室の改修などが該当し、バリアフリーリフォームとも呼ばれます。

介護リフォームをする必要性

2013年の独立行政法人国民生活センター「医療機関ネットワークにおける高齢者の家庭内事故について」によると、65歳以上の事故発生場所は「住宅」が77%と多くなっており、事故の程度では65歳未満に比べて中等症、重症の割合が増える傾向にあります。また、原因として多いのは、転落(30%)、転倒(22%)で、なかでも階段での怪我が多い結果となっています。

転倒などによる事故は、適切な介護リフォームを行うことで予防することができます。自宅内で事故を起こしやすい場所はある程度決まっているので、事前に危険な場所を把握し、事前に対策しておくことで安全性を高めることができるでしょう。

ただし、事故を起こしやすい場所は、その家の間取りや構造によっても変わります。ご自身の住居の中で危険と思われる場所がないか、検証することから始めましょう。

介護リフォームを考える際の5つのポイント

介護リフォームを行う際に注意すべき5つのポイントを解説します。

ポイント1|本人だけでなく、介助者にとっても快適なリフォームにしましょう

ストレスのない介護生活を送るためには、介護される方だけでなく、介助者にとっても快適な環境にする必要があります。

また、リフォームにより、介護される方が自力でできる行動が増えれば、介助者の負担軽減にもつながります。快適さを求めるだけでなく、介護される人の自立を促す設計にすることが大切です。

ポイント2|本人の症状にあった内容にしましょう

介護が必要な症状は、個人によって異なります。介護リフォームを検討する際は、介護される方が何に困っているのか、日常生活の中でできないことは何か、どんな動きを困難に感じているのかなど、悩みの内容をよく理解して、その症状に適した改修を行うことが重要です。

たとえば、手すりの設置は歩行に支障がある場合に有効ですが、自宅内のすべての箇所に設置する必要はありません。不要なリフォームを行っても、無駄な出費になったり、かえって通行の妨げになったりするので、介護される方や介護する家族のニーズを考慮したリフォームを心がけましょう。

ポイント3|リフォームでは、本人の「できる喜び」を奪わない

日常生活を送るうえで、本来自分でできることを手伝ってしまうと、介助者への依存度も高くなりがちです。自立心を促すために、リフォームによって「介護せずともできる」状況を作ることも重要になります。

たとえば、トイレや浴室に向かう動線に手すりを設置したり、段差を解消してスロープにしたりすれば、介助者の力を借りなくても一人で向かえるようになるかもしれません。介護リフォームを考える際は、本人の「できる喜び」を大切にして、自立心を促すような計画を立てることが大切です。

ポイント4|補助金をうまく活用しましょう

介護やバリアフリーを目的としたリフォームを行う場合、自治体の補助金・助成金制度を活用できるケースがあります。補助金を活用すれば、予算に余裕をもってリフォームができるので、積極的に活用することをおすすめします。

たとえば東京都港区では、65歳以上の日常生活動作に困難があり住宅改修が必要な人を対象に、「予防給付」として手すりの設置・段差の解消などのリフォームに対して最大20万円を給付する助成金制度があります。また「設備給付」として、浴槽や流し洗面台の交換など、内容に応じて最大10〜38万円程度を助成するとされています(いずれも2023年8月現在)。

ただし、補助金を受けるためには適用条件を満たしたうえ、所定の手続きを経る必要があります。内容は市町村によって異なるため、事前に各自治体の相談窓口へ問い合わせ、条件や申請方法を確認するようにしましょう。

また、全国の自治体が運営主体となる介護保険からの住宅改修費支給も負担軽減の有効な対策になるため、こちらも上手に活用すると良いでしょう。

ポイント5|リフォームプランはケアマネージャーや介護士、リハビリ専門職とも相談し、知見のある業者に依頼を

介護リフォームは介護される方や介助者だけでなく、担当のケアマネジャーや介護士、リハビリ中の方は担当のリハビリ専門職(理学療法士や作業療法士)にもよく相談して計画を立てることが重要です。

専門知識・経験の豊富なケアマネージャーや介護士、介護される方の身体の状態を把握しているリハビリ専門職からのアドバイスを生かせば、適切なリフォームプランを構築できるでしょう。

また、介護リフォームを実施する業者の選定も重要なポイントです。ケアマネージャーや介護士、リハビリ専門職の考えたリフォームプランが良いものであっても、実際に工事を行うのはリフォーム業者です。プランを実現できるだけの技術力のある業者に依頼する必要があります。

福祉用具専門相談員や福祉住環境コーディネーターなど、福祉関係の資格を持ち、さらに介護リフォームの実績・ノウハウが豊富にある会社であれば、安心して任せられるでしょう。

また、複数社から見積もりを取って比較することも大切です。複数社から見積もりを取れば、工事費の相場が把握できるだけでなく、リフォームプランを多く得られるメリットもあります。

介護リフォームの予算、具体的にはどれだけ必要?

リフォームに必要な予算はどれくらい必要なのでしょうか。また、介護される方の症状に合わせてどのようなリフォームが必要になるのか、確認していきましょう。

主なリフォーム場所と予算の相場

介護リフォームを考える場合、まず主なリフォーム場所と予算の相場を把握することが重要です。

以下に主なリフォーム場所と内容、金額の相場をまとめます。

場所 リフォームの内容 金額相場
トイレ 和式から洋式便器への変更 20万〜40万円程度
トイレの室内拡張 10万〜30万円程度
段差の解消 1万〜10万円程度
手すりの設置 3万~10万円程度
浴室 浴槽の交換 50万〜100万円程度
滑りにくい床材へ変更 10万〜20万円程度
段差の解消 1万〜10万円程度
手すりの設置 3万~10万円程度
玄関 引き戸への交換 20万~30万円程度
スロープの設置 10万~20万円前後
手すりの設置 3万~10万円程度
階段 階段の配置換え・段差の変更 50万〜100万円程度
滑りにくい床材へ変更 10万〜20万円程度
手すりの設置 3万~10万円程度

注…手すりの設置は下地補強をする場合の金額としています。下地補強がない場合は、1万~3万円が相場ですが、面積が増加するほど高額になります

ただし、金額相場はあくまで目安であり、建物の状態やリフォームの範囲、求めるスペックなどによって異なります。そのため、金額が大きい場合は複数社から見積もりを取って、比較検討することをおすすめします。

症状に合わせたリフォームの具体例

介護リフォームにはさまざまな種類があるため、必要性のあるリフォームは何かを見定めるようにしましょう。

以下に介護される方の症状ごとにリフォームのポイントをまとめます。

介護される方の症状 リフォームのポイント
半身麻痺 ・トイレや浴室に手すりを設置する

・床材を変更する(クッションフロア、滑りにくいものなど)

・車椅子を利用しやすいようにスペースを拡張する

認知症 ・トイレや浴室の動線に矢印マークを入れる

・家具の配置を見直して動線をスムーズにする

・玄関や窓にセンサーや補助錠をつける

・自動消火機能のついたガスコンロやIHコンロに交換する

視覚障害 ・明るい照明を設置して、視認性を向上させる

・手すりやスロープを設けるなどして、転倒防止に努める

聴覚障害 ・遮音性や吸音性の高い壁や窓を設置する

・警告システムを導入する

トイレや浴室などのバリアフリー化や、手すりの設置は、介護リフォームの基本です。ただし、すべての介護される方に対して有効というわけではありません。

たとえば脳梗塞などにより半身麻痺になった方であれば、自宅内で転倒事故を起こさないように、バリアフリー環境をしっかりと整える必要があります。

一方、加齢による運動機能の低下が原因の場合、あまり過剰なリフォームをすると体を動かす機会が減り、むしろ症状を悪化させてしまうことも考えられます。また、安易に手すりをつけると、車椅子が通れなくなったり、通路が狭まり歩きづらくなったりすることもあるので、設置場所には十分注意しなければなりません。

また、認知症の場合、室内の配色をわかりやすいものにしたり、動線を整えたりすることは有効です。しかし、大規模なリフォームをして部屋のレイアウトを大きく変えると、介護される方を混乱させてしまうリスクがあるので、部屋のレイアウトは現状維持が好ましいと言えます。認知症の進行段階によっても、有効な対策が異なることも理解しておきましょう。

なお、認知症の場合も、初期の段階で過剰なリフォームをすると、体を動かさなくなり、進行を早めるリスクがあります。あえて住環境や接し方を変えないほうが良いケースもあるのです。

ただし、将来的に認知症が進行したときに備え、居室の近くにトイレや浴室を設置するなど、動線をできるだけ短くするためのレイアウト変更案を事前に考えておくことは大切です。

みんなが快適に過ごせる介護リフォームを

介護される方が安全・安心に日常生活を送るためには、自宅の環境を整えることが重要です。

いつか介護リフォームの必要性に直面することもあるでしょう。介護が開始する前であっても、身体能力の衰えを感じたら早めに計画することが大切です。

補助金制度を有効に活用し、介護される方、そして介助者が快適に毎日を送ることのできるリフォームを目指しましょう。

中谷 ミホ

監修者

中谷 ミホ
介護福祉士/ケアマネージャー/社会福祉士/保育士/福祉住環境コーディネーター3級

介護士、相談員、ケアマネージャーとして介護現場で20年活躍。現在はライターとして、介護業界での経験を活かし、介護・福祉に関わる記事を多く執筆しています。

中谷ミホのプロフィール:https://note.com/jippo_note_/n/n7091dfd89c67

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