身元保証人がいないとどうなる?リスクから対処法まで詳しく解説

2025.12.01

身元保証人とは、本人の素性や信用性を示す役割を持っている人のことです。本来であれば本人がするべき事務手続きや各種支払い、損害賠償の履行などがなされなかったときに、本人に代わり責務を果たします。

入院する際や、施設に入居する際の賃貸契約時には身元保証人を求められるのが一般的ですが、頼れる人がいなくて困ってしまうという方も少なくありません。

しかし、身元保証人がいなくても、現状を正しく理解し、自身の状況に合った対処法を見つけると解決できる可能性があります。

この記事では、身元保証人がいないときのリスクや対処法などを詳しく解説します。

【この記事で分かること】
・身元保証人がいないことのリスク
・身元保証人がいないときの対処法

身元保証人がいないとどうなる?

身元保証人がいない高齢者には、以下のようなリスクがあります。

  • 賃貸契約が結べないことがある
  • 高齢者施設への入居を断られることがある
  • 入院や手術の手続きがスムーズに進まないことがある

どのリスクも顕在化すると深刻な事態を招くため、あらかじめ対策しておきましょう。

賃貸契約が結べないことがある

一般的に、賃貸契約を結ぶ際には身元保証人が必要です。特に高齢者の場合は、孤独死のリスクや経済的なリスクから、身元保証人がいないと契約を断られることが多いです。

一人暮らしの高齢者は、急病になったり、屋内でケガをしたりした際、すぐに駆けつけられる身内がいないため、対処が遅れ孤独死につながってしまう可能性があります。発見が遅れるほど清掃が大掛かりになり、賃貸物件の資産価値が下がるため、不動産管理会社は身元保証人がいない高齢者との賃貸契約を敬遠しがちです。

さらに、高齢者の主な収入源は年金のみの場合が多い(※1)ため、家賃滞納のリスクが高いとみなされやすいです。十分な預貯金や資産がある場合は身元保証人なしで契約できることもありますが、多くの場合は、身元保証人を立て、支払いが滞らないようにすることが求められます。

高齢者施設への入居を断られることがある

身元保証人がいない高齢者は、高齢者施設の入居審査を通過することが難しく、入居を断られることが多い傾向にあります。身元保証人が必要な理由は以下のとおりです。

  • 本人に代わり意思決定をしてもらうため
  • 施設内でのトラブル時に対応してもらうため
  • 支払いが滞ったとき、連帯保証人として支払ってもらうため
  • 死亡時に引き取りしてもらうため

認知機能が低下すると、契約や生活に関わる決定を本人が行うことが困難になります。また、年金から費用を支払えない可能性もあります。そういった場合に備えて、代わりに意思決定をしたり支払いを行ったりできる身元保証人を確保しておく必要があるのです。高齢者施設が身元保証人を求めるのは、円滑な運営を守るためのリスク管理といえます。

入院や手術の手続きがスムーズに進まないことがある

入院や手術の手続き時には、身元保証人が求められることが多いです。いない場合は入院の受付が保留になったり、予定していた手術が遅れたりするなどのリスクがあり、命に関わる重大な事態になる可能性があります

入院や手術で身元保証人が求められる理由は、次のとおりです。

  • 治療方針の説明に同席して欲しい
  • 入院時に必要な物を用意してもらいたい
  • 手術への同意が欲しい
  • 医療費の支払いが滞ったときに支払って欲しい
  • 治療について相談したい
  • 万が一のときは身柄を引き取って欲しい

このように、病院では、治療を進めるために身元保証人を必要とするケースが多いです。
また、高齢者の場合、容体が急変するリスクが高いことも、身元保証人の必要性につながっているといえるでしょう。

身元保証人がいないときの対処法

身元保証人がいない場合の主な対処法として、以下の4つを紹介します。

  • 親族や友人に相談する
  • 身元保証人が必要ない高齢者施設を探す
  • 公的福祉サービスに相談する
  • 身元保証サービスを利用する

それぞれの内容や注意点などを確認していきましょう。

親族や友人に相談する

身元保証人がいない場合、まずは親族や友人に相談してみましょう。条件に合えば、身元保証人を引き受けてくれる可能性があります。

しかし、仮に身元保証人になってくれそうな親族や友人がいる場合でも、経済的な負担リスクを負いたくないからと、断られるケースも少なくありません。身元保証人としての責任や負担などについて理解を得られるように、丁寧に説明することが大切です。

なお、同世代の友人に相談する場合、やはり主な収入源が年金のみという可能性があり、経済面で不安があります。また、健康面の問題を抱えている可能性もあるため、身元保証人になれないケースもあります。

身元保証人が必要ない高齢者施設を探す

数は少ないですが、身元保証人が不要な高齢者施設も存在するため、探してみるのも一つの方法です。例えば、自治体が運営している高齢者向けの公営住宅では、身元保証人が不要なところもあります(※2)。

ただし、身元保証人が不要な高齢者施設は入居希望者が多いため、すぐに入居できるとは限りません。

また、総務省の調査(※3)によると、病院や高齢者施設の約9割が身元保証人を求めているとされています。そのため、身元保証人が不要の施設を探しつつ、身元保証人も継続して探すことが、スムーズな入院や入居につながるでしょう。

公的福祉サービスに相談する

身元保証人がいないときは、以下の公的な福祉サービスを利用するのもおすすめです。

  • 自治体の地域包括支援センター
  • 社会福祉協議会

自治体には「地域包括支援センター」があり、高齢者本人や家族から相談を受けると、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員などがチームを組んで、医療・介護・保健の総合的な支援を行っています。身元保証人についても相談可能です。

さらに「社会福祉協議会」では、より具体的な福祉サービスの提供や、地域独自の支援事業を行っています。

ただし、必ずしも無料で利用できるとは限らず、地域によってサービス内容や費用が異なるため、事前に確認しておきましょう。

身元保証サービスを利用する

身元保証人を誰にも依頼できないときは、民間企業が提供している「身元保証サービス」を利用するのがおすすめです。身元保証サービスでは、身元保証をするだけでなく、以下のような高齢者サポートも行っています。

  • 日常生活の支援
  • 費用の支払いの保証
  • 日々の安否確認
  • 意思決定の代行
  • 死亡後の事務手続き

ただし、具体的なサービス内容は、身元保証サービス会社によって異なります。そのため、身元保証人だけが必要なのか、あるいは日常生活全般のサポートも必要なのかなど、ニーズに合ったところを選ぶことが大切です。

東京ガスと提携している株式会社ファミトラが提供する「みもとら」は、身元保証人サービスを基本契約として、生活支援や死後事務支援などのサービスをオプションで利用できます。料金体系も明確なため、予算に合わせて検討しやすいことも特長です。

「みもとら」への相談は無料で行っていますので、身元保証人のことで悩んでいる方は相談してみましょう。

身元保証人がいない場合に関するよくある疑問

身元保証人がいない場合に関するよくある疑問に回答します。

身元引受人・連帯保証人・後見人との違いは何ですか?

身元引受人と連帯保証人、後見人の主な違いは以下の通りです。

身元保証人 身元引受人 連帯保証人 後見人
役割 本人の義務や契約の履行を保証 緊急時やトラブル発生時に対応を保証 本人が義務を履行しないときの保証 本人の財産管理権を持つ
目的 契約不履行に対し本人が対応しなかった場合に損害を保証 道義的な責任※を負い本人の支援を行う 本人と同等の責任を負い保証する 本人が財産を管理できなくなったときに代理で管理する
責任の範囲 本人が義務不履行の場合の法的責任を負う 法的責任は基本的にない(道義的責任のみ) 本人が履行しない義務があれば全面的な法的責任を負う 善良な管理者の注意を義務とし、注意を怠ると過失責任が問われる

※道義的な責任:法律上の責任ではなく、人としての正しい道を守るべき責任のこと。

身元保証人は「人」を保証する一方で、連帯保証人は主に「金銭」を保証します。後見人は財産管理に関わることが役割であり、身元保証人にはなれません。

なお、身元保証人になると、金銭に関する保証も求められる場合もあり、連帯保証人のような責任を同時に負う可能性があります。

身元保証人がいないと入院できませんか?

身元保証人がいない場合でも、法律上、入院を拒否されることはありません。身元保証人の不在だけを理由として入院を拒むことは、医師法第19条第1項(※4)に抵触するからです。

しかし、実際に身元保証人がいない場合、医療機関はほかの方法を提案しているケースもあります。主な対応ごとの割合は以下の通りです。

  • 個別に対応する:77.1%
  • 入院を断る:5.9%
  • 身元保証会社を紹介する:6.8%
  • 身寄りがないまま入院を許可する:4.9%
  • 保証金を預かる:1.7%
  • 成年後見制度の利用を促す:1.5%
  • その他:6.6%

(※5)参考:総務省|高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機)

身元保証人がいない状態で入院する場合、個別に対応するケースが最も多く、自治体を交えながら相談する場合もあります。そのため、入院までに時間がかかってしまうことも少なくありません。

健康に関わる可能性もあるため、入院が必要になった際にスムーズに手続きを進められるよう、身元保証人の対策を考えておく必要があります。

まとめ

高齢者で身元保証人がいない場合、賃貸住宅を契約する際や医療を受ける際などに、スムーズに手続きが進まないことが多くみられます。

対処法として、親族や友人に相談することや、保証人不要の施設を探すこと、公的福祉サービスに相談することが選択肢として考えられます。しかし、人間関係や金銭的な負担、そもそも選択肢が少ないといった課題も少なくないのが現状です。

これらの方法が難しい場合、身元保証サービスを利用することが、不安を解消するため、確実かつ現実的な解決策といえます。身元保証人がいないことを悩んでいる方は、一人で抱え込まずに専門家へ相談することが大切です。

株式会社ファミトラが提供する「みもとら」は、身元保証サービスに加え、日常生活の支援や死後の事務手続き支援のオプションも選択できます。ニーズごとの費用も明確なので、安心して利用できます。

「みもとら」は無料で相談もできるため、身元保証で悩んでいる方はぜひ活用してみてください。

木内 菜穂子

執筆者

木内 菜穂子
ファイナンシャルプランナー/金融系ライター

保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、証券外務員Ⅰ種、年金アドバイザーなど
金融機関の窓口業務や税理士事務所での勤務経験を活かし、金融や保険、年金などに関する記事を執筆しています。読者のみなさまに、わかりやすく有益な情報を提供できるよう努めています。

(※1)出典:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
(※2)出典:国土交通省「公営住宅への入居に際しての保証人の取扱い等に関する調査(R6.4.1時点)」
(※3、5)出典:総務省|高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機)
(※4)出典:e-GOV 法令検索「医師法|第五章 業務|第十九条」

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