マンション売却で起きやすい失敗事例を対策と合わせて解説

2024.04.22

「マンションの売却を考えているが、失敗しないか心配」、「大きな金額を動かすので、プレッシャーを感じる」などマンションの売却を検討するうえで、こういった不安を抱える方は少なくないでしょう。

マンションの売却は、一生のうちに何度も経験するものではありません。そのため、あらかじめどういった点に気を付けたら良いかを知っておくことで、安心して売却を進められます。

この記事は、マンション売却時にありがちな失敗事例と、その対策を紹介しています。よくある失敗事例から傾向をおさえて、マンションの売却を成功させましょう。

マンション売却時の失敗事例における原因と対策

ここでは、不動産売却の失敗事例として、代表的なものを10個紹介します。

  • 時間に余裕がなかった
  • 1社にしか査定依頼を出していなかった
  • 不動産会社をよく調べずに依頼してしまった
  • 売り出し方が悪かった
  • 不用意に値下げをしてしまった
  • 内見・内覧時の対応がよくなかった
  • 担当者とのコミュニケーション不足
  • 不動産会社から囲い込みを受けてしまった
  • ローンの残債を確認せず売却してしまった
  • 売却にかかる費用を確認していなかった

それぞれの失敗の詳細と、対策についても触れているため、参考にしてください。

失敗例1.時間に余裕がなかった

マンションの売却は、時間の余裕がないと思わぬ失敗に繋がることがあります。多いのは、売却を焦るあまり、不利な条件で取引きをしてしまい失敗するケースです。

【対策】
売却にかかる時期を把握したうえで売却スケジュールを組むことがポイントです。通常、マンション売却には3~6ヶ月の時間を見積もる必要があります。不動産は短期間で売却できないものと理解しておけば、気の焦りによって不利な条件で契約するのを避けられます。

また、不動産売買にはさまざまな公的書類が必要となり、揃えるためには事前の準備が欠かせません。時間に余裕を持ち、計画的に売却活動を進めることで、適切なタイミングで納得のいく取引が可能になります。

失敗例2.1社にしか査定依頼を出していなかった

マンションの査定を1社にしか依頼していない場合、その会社の査定が適正かどうかの判断ができません。相場からかけ離れた査定を鵜呑みにしてしまうと、適正価格での売却ができず、失敗の原因となります。

また、不動産会社のサービスや営業スタイルが、自身のニーズに合っているかどうかも、他の複数の不動産会社を比較しなければ判断できません。

【対策】
複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。理想的には4~6社程度に査定を依頼し、それぞれの査定額や提案内容を比較するのをおすすめします

相場を掴むことができるだけでなく、各不動産会社の強みやサービスの質を比較検討することが可能になります。

失敗例3.不動産会社をよく調べずに依頼してしまった

査定額の高い会社を選んでしまった

多くの売主は、自分のマンションをできるだけ高く売りたいと考えるでしょう。しかし、提示された査定額が高いからといって、査定依頼した不動産会社が最適であるとは限りません

査定額は、あくまでも「これくらいで売れそう」という目安の価格であり、実際の売却額とは異なります。相場よりも高額な査定額を鵜呑みにしてしまうと、その価格で市場に出したところで買主があられることはなく、時間ばかりがかかったうえに最終的には値下げを余儀なくされるといった失敗も起こり得ます。

不動産会社のなかには、契約を取るために意図的に高い査定額を提示するケースもあるため、そういった会社を選ばないようにしましょう。

【対策】
査定額が市場相場に近い不動産会社を選ぶことが重要です。相場を知るためには前述のとおり、複数社に査定依頼をする方法が有効です。極端に高い、または安すぎる査定額を提示する会社は、とくに慎重に評価することが大切です。

さらに、査定額を提案する際の根拠や、売却実績の有無などの確認が、適切な不動産会社選びにつながります。

マンション売却が得意ではない会社に依頼してしまった

不動産会社にはそれぞれ得意とする分野があります。マンション売却を得意としない会社に依頼すると、適切なアドバイスや効率的な売却戦略が期待できないことがあります。

​​【対策】
マンション売却を得意とする不動産会社を選ぶことが重要です。不動産会社が過去に取り扱った物件の種類や売却実績をホームページやチラシ、店頭の掲示などで確認すると良いでしょう。

過去の取引実績や実際に利用された方の声を確認すると、依頼する不動産会社がマンション売却における経験と専門知識を持っているかどうかを判断できます。

失敗例4.売り出し方が悪かった

売り出し価格を高くしすぎた

マンションの売り出し価格を市場の相場よりも高く設定しすぎると、買主が見つかりにくくなるリスクがあります。相場より高い価格設定は、買主の関心を引くことが難しくなり、売却が長引く原因となるでしょう。

​​​​【対策】
地域の不動産市場や近隣類似物件の売却価格を調査し、相場を把握したうえで売出し価格を設定することが重要です。市場価格と大幅に乖離した価格設定は避け、市場状況に即した価格設定を心がけましょう。

また、信頼できる不動産会社のアドバイスを参考にしながら、根拠に基づいた価格設定を行うことで、スムーズな売却を実現できます。

売り出しのタイミング・時期が悪かった

売却タイミングを誤ることで、大きく損をしてしまうケースもあります。不動産市場は、経済情勢や季節によって変動するので、売却時期を見極めることが成功のカギとなります。

【対策】
売り出しのタイミングを見極めるためには、経済情勢、物件の築年数、そして売り出す時期という3つの要素を考慮することが重要です

まず、経済情勢は不動産価格に直接的な影響を与えます。市場の動向を定期的にチェックし、需要が高まりそうな時期を見極めることが肝心です。

また、築年数が浅い物件ほど需要が高く、高い価格での売却が期待できます。さらに、季節も売却タイミングの重要な要素です。一般的に、転勤や異動がある4月や9月は引越し需要が高まる時期で、この時期に合わせて売り出すことで売却しやすくなります。

失敗例5.不用意に値下げをしてしまった(相場より低い価格で売却してしまった)

売却初期段階での反応が芳しくない場合や、急いで売却したい場合に、慌てて値下げしてしまうと、失敗の要因になる可能性があります。実際にはもっと高い価格で売れる可能性を失ってしまうためです。

【対策】
値下げを検討する前に、まずは不動産会社に相談することが重要です。適切な売り出し価格を設定するためには、市場の動向や競合物件との比較を踏まえて行う必要があるからです。

マンションの売却活動が長引く場合は、必ずしも価格が原因であるとは限りません。販売戦略や不動産会社の取り組み方に問題があることも考えられます。

失敗例6.内見・内覧時の対応がよくなかった

魅力を伝えきれなかった

マンション売却時に内覧者が訪れても、物件の魅力を十分に伝えられないと、購入を見送られてしまう可能性があります。

【対策】
効果的な対策としては、購入者の視点に立って、マンションの魅力や欠点を正直に伝えることです。実際に住んでみて感じた魅力や、些細なデメリットは売主にしかわかりません。

たとえば、マンションの周辺環境や交通の便利さ、日当たりの良し悪しなど、売主ならではの視点での情報提供が有効です。内覧者に対して過剰に営業せず、リラックスした雰囲気で物件を案内することが、好印象を与えることにつながります。

また、不動産会社に相談し、プロフェッショナルの知見を取り入れながら案内する内容を考えることでも、物件の魅力を伝えやすくなります。

掃除などの準備ができていなかった

マンションの内覧時に部屋が散らかっていたり、汚れが目立つ状態だったりすると、購入希望者に悪い印象を与えてしまいます。水回りなどの清潔さは購入者が重視するポイントの1つです。

【対策】
内覧前には、物件の掃除や片付けを行うことが大切です。購入希望者がマンションでの生活をイメージできるように、できるだけ綺麗で整頓された状態にしておく必要があります。

とくに、お風呂やトイレといった水回りは念入りに掃除して、清潔感を出すことを意識しましょう。日常的に見落としがちな部分にも注意を払い、きれいな状態にしておくことが望ましいです。

失敗例7.担当者とのコミュニケーション不足

不動産会社の担当者と十分なコミュニケーションが取れていないと、反響数や内覧者の感想などを把握できず、適切な売却戦略を立てることができません。

​​【対策】
不動産会社の担当者とは、コミュニケーションの機会を定期的に確保しましょう。担当者の対応に不満がある場合や、コミュニケーションが不十分だと感じた場合は、積極的に自身の要望や懸念を伝えることが重要です

失敗例8.不動産会社から囲い込みを受けてしまった

マンション売却において、不動産会社からの「囲い込み」は、売主にとって避けたいリスクの1つです。囲い込みとは、不動産会社が物件情報を独占し、他の会社に情報を公開しないことで、違法行為に該当します。

囲い込みは違法になるため、基本的にはそういった不動産会社はないと考えられます。囲い込みが起きてしまうと、初動が遅いといった消極的な対応をとられてしまうかもしれません。

​​【対策】
囲い込みを防ぐための最善策は、売却活動の進捗を定期的に確認し、不動産会社とのコミュニケーションを密に取ることです。

売却活動の報告は、不動産会社が担当者を通じて定期的に行うべきものですが、売主自身も積極的に状況を確認する姿勢が大切です。

他社からの問い合わせ数を質問し、返答が曖昧な場合などは囲い込みを疑っても良いかもしれません。売主が囲い込みに気づいた場合、契約の見直しや他の不動産会社への相談も検討するべきです。

囲い込みを未然に防ぐためにも、不動産会社選びと売却活動の進捗管理には十分な注意を払いましょう。

失敗例9.ローンの残債を確認せず売却してしまった(売却価格がローンの残債を下回ってしまった)

マンション売却時に注意すべきポイントの1つが、住宅ローンの残債と売却価格のバランスです。売却価格が住宅ローンの残債を下回ることをオーバーローンと言います。

この状況になると、売却後もローンの残額が発生し、売主が自己資金でその差額を補填する必要が出てきます。

​​【対策】
オーバーローンを避けるためには、売却前に住宅ローンの残債を確認し、それを売却価格設定の基準にすることが大切です。

住宅ローンの残高を把握することで、売却価格を適切に設定し、余計な自己資金の投入を避けることが可能になります。市場価値と比較して、売却価格が住宅ローンの残債よりも高いかどうか確認しましょう。

失敗例10.売却にかかる費用を確認していなかった

マンションを売却する際には、単に売却価格を決定するだけでなく、売却に伴う諸費用の把握が重要です。売却にかかる費用を考慮せずに売却を進めると、手元に残る金額が想定よりも少なくなることがあります。

【対策】
売却にかかる費用については事前に不動産会社に確認しておきましょう。売却にかかる諸費用は、売却価格の6%~8%程度が一般的な目安とされています。

仲介手数料や印紙税、司法書士への依頼料、登録免許税などの諸費用は、売却価格に応じて変動するため、不動産会社や専門家に相談し、詳細な見積もりを取ることが重要です。

これらの費用を事前に把握し、売却価格設定の際に考慮することで、手元に残る利益を適切に見積もることができます。

マンション売却を失敗しないための注意点

マンション売却を失敗しないためには、前述した対策を意識することが大切です。また、
以下のような点にも注意する必要があります。

  • 査定の根拠を明確にわかるようにする
  • 無理のある資金計画で進めない
  • 信頼できる不動産会社を選ぶ

まず、査定額の根拠を明確に理解することが欠かせません。市場の動向、物件の特性、近隣の取引事例などが含まれ、適切な売却価格設定のためには不可欠です。

次に、売却に伴う諸費用やローン残債を考慮した現実的な資金計画の立案が重要です。無理のある計画は将来的に困難を招く可能性があるため、慎重に進めることが求められます。

最後に、信頼できる不動産会社の選定が重要です。不動産会社の選び方は、売却成否に大きく関わるため、実績や対応の質、提供されるサービス内容を比較検討し、最適な会社を選定することが必要です。

上記のポイントを踏まえることで、マンション売却をスムーズかつ効果的に進められます。

さらに、マンション査定前や訪問査定時の注意点も重要です。マンション査定の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。売却活動を始める前に注意点を押さえておくことで、よりスムーズで成功率の高い売却が期待できます。

失敗事例を踏まえてマンション売却を行おう

この記事では、マンション売却時によくある失敗事例と対策を紹介しました。主な失敗例には、「時間の余裕不足」「一社のみの査定依頼」「不動産会社の選定ミス」「内覧時の対応不足」などがあります。

マンションの売却でとくに重要なのが、信頼できる不動産会社の選択です。適切な不動産会社を選ぶことで、多くの失敗を未然に防ぎ、売却過程を円滑に進めることができます。

また、売却方法としては仲介だけでなく、直接買取を選択するのも1つの良い方法です。信頼できる企業によるマンション買取サービスだと、安心して依頼できるのでおすすめです。

東京ガスグループではマンションの無料査定サービスも提供していますので、売却前の価格の目安を知ることができます。ご自身のマンション価格に興味がある方は、ぜひご活用ください。

松元 健太郎

執筆者

松元 健太郎
宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/ライター

宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・ファイナンシャルプランナー2級を保有。
不動産会社に勤務し、退職後、不動産ライターとして独立。
法人で不動産賃貸経営も行い、不動産の現場で得た経験・知識を活かし、ライターとして活動中。

ホームページ:https://xn--lsv228akxb.com/

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