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近年、電気料金の高騰や災害時の停電対策として、家庭用蓄電池への関心が高まっています。蓄電池と太陽光発電システムと組み合わせることで、普段の電気代を削減しながら災害時の備えを行うことが可能です。
ここでは、蓄電池のメリット・デメリットについて解説します。蓄電池の設置がおすすめできるケースについてもあわせて見ていきましょう。
蓄電池のメリット
家庭用蓄電池を導入する主なメリットは、以下の3点です。
- 電気代を削減できる
- 太陽光発電の売電単価が低下しても自家消費に回せる
- 停電時の備えとなる
一つずつ解説します。
電気代を削減できる
蓄電池の最大のメリットの一つは、電気代の削減効果です。電気料金の安い時間帯に電気を購入して蓄電池に貯めておき、電気料金の高い時間帯に使用することで、電気代を節約できます。
また、蓄電池は太陽光発電システムと組み合わせることで、より高い節約効果が期待できます。
発電した電気を自宅で使いつつ、余った電気(余剰電力)は蓄電池に貯めておけば、発電のできない夜間などに貯めた電気を使用でき、電力会社から購入する電力量を減らすことが可能です。
太陽光発電の売電単価が低下しても自家消費に回せる
売電単価が低下しても自家消費できることは、すでに太陽光発電システムを設置しており卒FITを迎える方にとって大きなメリットとなります。
FIT制度(固定価格買取制度)が期間満了(卒FIT)すると売電価格は下落する一方、昨今は自家消費の電気代が高騰しているため、売電するメリットは少なくなる可能性があります。そのため、卒FIT後は蓄電池を導入して自家消費率を高め、電気代を節約するほうがメリットが大きいです。
FIT制度による固定買取価格で売電可能な期間は10年間(発電容量10kWh未満の太陽光発電システムの場合)です。この期間が終了したあとも、蓄電池があれば発電した電気を効率的に利用し続けることができます。
停電時の備えとなる
蓄電池は、災害などによる停電時の強力な味方となります。事前に蓄電池に電気を貯めておいてあれば、使い切るまでの一定時間は電気を使用できるため、突然の停電時でも必要最低限の電力は確保することができます。
また、災害による停電が長引くケースを想定して、太陽光発電システムとの組み合わせも検討する価値があります。太陽光発電システムがあれば、蓄電池に貯めておいた電気を使い切ってしまっても、日光が出ている時間帯に発電し、余った電気は蓄電池に貯めることができます。
蓄電池単体では「電気を貯める」ことしかできませんが、太陽光発電システムと併用すれば「電気をつくる→使う→貯める」の自家消費のサイクルが可能です。これにより、長期的な停電にも対応できる可能性が高まります。
蓄電池のデメリット
蓄電池には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。
- 初期費用がかかる
- 設置スペースが必要
それぞれ解説します。
初期費用がかかる
蓄電池を設置するためには、初期費用がかかります。
蓄電池の設置相場は、1kWhあたり18.7万円です(※1)。一般家庭に設置されることの多い蓄電容量は5〜7kWhなので、初期費用の相場は93.5〜130.9万円となります。
■解決策
初期費用の問題を解決するための方法として、補助金の活用が挙げられます。蓄電池の購入には、国や地方自治体からの補助金を受けられる場合があります。
補助額や対象、申請方法などの条件は制度ごとに異なるため、必ず利用できるものではありません。しかし、適用できれば費用負担を抑えて蓄電池を設置できます。
<補助金の例>
- 神奈川県藤沢市の令和6年度藤沢市定置用リチウムイオン蓄電池設置費補助金:5万円(※2)
- 子育てエコホーム支援事業:64,000円/戸(※3)
補助金制度の情報は、国やお住まいの自治体の公式ホームページなどをご確認ください。
また、初期費用以外にも、安全に使用していくのであれば、しっかりメンテナンスをしていく必要があり、この場合の費用も必要です。
設置スペースが必要
蓄電池を設置するためには、屋内の床または駐車場や庭などの屋外に設置スペースを確保する必要があります。蓄電池のサイズは蓄電容量などにより異なりますが、住宅に設置する蓄電池のサイズの目安は以下のとおりです。
- 幅:約750mm
- 高さ:約800mm
- 奥行き:約300mm
これは、だいたいエアコンの室外機1~2台分くらいのスペースに相当します。
設置スペースだけでなく、施工や設置に必要なスペースの確保も必要です。また、蓄電池を安全に使用できるよう適切な湿度や温度の場所に設置しなければなりません。メーカーによって設置条件が異なるため、設置に適した場所をあらかじめ調べておく必要もあります。
■解決策
この問題の解決策として、狭いスペースにも設置しやすい、コンパクトタイプの蓄電池を選ぶことが挙げられます。蓄電池のなかには、サイズが小さくても蓄電容量が大きいものもあるので、そういった製品を選ぶと良いでしょう。
たとえば東京ガスでは、蓄電容量5.8kWhでありながら、厚さ29㎝のコンパクトな蓄電池を取り扱っています。
蓄電池の設置がおすすめなケース
これまでに紹介したメリット・デメリットを踏まえたうえで、蓄電池の導入がおすすめなのは、以下のようなケースです。
- 電気代を抑えたいと思っている方
- 災害時などの停電に備えたい方
- 太陽光発電を導入している方
- 卒FITを迎える方
とくに、電気使用量が多い家庭や、地域的に停電リスクが高い場所に住んでいる方にとっては、蓄電池の導入がより効果的です。
また、すでに太陽光発電システムを導入している方や卒FITを迎える方は、蓄電池の導入により自家消費率を高め、より効率的なエネルギー利用が可能となります。
蓄電池のメリット・デメリットを踏まえて設置を検討しよう
家庭用蓄電池には、電気代の削減や停電時の備えになるなどの多くのメリットがあります。一方で、初期費用や設置スペースの確保など、考慮すべきデメリットも存在します。
蓄電池の導入を検討する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自身の生活スタイルや住環境に適しているかを慎重に判断することが重要です。
東京ガスでは、蓄電池や太陽光発電システムの設置に関する相談を無料で承っています。ご家庭の電気の使用状況などに合わせた商品のご提案をさせていただきますので、ぜひご相談ください。
(※1:出典元)定置用蓄電システム普及拡大検討会の結果とりまとめ|MRI 株式会社三菱総合研究所
(※2:出典元)令和6年度藤沢市定置用リチウムイオン蓄電池設置費補助金の募集について|藤沢市
(※3:出典元)子育てエコホーム支援事業