目次
「相続や親の施設入居をきっかけに、実家が空き家になってしまった」というケースは少なくありません。空き家は放置するほどリスクが高まるため、活用方法を早めに検討することが大切です。
ここでは、空き家を有効に活用するためのアイデアを9つ紹介するとともに、自治体の成功事例や注意点も解説します。
・空き家活用のアイデア9選
・自治体の空き家活用の成功事例
・空き家活用のポイントと注意点
空き家の活用方法に注目が集まる背景
空き家を放置すると、所有者にも地域にもさまざまなリスクが生じます。入居者がなく維持管理も行われない家には、次のようなことが起こり得ます。
- 放火や不法侵入など犯罪の温床となる
- 景観の悪化や枝のはみ出しなどが原因で隣人トラブルになる
- 空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき指導・勧告を受ける(※1)
- 固定資産税の軽減措置が受けられなくなる(※2)
- 行政代執行で解体され、その費用を請求される
上記を踏まえて2023年12月に改正された空き家対策法(空家等対策の推進に関する特別措置法)では、周囲に著しい悪影響のある「特定空家」よりも前の段階の「管理不全空家」という区分が設けられました。管理不全空家に指定される可能性が出てきたことで、早い段階から自治体の指導・勧告を受けるようになります。
空き家対策法に基づく指定を受けたときの直接的なデメリットは、指定によって「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」を受けられなくなり、毎年課税される固定資産税が最大6倍まで跳ね上がる可能性がある点です。さらに、指定を受けた家が行政代執行で解体された場合、その解体費用は所有者に請求され、支払えないときは銀行口座などが差し押さえられることもあります。
こうした背景から、空き家をどのように活用するかが、多くの所有者にとって喫緊の課題となっています。
空き家活用のアイデア9選
ここでは、空き家を活用するアイデアのうち、代表的なものを9つ紹介します。自分の空き家の状態や立地、目的に合ったものを探してみてください。
リフォームして自宅にする
空き家となった実家を手放したくないなら、リフォームして自宅として活用する方法があります。耐震補強やバリアフリー化、水回りの刷新など、快適に住める状態に整えるには一定の費用がかかりますが、地域によっては改修費用の一部を補助する制度が設けられており、耐震改修では費用の半額・最大100万円程度を補助するケースもあります。
ただし、老朽化がひどい場合はリフォームだけでは対応しきれず、建て替えが必要になるでしょう。解体・建替えは費用の負担がさらに大きくなるため、実際に住み替えた場合の生活環境や通勤・通院のしやすさなども含めて、総合的に判断することが大切です。
中古物件として売却する
空き家を手放すなら、中古物件として売却する方法が、選択肢として挙がるでしょう。主な売却の方法は以下の3つです。
- そのまま売却する
- リノベーションして売却する
- 建て直して売却する
手間や費用を抑えたい場合は、「中古物件」や「古家付き土地」として、そのまま売却するのが現実的です。現状のままで買主を探せるため、余計なコストをかけずに進められます。
一方で、より高値での売却を目指すなら、リノベーションを検討するとよいでしょう。一般的に、手を加えた物件のほうが、そのままの中古物件より高く売れる傾向があります。また、建物の老朽化が進んでいる場合は、建て直してから売却する方法も選択肢になります。
ただし、リノベーションや建て替えにはまとまった費用がかかるため、費用対効果を見極めたうえで判断することが重要です。
更地にして売却する
建物を解体して更地にすると、土地の広さや形がひと目でわかるため、新築戸建てを建てたい買主に選ばれやすくなります。空き家のまま売るより売却しやすくなる点が大きなメリットです。
ただし、解体には数十万〜数百万円の費用がかかるうえ、更地にした土地は「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」が適用されなくなるため、固定資産税が大幅に上がります。買主が見つからない間も税負担が続くため、更地での売却を選ぶ場合は、不動産会社と連携して早期売却につながる戦略を立てておきましょう。
更地にして駐車場にする
更地にした土地を、駐車場として活用する方法も選択肢の一つです。駐車場には複数の運用形態があり、初期費用や収益性、将来の使い道に違いがあります。
| 活用方法 | 初期費用 | 特徴 |
|---|---|---|
| コインパーキング | 高 |
|
| 青空駐車場(月極) | 低 |
|
| 暫定利用の青空駐車場 | 低 |
|
駐車場は比較的始めやすい活用方法ですが、利益が出るかどうかは立地に大きく左右されます。始める前に、周辺の駐車場の稼働状況や相場を確認し、需要が見込めるかを見極めるようにしましょう。
賃貸として貸し出す
空き家をリフォームや建て替えによって活用できる状態に整えれば、賃貸物件として継続的な収入を得る方法もあります。
ただし、一口に賃貸といっても、入居者のターゲットや運営スタイルによってさまざまな形があります。空き家の立地や広さ、周辺ニーズに合った方法を選ぶことが重要です。
一般賃貸
空き家を個人や家族向けに住居として貸す、代表的な活用方法です。
一方、空室が続くと収入がゼロになるうえに、管理費用は発生し続けます。入居者募集や物件管理の手間を考えると、賃貸管理に慣れた不動産業者に管理を委託するのが現実的でしょう。
シェアハウス
単身の若者や学生が多く集まるエリアに空き家がある場合、リフォームしてシェアハウスとして活用する方法があります。1つの物件に複数人が入居するため、一般賃貸と比べて家賃収入が高くなりやすい点が特徴です。
ただし、入居者同士のトラブル対応や共用部分の清掃・管理、セキュリティ対策など、運営には一定のノウハウが求められます。始める前に、立地の需要や自分の管理体制を十分に確認しておきましょう。
店舗・事業用物件として貸し出す
空き家をカフェや美容室、雑貨店などの店舗・事業用物件として事業者に貸し出す方法もあります。
築年数のある建物でも、雰囲気や個性が評価され、店舗用途として活用されることがあります。また、事業用賃貸は居住用賃貸とは契約条件や利用目的が異なるため、物件の使われ方によっては安定した運用につながる可能性があります。
一方で、業態に合わせた大規模な内装工事が行われる可能性がある点には注意しましょう。退去時の原状回復が難しい場合もあるため、契約時に改装などに関する利用条件を明確にしておく必要があります。
介護福祉施設
空き家をデイサービスやグループホームなどの介護福祉施設として、介護事業者に一棟貸しする方法もあります。長期契約になりやすく退去が発生しにくいため、安定した家賃収入が見込める点が魅力です。高齢化が進む地域では、福祉拠点として地域に貢献できる側面もあります。
注意したいのは、バリアフリー化や消防設備など用途に応じた改修が必要になる場合がある点です。事前に事業者と条件をすり合わせておきましょう。
レンタルスペース
空き家を時間単位で貸し出すレンタルスペースとして活用する方法です。会議や動画撮影、ヨガ教室、ママ会など多彩な用途に対応でき、住宅街にある物件でも一定の需要が見込めます。内装やコンセプトを工夫すれば、魅力を感じる人が増え、収益性を高められるでしょう。
レンタルスペースの運営で念頭におきたいのは、利用者対応・清掃・予約管理といった日常的な運営負担です。安定した収益化までには時間がかかることも念頭に置いておきましょう。
コワーキングスペース・サテライトオフィスとして活用する
空き家をリフォームし、複数の人が共同で使えるコワーキングスペースやサテライトオフィスとして貸し出す方法があります。テレワークの普及により、都市部だけでなく地方や郊外でも働く場所への需要が生まれており、駅近や交通アクセスのよい物件は利用者に人気です。
ただし、コワーキングスペースなどとして利用者を確保するには、高速インターネット環境の整備や会議に使える設備投資が必要です。さらに、ある程度の会員数を確保して収益につなげられるようになるまで、一定の時間もかかります。
民泊・宿泊施設として活用する
空き家を観光客向けの宿泊施設や民泊として活用する方法もあります。とくに古民家などは非日常的な体験ができる宿として人気が高く、通常の賃貸より高い収益が期待できるケースもあります。住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいて届け出を行えば、住宅のまま宿泊施設として運営できるでしょう(※3)。
ただし、法律上の年間営業日数は180日以内に制限されており、運営を管理業者に委託する義務もあります。年間営業日数が180日を超えた場合は罰則もあるため、法規制はよく理解しておく必要があります。
加えて、宿泊施設の運営では、騒音の防止や、来訪者に関する近隣住民との関係づくりも欠かせません。トラブルを防ぐため、徹底した準備が求められます。
トランクルーム・貸倉庫として活用する
空き家を区切り、荷物の保管スペースとして時間や区画単位で貸し出すトランクルームや貸倉庫として活用する方法もあります。人が常駐しないため、水回りなどの大規模な内装改修が不要で、比較的低コストで始めやすい点が魅力です。
ただし、預かった荷物を安全に保管するための防犯カメラの設置や鍵の管理、湿気・結露対策など、利用者が安心して使える環境を整えることが長期運営には欠かせません。
自治体の制度を活用して貸し出す
自治体の制度を通じて空き家を貸し出す方法もあります。
代表的なのが、高齢者・子育て世帯・低額所得者・障がい者などの「住宅確保要配慮者」を受け入れる「セーフティネット住宅」への登録です。都道府県などの窓口に申請して登録することで、「セーフティネット住宅情報提供システム」を通じて入居者を募集できます。一般の賃貸市場では借主が見つかりにくい物件でも活用の可能性が広がり、空室リスクを抑えられるのが利点です(※4)。
一方で、対象となる入居者層の性質上、高い家賃設定は難しい側面もある一方で、「空き家を地域に役立てたい」という思いがある方に向いている活用方法といえます。
クラッソーネでは空き家の一括解体見積もりに加え、土地活用に関する無料相談も受け付けています。どの活用方法が自分に合うか迷ったときは、ぜひ専門家を頼ってみてください。
自治体による空き家活用の事例
空き家の活用は、個人だけで取り組むものではありません。自治体のしくみや地域のネットワークを活かして空き家活用を成功させることも数多くあります。
ここでは、実際に空き家が地域の課題解決につながった2つの事例を紹介します。
従業員向け住居として活用した事例(岡山県瀬戸内市)
岡山県瀬戸内市では、住宅地にある築40年・木造2階建ての空き家を、地域のトマト農園で働く従業員の住居として活用しました。
この物件は、所有者が高齢者施設へ入居したことをきっかけに空き家となったものです。その後、町内会を通じた情報共有によって入居希望者とのマッチングが実現し、活用へとつながっています(※5)。
成功の要因の一つは、物件の水回りや住環境に大きな問題がなく、最低限の整備で即入居できた点です。入居者はその後も地域活動に積極的に参加しており、住まいの確保と地域活性化を同時に実現した好例といえます。
サテライト兼シェアオフィスとして活用した事例(滋賀県米原市)
滋賀県米原市では、空き家バンクに登録されていた築年数のある住宅を民間事業者が活用し、サテライトオフィス兼シェアオフィスとして再生しました。市から物件紹介を受けた事業者が改修を行い、企業のサテライトオフィスとしての利用に加え、地域住民も使えるコワーキングスペースとして運営されています(※6)。
この事例の特徴は、単なる空き家の有効活用にとどまらず、地域外から訪れる人々との交流が生まれ、関係人口の創出や地域のにぎわいづくりにもつながったことです。自治体の空き家バンクを起点に、民間の力を借りて地域全体の活性化に波及した例です。
空き家活用を成功させるポイント
空き家の活用を検討するときは、国や自治体にはさまざまな補助金・支援制度が用意されているため、活用方法を決める前にこれらを確認しておきましょう。
補助金を活用する
空き家が放置される問題は少子高齢化に伴って全国的に深刻化しており、これを受けて多くの自治体が補助金制度を設けています。補助の内容は自治体によって異なりますが、大きく以下の3種類に分類されます。
- 解体に対する補助金
- 空き家の改修にかかる補助金
- 空き家を取得する際の補助金
まずは、空き家がある市区町村の窓口やホームページで、どのような制度があるかを確認することから始めましょう。
空き家の支援制度を利用する
補助金と並んで活用したいのが、自治体が運営する「空き家バンク」などの支援制度です。
空き家バンクとは、空き家の所有者と利用希望者をマッチングするしくみで、移住を検討している個人や、店舗やオフィスを探している民間事業者が利用しています。賃貸として借主を探す活動と並行して空き家バンクに登録しておくと、より多くの候補者にアプローチでき、活用の可能性が広がるでしょう。
全国の支援制度をまとめて調べたい場合は、全国空き家対策推進協議会の「地方公共団体による空き家対策支援制度」検索サイトを活用してみましょう。空き家が所在する自治体の空き家支援制度を効率よく探せます。
空き家の活用に関するよくある質問
空き家の活用を検討するなかで、疑問や不安を感じる方も多いでしょう。ここでは、よくある質問に対して、ポイントを整理して回答します。
空き家を活用するメリットは何ですか?
空き家を活用するメリットは、放置によるリスクを抑えながら、資産として活かせる点にあります。
空き家をそのままにしておくと、建物の老朽化や不法侵入、近隣トラブルなどの問題が起こるリスクがあります。そこで、売却や賃貸、事業利用などによって活用できれば、管理負担の軽減や収入の確保が期待できます。
田舎にある空き家・都会にある空き家では、どんな活用方法がおすすめですか?
立地によって、適した活用方法は大きく異なります。地方の空き家では、移住者向け住宅や農業従事者向け住居、空き家バンクを通じた貸し出しなど、特定のニーズに合わせた活用が現実的な場合があります。一方、都市部の空き家は人口や交通利便性を活かし、一般賃貸や店舗、レンタルスペース、シェアオフィスなど幅広い用途を検討しやすい傾向があります。
いずれの場合も「空き家のある場所で何が求められているか」を起点に考えることが、活用のポイントとなります。
まとめ
相続や親の施設入居をきっかけに実家が空き家になった場合、放置すると建物の劣化が進むだけでなく、不法侵入や放火、近隣トラブルなどの問題につながるおそれがあります。さらに、管理状態によっては自治体の指導や勧告の対象となり、税負担が増える可能性もあります。
空き家の活用方法には、自宅として住み直す、売却する、賃貸として貸し出す、事業用途に転用するなど、さまざまな選択肢があります。どの方法が適しているかは、建物の状態や立地、かけられる費用、将来の意向によって異なります。
だからこそ、空き家の定期的な管理が難しい場合は、できるだけ早い段階で活用方法を検討することが大切です。
クラッソーネでは、空き家の一括解体見積もりに特化したサービスを提供しているほか、空き家活用に関する相談にも対応しています。活用方法がまだ決まっていない場合は、専門家に相談しながら、自分に合った進め方を考えてみるとよいでしょう。
(※1)空家等対策の推進に関する特別措置法 | e-Gov 法令検索
(※2)固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
(※3)住宅宿泊事業法(民泊新法)とは? | 民泊制度ポータルサイト「minpaku」
(※4)セーフティネット住宅情報提供システム
(※5)空き家活用 事例 事例集|瀬戸内市移住交流促進協議会
(※6)近畿管内における空き家活用事例|国土交通省
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