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住み替えを検討している方の中には、住宅ローンの支払いが残っていても住み替えはできるのか、疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。住宅ローンの返済は30年など長期間になることが多いため、完済までの間に住み替えが必要になるケースもあります。
結論としては、現在住宅ローンの残債があったとしても、「住み替えローン」を利用すれば住み替えることは可能です。
この記事では、住み替えローンの概要や住宅ローンとの違い、メリット・デメリット、利用条件から実際の手続きの流れまで、住み替えを検討している方が知っておくべき情報を分かりやすく解説します。
・住み替えローンのメリット・デメリット
・住み替えローンの流れ
・住み替えローンの注意点
住み替えは住宅ローンが残っていてもできる?
冒頭でも触れたように、現在住宅ローンを返済中でも、住み替えローンによってスムーズな住み替えが可能です。
住み替えローンは、残っているローンと新居の購入費用を一本化して借入できる仕組みです。これにより、一時的に2つの住宅ローンを並行して返済する、いわゆるダブルローンを避けられます。
ここでは、住み替えローンの利用条件や住宅ローンとの違いについて確認していきましょう。
住み替えローンとは?
住み替えローンとは、現在住んでいる住宅のローン残債と住み替え住宅の購入資金を合算して借りられるローン商品のことです。
住宅を売却する際、住宅ローンの残債以上で売却できる「アンダーローン」になるのが理想ですが、必ずしも売却額が残債を上回るとは限らず、「オーバーローン」になる可能性もあります。
現在、住宅ローンが残っていれば抵当権が付いたままとなっており、ローンを完済するまでは抹消できません。抵当権の付いた住宅を購入する人はほとんど存在しないため、売却による譲渡が認められない状況に陥ってしまいます。しかし、住み替えローンなら、オーバーローンの分を借入できるため、住宅ローンを完済し住み替え住宅を購入することが可能です。
住み替えローンを利用できる条件は?
住み替えローンを利用するには、以下の条件をクリアしている必要があります。
- オーバーローンであること
住宅の売却価格が住宅ローンの残債を下回っていることが前提となります。 - 自己資金だけでは住宅ローンの完済が困難であること
預貯金など自己資金で完済できる場合は、住み替えローンの対象外です。 - 自宅の売却と新居の購入を同時に進行できる
現在住んでいる住宅の売却と新居の購入のタイミングを同じ時期に合わせる必要があります。 - 信用情報に問題がないこと
クレジットカードやスマートフォンの割賦払いや各種ローンの返済の延滞など、金融事故を起こしていないことも条件の一つです。 - 十分な返済能力を持っている
安定した年収があることや返済負担率(年間の返済額が年収に占める割合)が基準内であることも求められます。 - 新しく購入する家が自分の住居であること
住み替え用のローン商品であるため、賃貸目的の利用は対象外です。
住み替えローンと住宅ローンの違いは?
住み替えローンは「買い替えローン」ともいわれており、一般的な住宅ローンとは以下のような違いがあります。
| 住み替えローン | 住宅ローン | |
|---|---|---|
| 借入額 | 現在住んでいる住宅のローン残債 + 新居の購入代金 |
新居の購入代金 |
| 目安となる金利(年利) | 2.0%~7.0% | 0.595%~1.613% |
| 金融機関の 審査基準 |
住宅ローンより厳しい | 厳しい |
※金利は2025年10月17日時点の情報です
住み替えローンの金利は、通常の住宅ローンよりも高めに設定されている傾向があります。ただし、金利は金融機関によって異なるため、住み替えローンを利用する際は複数の商品を比較して検討しましょう。
また、住み替えローンの審査基準は、通常の住宅ローンよりも厳しいことが多いです。住み替えローンに限ったことではありませんが、手取り額に対する返済額の割合が大きくなると、審査に通らずローンを利用できない可能性があります。
一般的に、理想的な返済負担率は手取り額に対して20〜25%とされています。
住み替えローンのメリット
住み替えローンの主なメリットは、3つです。
- ローンが残っていても買い替えられる
- 二重ローンや仮住まい費用の負担を避けられる
- 条件が合えば住宅ローン控除を再利用できる
それぞれ見ていきましょう。
ローンが残っていても買い替えられる
住み替えローンの最大のメリットは、現在住んでいる住宅の売却額で住宅ローンを完済しきれないオーバーローンであっても、新居の購入資金を借りられることです。
通常の住宅ローンでは、残債のうち売却額で賄えない分を借り入れることは原則としてできません。そのため、自己資金で残債に充てて完済するか、新たなローンを組んで補填することになります。
しかし、住み替えローンなら、オーバーローン分と新居の購入費用をまとめて借りられるため、まとまった自己資金を用意する必要がなくなり、手元の資金を引越し費用などに充てられます。
二重ローンや仮住まい費用の負担を避けられる
住み替えローンを利用すれば、売却と購入のタイミングがずれた際に発生する「二重ローン」や「仮住まい費用」の負担を回避できます。
住み替えにおいて新居を先に買う(「買い先行」といいます)と、一時的に元の家と新居の2つの住宅ローンを同時返済することになり、返済負担が大きくなります。一方で、元の家を先に売る(「売り先行」といいます)と、新居が見つかるまでの期間、賃貸住宅などに住む仮住まい費用が発生するのが一般的です。
住み替えローンなら、ローン実行時に既存ローンを一括完済できるため、二重ローンや仮住まいの費用負担を回避できます。
条件が合えば住宅ローン控除を再利用できる
住み替えローンを利用した場合も、住宅ローン控除を活用し節税に役立てられることがあります。ただし、以下の条件を満たしている必要があります。
| 住宅ローンを再利用できる条件 | 概要 |
|---|---|
| 居住要件 | ・新居には本人が居住 ・工事完了から6ヶ月以内に居住を開始 |
| 住宅要件 | ・中古住宅:床面積が40平方メートル以上で耐震性を満たしている ・新築住宅:床面積が50平方メートル以上、ただし合計所得が1,000万円以下なら40平方メートル以上 |
| 年収要件 | ・合計所得が2,000万円以下 ・新居が新築で床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は1,000万円以下 |
| 住み替えローンの借入期間 | 10年以上 |
住み替えローンは、以下の2つの制度とは併用できないため注意しましょう。
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例(※1)
- 特定の居住用財産の買換えの特例(※2)
なお、売却額が低く損失が出た場合は、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(※3)」の適用が可能です。この特例は、旧住宅を売却し新住宅を購入した際に旧居宅の売却損が出たときは、一定の要件を満たす場合、その年の給与所得や事業所得などと損益通算できる制度です。さらに、損益通算をしても控除しきれなかった損失は、翌年以後3年内の繰越控除も可能です。
住み替えローンには税制面のメリットもあるため、制度を上手に活用し住み替えすることをおすすめします。
住み替えローンのデメリット
住み替えローンにはメリットだけでなく、次のようなデメリットもあります。
- 住宅ローンよりも金利が高く返済負担が増える
- 審査基準が厳しい
- 売却と購入を同時進行しなければならない
一つずつ解説します。
住宅ローンよりも金利が高く返済負担が増える
住み替えローンは、一般的な住宅ローンと比べて金利が高い傾向があります。金利が高く設定されている主な理由は、次のとおりです。
- 借入額が高額になり返済期間が長期化するため貸し倒れリスクが高い
- 残債部分には抵当権がないため金融機関が負うリスクが高い
- 優遇措置が少なく基準金利の引き下げ幅が小さい
住み替えローンは、売却による住宅ローンの残債と新居の購入費用を1つのローンにまとめるため、借入額が高額化し、返済期間が長引くことが多いです。そのため、返済延滞や不能に陥る可能性が高くなり、銀行にとって貸し倒れリスクが高くなります。
住み替えローンで失敗しないためには、月々の返済額や将来のライフプランを見極め、無理のない返済プランを作成し実行することが大切です。
審査基準が厳しい
住み替えローンの審査基準は、住宅ローンよりも厳しく設定されることが多いです。前述の通り、住み替えローンは金融機関が負うリスクが高いためです。金融機関は申込者の返済能力をより慎重に見極める必要があり、審査が厳しくなるのは必然と言えるでしょう。
住み替えローンの審査基準は金融機関によって異なりますが、以下のポイントに注意しておく必要があります。
| 審査のポイント | 注意点 |
|---|---|
| 返済能力 | ・安定した年収があるか ・勤務先の規模 ・3年以上の勤続年数があるか |
| 返済負担 | ・返済負担率が高すぎない ・新居の担保評価額と購入価格の差が小さい |
| 信用情報 | ・ローンやキャッシングなどの返済で滞納していない ・信用情報機関に金融事故の履歴が残っていない |
| 健康状態 | ・団体信用生命保険(団信)に加入できる |
スマートフォンの機種変更による割賦払いや奨学金の返済(※4)などが滞ると、信用情報機関に金融事故として履歴が残ることに注意しましょう。
もし住み替えローンの審査で自身の信用情報に自信がないときは、CICやJICCなど信用情報機関に開示請求して、登録情報を確認しておくと安心です。情報開示すると、現在、信用情報機関に登録されているか、また、どのように登録されているかを確認できます。
売却と購入を同時進行しなければならない
住み替えローンの利用条件の一つに、「売却と購入を同時に進めること」があります。
これは、売却代金で既存ローンの残債を完済し、新居の購入と同時に新たな抵当権を設定する必要があるためです。そのため、住宅の売却日と新居の購入日は同じ日にして決済を行う必要があります。
希望する新居が見つかっていても、現在の住宅を売却できなければ住み替えローンは利用できません。逆に、売却の目途が立っても新居が決まっていないと、焦って購入を決めてしまい、後悔するリスクがあります。
売却と購入を同時に進める際は、慎重に検討しながらスケジュールを調整することが重要です。とくに、売却額や条件によっては買主が見つかりにくいこともあるため、住み替えの実績が豊富な信頼できる不動産会社を選ぶことがポイントです。
東京ガスのマンション買取サービスは、仲介手数料が不要なのでコストを抑えられます。買取価格は最短1日で提示できるうえ、売却完了まで最短7日というスピード売却が実現できます。
住み替えで最も難しい売却の「確実性」と「スピード」を確保でき、売却と購入の同時決済の調整がしやすいことがメリットです。
住み替えローンの流れ
住み替えローンを利用する際の、一般的な流れは以下の通りです。
- 現在の住宅ローン残高を調べる
- 不動産会社に相談して今の住居を査定してもらう
- 住み替えローンのある金融機関を選ぶ
- 新居を探して購入の準備を進める
- 住み替えローンの審査を受ける
- 売却・購入・融資の手続きを同時に完了させる
各ステップについて、詳しく見ていきましょう。
1.現在の住宅ローン残高を調べる
まずは、現在住んでいる住居のローンがどれくらい残っているかを調べます。住宅ローンの残高を把握することは、住み替えローンの要・不要や、必要借入金額を決めるための出発点となります。
住宅ローン残高は、借入先から毎年送付される返済予定表や残高証明書で確認可能です。インターネットバンキングを使っている方なら、スマートフォンやパソコンからも簡単にチェックできます。
もし書類が見つからない場合は、借入先に直接問い合わせれば無料で教えてもらえます。
2.不動産会社に相談して今の住居を査定してもらう
住宅ローン残高が明確になったら、現在住んでいる住居がいくらで売却できそうかを、不動産会社に査定依頼します。
査定額とローン残高を比べることで、住み替えローンの要・不要や、必要な金額が判断できます。仮に査定額の方が高ければ、一般の住宅ローンで対応できる可能性もあるでしょう。
住宅の査定は、複数の不動産会社に依頼して比較することで、より正確な相場がわかります。売却と購入のスケジュール調整ができるかなども確認して、住み替えに詳しい信頼できる不動産会社を見つけましょう。
3.住み替えローンのある金融機関を選ぶ
新居探しと同時に、住み替えローンのある金融機関を探します。すべての金融機関が対応しているわけではないので、事前の確認が必要です。
まずは現在取引のある金融機関に相談してみると良いでしょう。相談の際は、年収や勤務先などの基本情報に加えて、現在のローン残高や新居の予算、希望する返済期間も必要になります。相談しやすいように、事前にまとめておくのがおすすめです。
取引のある金融機関以外にも複数の金融機関の融資条件などを比較して、十分に検討しましょう。
4.新居を探して購入の準備を進める
住み替えローンで借りられる金額を参考に、新居となる物件探しを始めます。現実的な予算内で理想の住まいを見つけましょう。
ただし、現在住んでいる住居の売却が確定するまでは正式な購入申込みができないため、気に入った物件が必ず買えるとは限りません。候補となる物件をいくつか準備しておくと安心です。
先にも触れたように、住み替えローンでは売却と購入を同時に行うタイミングの調整が重要です。不動産会社と密に連絡を取りながら、無理のないスケジュールで物件探しを進めていきましょう。
5.住み替えローンの審査を受ける
購入を希望する物件が決まったら、住み替えローンの審査を申込みます。
審査は仮審査と本審査の2段階で行われるのが一般的です。仮審査では年収や勤務先などの基本的な返済能力がチェックされ、通常2〜3日かかることが多いです。本審査では信用情報や健康状態なども含めてより詳しく審査され、1〜3週間程度かかります。
住み替えローンの審査は通常の住宅ローンより厳しい傾向があるため、しっかりとした準備が必要です。審査に必要な書類は早めに準備し、追加で求められる資料にも迅速に対応できるよう心がけましょう。
6.売却・購入・融資の手続きを同時に完了させる
住み替えローンの本審査に通過したら、住居の売却、住み替えローンの融資実行、新居の購入をすべて同じ日に完了させます。
当日は金融機関に関係者が集まり、住居の売却代金を受け取ったあと、現在のローンを完済し、新居の購入代金を支払って引き渡しを受けます。
すべての手続きが連動しているため、綿密なスケジュール管理が必要です。事務手数料や登記費用なども発生するため、必要な資金を事前に確認し準備しておきましょう。
住み替えローンの注意点
住み替えローンを検討する際には、次の2点にとくに注意が必要です。
- 住宅ローン以外の借入は可能な限り完済する
- 売却の見通しが立ってから新居の購入を進める
住み替えをスムーズに進められるよう、事前に把握しておきましょう。
住宅ローン以外の借入は可能な限り完済する
住宅ローン以外の借入がある場合は、事前に完済しておくことがおすすめです。住み替えローンの審査を有利に進められるようにするためです。
住み替えローンは借入額が高額になりやすいため、ほかの借入があると返済負担が大きくなり、審査で不利になる可能性があります。審査では自動車ローンやカードローン、携帯電話の割賦払い、奨学金、教育ローンなど、すべての借入が対象です。
これらのローン残高があると、希望する金額を借りられなかったり、借りられたとしても金利条件が悪くなったりするケースがあります。
住み替えを検討し始めたら、まずは現在の借入状況を整理し、可能な限り返済しましょう。完済した、または残債が減った時点で住み替えローンに申し込むことで、より有利な条件での借入が期待できます。
売却の見通しが立ってから新居の購入を進める
住み替えローンでは、買い手が見つからないリスクを避けるために、現在の住居の売却契約を先行させてから新居探しを進めるのがポイントです。先に新居の購入を決めると売却を急がなければならず、想定より安い価格での売却を強いられるリスクがあるためです。
また、融資審査を通過するためには、現在の住宅ローンの残債を明確にする必要があります。そのため、売却の見通しが立ってから購入手続きを進める「売り先行」が安全です。とくに、売却価格によって借入可能額が変わることから、売却額は重要な判断材料となります。
ただし、買い手が見つかったら速やかに購入手続きに進められるよう、新居探しも並行して進めておきましょう。
まとめ
住宅ローンが残っている状況でも、住み替えローンを活用すれば新居への住み替えは十分可能です。オーバーローンでも、残債を新居のローンに上乗せして一本化できるため、二重ローンや仮住まいの費用を抑えて安全に住み替えできます。
ただし、住み替えローンは一般的な住宅ローンと比べて金利が高く、審査も厳しい点に注意しましょう。
住み替えを成功させるためには、信頼できる不動産会社や金融機関を選び、綿密な計画を立てて進めることが大切です。
万が一、計画通りに住宅の売却が進まなかった場合には、スピーディに物件を売却できるサービスを検討するのも一つの方法です。
東京ガスリノベーションでは、マンション買取サービスを行っています。仲介手数料が不要なためコストを抑えられるほか、最短1日で買取価格を提示、最短7日で売却を完了できるスピード売却が可能です。
東京ガスリノベーションでは、住み替えローンにおいて最も重要な「売却価格の確定」と「売却・購入の同時進行」を円滑に進め、手間なく確実に現在の住宅を売却できます。
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(※1)出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
(※2)出典:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
(※3)出典:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
(※4)出典:日本学生支援機構「個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録」
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