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認知症にならないためには?対策や進行を抑えるポイント【医師解説】

2023.06.20

認知症とは、脳の細胞が正常に働かなくなることで物忘れや判断力の低下などさまざまな症状があらわれた状態を指します。認知症は進行すると日常生活にも深刻な影響を与えます。健やかなセカンドライフを送るためには、認知症の発症や進行を抑える対策をすることが大切です。

今回は、認知症対策の重要性と具体的なポイントを現役医師の成田亜希子先生に解説していただきました。

認知症対策の重要性

認知症対策の重要性
認知症は、65歳以上で発症しやすく、年齢を重ねるごとに発症率が上がります。また、認知症は対策をすることで完全に防げるものではありません。しかし、適切な対策をすれば、進行を遅らせることも可能とされています。まずは認知症対策の重要性について見てみましょう。

認知症が進行するとあらわれる症状

認知症が進むと、以下のような症状があらわれるようになります。

・物忘れが増える
・時間や場所の感覚がわからなくなる
・物事の決断や判断が正しくできなくなる
・これまでできていた作業ができなくなる

また、抑うつ気分、不安、興奮などの精神症状、徘徊、暴力などの異常行動も伴う可能性も生じます。その結果、活動量が低下して身体能力が落ち、転倒や誤嚥をしやすくなるなど、命に関わってくるケースも少なくありません。

認知症は予防できる?

認知症にはいくつかのタイプがあります。最も多いのはアミロイドβと呼ばれるたんぱく質が蓄積して脳が萎縮していくアルツハイマー型認知症です。次いで、脳梗塞や脳出血など脳の血管の病気によって神経細胞がダメージを受けて発症する脳血管性認知症が多くなっています。

どちらもメタボリックシンドロームが発症リスクを高めると考えられており、若いうちから生活習慣を整えることで認知症を防げる可能性があると言えます。認知症にはそのほかにもストレスや生活習慣病のようなリスク因子があり、一つずつ対策をしていくことが重要です。

対策方法は後の章で詳しく紹介します。

認知症対策は何歳から?

認知症対策は何歳から?
では、認知症対策はいつから始めるのが良いのでしょうか。具体的な目安と注意するべき初期症状について詳しく解説します。

認知症対策は40歳から

認知症対策は、40歳を目安に始めるのがおすすめです。
前述の通り、認知症は65歳以上になると発症率が高まります。認知症で最も多いアルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβは、発症の20~30年前から蓄積し始めると考えられているので、40歳頃から始めると良いでしょう。また、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の発症リスクを高めるメタボリックシンドロームも40歳以上で発症率が高くなると言われています。

軽度認知障害(MCI)の段階で対策する

認知症にまでは至らなくても、軽度な認知機能が低下した状態のことを「軽度認知障害(MCI)」と呼びます。軽度認知障害が進行すると認知症を発症しますが、この段階で生活習慣の改善や生活習慣病の治療など適切な対策を行えば悪化防止や改善も期待できます。

軽度認知障害は50歳くらいから患者数が増えてきます。物忘れがひどくなったと感じる場合は、医療機関を受診しましょう。

認知症対策の5か条

認知症対策の5か条
認知症対策では、生活習慣を整えることや日常の適度な刺激が大切です。気になる症状が出てきた方は、以下の5つを心がけましょう。

バランスの良い食事をする

脳の健康には栄養バランスが整った食事が必要です。メタボリックシンドロームは認知症の発症リスクを高めるため、摂取カロリーを守り、塩分や糖分を摂り過ぎないことも大切なポイントとされています。

魚などに含まれるEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸、ビタミンA、B群、C、Eは脳の健康に必要な栄養素です。これらの栄養素が多く含まれた食品を積極的に摂るようにしましょう。また、カリウムを多く含む果物、野菜、海藻類は体に溜まった余分な塩分の排出を促す効果があります。メタボリックシンドローム予防にもつながりますので、日頃から多く摂るよう心がけましょう。

適度な運動をする

さまざまな研究により、運動は神経細胞を成長させるたんぱく質の分泌を促し、記憶を司る脳の海馬を大きくする効果があることがわかっています。脳の血行もよくなるため、神経細胞が活性化して認知症対策になると考えられているのです。とくに数字を取り入れるなど脳を使う運動は、神経細胞の活性化を高めるため認知症対策に効果的です。

また、運動は認知症の発症リスクとなるメタボリックシンドロームを予防することにもつながり、結果的に認知症対策になります。体を動かすことで筋肉量の低下も予防できるため、転倒やけがに注意して運動習慣を取り入れるようにしましょう。

人との関わりを大切にする

人との関わりがある人ほど認知症を発症するリスクが低くなることが多くの研究から明らかになっています。社会的に孤立してしまうと会話したり体を動かしたりする機会が減るため、脳の働きが衰えて認知症の発症や進行の引き金となることも少なくありません。

一方で、人との関わりのなかでストレスが生まれると、かえって認知症のリスクを高めてしまうこともあります。趣味を通しての関わりなど、自分自身が楽しんで社会と交流できる場面を増やしましょう。

新しいことにチャレンジする

試行錯誤しながら工夫して、新しいことにチャレンジすることは脳の活性化につながります。また、新たな目標もできるため日常生活に潤いが生じて活動性も高まり、人との関わりが増える可能性もあります。無理せず楽しんでできることやずっと興味があったことに挑戦してみましょう。

ただし、人との関わりと同じく、ストレスが溜まってしまうようなチャレンジは認知症のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。新たな運動を始めるときは若い頃より体力は瞬発力が落ちていることを考え、けがをしないよう注意してください。

生活習慣病を予防する

高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満などの生活習慣病は認知症の発症リスクを高めます。食事や運動、睡眠、禁煙、節酒など生活習慣を整え、生活習慣病を予防することが認知症の予防や進行の抑制につながります。

また、健康診断や人間ドックで上記について異常を指摘された場合は、軽く考えずに医師の診察を受け、必要であれば治療を継続していくことも大切です。

早めの認知症対策でセカンドライフをより充実したものに

早めの認知症対策でセカンドライフをより充実したものに
認知症は認知機能低下、精神症状、行動異常などさまざまな症状を引き起こし、日常生活に多くの影響をもたらします。現状、認知症の発症を完全に防ぐ方法はありませんが、発症時期や進行を遅らせることはできるとされています。

認知症対策の要は、バランスの良い食事、適度な運動、人との交流、新しいことへのチャレンジ、生活習慣病予防です。早めの対策で健康寿命を延伸し、充実したセカンドライフを目指してください。


成田 亜希子

執筆者

成田 亜希子
医師

2011年医師免許取得。一般内科医として幅広い疾患の診療を行ってきた。自身は二児の母。育児中は医療行政に関わり、国立保健医療科学院や公益財団法人結核予防会の結核研究所で感染症対策などを含めた公衆衛生分野の研鑽に励んだ。

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