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子どもの独立や自身の定年退職などをきっかけに、今の家がライフスタイルに合わなくなった場合は、新しい住まいへの住み替えが有効です。しかし、「住み替えたくても、今の家が売れなかったらどうしよう」と不安を感じる方もいるでしょう。
そうした不安を軽減するため、この記事では、住み替えで家が売れなかった場合の4つの対処法と事前にできる対策を解説します。
家が売れなかった場合の4つの対処法
仲介で自宅を売却する際は、なかなか家が売れないこともあります。住み替えで家が売れなかった場合の対処法は以下4つです。
- 売り出し価格を見直す
- 内覧対応を見直す
- 不動産会社を変える
- 「買取」を検討する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
対処法1.売り出し価格を見直す
家が売れない場合、もっとも検討されるのは売り出し価格の見直しです。
住み替えでは、「売却代金を新居の購入や住宅ローンの返済に充てるために、今の家を少しでも高く売りたい」というのが本音でしょう。
しかし、多くの購入希望者は同じような条件の物件を複数検討し、価格を比較して候補を絞り込みます。たとえば、売り出し価格を相場より高く設定すると、候補から外されてしまうため、希望者が現れにくくなります。
不動産会社の担当者と相談し、周辺相場や過去の売却事例を参考にしながら、売り出し価格を見直してみましょう。
対処法2.内覧対応を見直す
内覧は、購入希望者に物件の特徴や魅力を直接アピールできる絶好のチャンスです。家が売れるかどうかは、内覧で購入希望者にどんな印象を与えるかに左右される部分もあります。
内覧の予約が定期的に入るにもかかわらず、売却に至らないのは、内覧時の対応に問題があるのかもしれません。購入希望者に好印象を持ってもらえるように、以下の項目について問題がないか見直してみましょう。
- 細かいところまで掃除が行き届いているか
- 部屋は整理整頓され、清潔感があるか
- 購入希望者の質問に対して適切に回答しているか
- 購入希望者がゆっくり内覧できるように配慮しているか
- 魅力だけでなく、ネガティブな要素も隠さずに伝えているか
自分で内覧に対応するのが難しい場合は、不動産会社に任せるのも選択肢となります。
対処法3.不動産会社を変える
家の売却を成功させるには、どの不動産会社と契約するかも重要な要素となります。不動産会社によって、売り出し価格の設定や広告の手法、営業力などに差があるからです。
不動産会社との契約期間は3か月が一般的です。売却活動を始めてから3か月経過しても家が売れない場合は、別の不動産会社への依頼も検討してみましょう。
ただし、不動産会社との契約状況によっては、すぐに変更するのが難しいこともあります。不動産会社との契約(媒介契約)は以下の3種類です。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの特徴と違いは一般的に以下の通りです(一部契約内容により異なる可能性があります)。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社との契約 | できる | できない | できない |
契約期間 | 制限なし | 3か月以内 | 3か月以内 |
依頼主への報告義務 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズ(注)への登録義務 | なし | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
自分で買主を見つけて直接契約 | できる | できる | できない |
注…レインズとは、不動産流通機構が運営しているネットワークシステムのことです。売りたい物件をレインズに登録すると、ほかの不動産会社にも物件情報が共有されるため、多くの購入希望者に物件を紹介できます
一般媒介契約は複数社と契約できるため、いつでも不動産会社の追加・変更が可能です。「明示型」と「非明示型」があり、明示型の場合はほかにどの不動産会社と契約しているかを不動産会社に通知する必要があります。
専任媒介契約・専属専任媒介契約は、売却において1社しか契約できません。契約期間は3か月以内で、契約期間中に解約すると違約金が発生する可能性があります。
ほかの不動産会社に依頼する場合は、契約の種類・期間を確認して進めましょう。
対処法4.「買取」を検討する
上記1~3の対処法は仲介による売却が前提でしたが、買主が見つからない場合は「買取」も選択肢のひとつになります。買取とは、不動産買取業者に物件を直接買い取ってもらう方法です。
買取では、買取業者の査定価格がそのまま買取価格となります。買主を探す必要がないため、査定価格に納得できれば、仲介よりも早く売却できます。現金化までの期間は2週間から2か月程度が目安となります。
住み替えで今の家の売却代金を新居の購入資金に充てたい場合、スケジュールが組みやすい買取は活用しやすいでしょう。また、内覧対応が不要で、仲介手数料がかからない点もメリットです。
一方で、買取は売却価格が相場よりも低くなる傾向にあります。買取業者はリフォームなどをして再販売することを前提としているため、仲介による売却価格の7、8割程度になるケースが多いようです。
とはいえ、買取は「家が売れなくて住み替えができない」という最悪の事態を回避でき、手間なく売却を済ませるのに有効な手段となります。価格よりも手間をかけないなどのメリットを重視するのであれば、検討してみても良いでしょう。
事前にできる2つの対策で不安解消
住み替えで今の家をスムーズに売却するには、売却前の準備が重要です。ここでは、事前にできる対策を2つ紹介します。
買取保証をつける
買取保証とは、一定期間が経過しても仲介で家が売れなかった場合に、あらかじめ決めていた額で不動産会社(仲介業者)が買い取ってくれるサービスです。買取保証をつけることで、万が一仲介で家が売れなかったとしても、新居の購入に合わせて今の家を現金化できます。
確実に売却できる一方で、仲介での一般的な売却価格より買取価格が低くなるデメリットもあります。売却活動を始める前に、仲介での査定価格と買取保証の買取価格を提示してもらい、売れた場合と売れなかった場合で分けて資金計画を立てると良いでしょう。
どの不動産会社でも買取保証をつけられるわけではなく、依頼できる会社は限られる点にも注意が必要です。買取保証は不動産会社によってサービス内容が異なる可能性があるので、複数の会社から話を聞き、比較したうえで利用を検討しましょう。
売却方法は「買取」も並行して検討する
買取保証ではなく、仲介と並行して買取業者による「買取(業者買取)」を利用するという選択肢もあります。
上述したように、買取では、買取業者の査定価格で家を買い取ってもらえます。仲介と並行して買取を検討しておけば、万が一仲介で売れなかったとしても、売却活動の途中で買取に切り替えることが可能です。
住み替えのスケジュールに合わせて買取を利用すれば、今の家の売却代金を新居の購入資金に充てられます。
買取も、仲介での一般的な価格より買取価格は低くなります。事前に買取価格を確認し、余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。
住み替えで家をスムーズに売却するために、対処法や対策を知っておこう
住み替えでは、今の家の売却と新居の購入を同時に進める必要があります。売却代金を新居の購入に充てるには、今の家をスムーズに売却しなくてはなりません。
「売り出し価格の見直し」「不動産会社の変更」をしても売れなかった場合も速やかに現金化できるように、並行して買取保証や業者買取を検討しておくと安心です。
「家が売れなくて住み替えができなかった」という事態を防ぐためにも、対処法と対策を知り、計画的に住み替えを進めましょう。
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