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人は一生のうちで、就職、結婚、出産、教育、住宅購入、定年退職などさまざまなライフイベントを経験します。ライフイベントではまとまった資金が必要になるケースが多く、計画的に準備をしておくことが大切です。
とくに定年退職後は収入面で大きな変化があります。定年を安心して迎えられるようライフプラン(生涯生活設計)を作成して、どの程度の資金を用意すればよいのか把握し、資金計画を立てておきましょう。ここではライフプランの基礎知識、メリットや作り方について解説します。
ライフプランとは
「ライフプラン」とは、ライフデザインに基づいた生涯生活設計のことを言います。「ライフデザイン」とは、自分自身の価値観に基づいた生き方を思い描いたもので、ライフプランを作成するためには必要不可欠です。
生き方を描き、ライフプランを作成すれば、大きなライフイベントにかかる費用を把握し、将来どの程度の費用を用意すればよいのか可視化できます。とくに結婚や出産、教育、転居、老後の生活には多額の資金が必要になりますが、事前準備をしないまま急にまとまった資金を調達するのは困難です。
主に年金収入となる定年退職後の生活では、将来どの程度の費用が必要になるか分からず不安を抱く傾向があります。こうしたお金に対する漠然とした不安を払拭するために、ライフプランを作成して金銭的な見通しを立てることが安心感につながります。
ライフプランの例(50代夫婦、21歳の子ども1人の場合)
ここからはライフプランの一例を紹介します。
今回は50代夫婦の事例を使って、定年退職後の生活における今後の課題や解決策を紹介します。
家族構成:夫(会社員)57歳、妻(パートタイマー)55歳、子ども21歳
年収:夫700万円、妻120万円
現在の貯蓄: 400万円
年間の生活費: 270万円(教育費・住居費除く)
子どもの進路:大学3年生 卒業後は就職
仕事:65歳で退職/退職金1,500万円
65歳からの年金:月21万円(夫15万円+妻6万円)
夫婦共働きで、私立大学に通学している子ども1人(大学3年生)を養っている家庭です。子どもがすでに大学に進学しているため、大学生活を終えて就職すると教育費の不安はなくなります。
一方、夫は65歳で会社を定年退職するため、子どもが大学を卒業して就職したあとが老後資金の最後の貯め時と心得ておかなければなりません。ライフプランを作る際には、退職金1,500万円と65歳からの年金月額21万円で、思い描いた通りの暮らしが実現できるかどうかについて、収支のバランスを検証しましょう。
退職金と年金だけで賄えないようであれば、貯金を取り崩すか、定年後も働いて収入を増やすことにより資産面での不安をなくしておく必要があります。定年時点でいくら貯金を準備しておけばよいかを計算して、退職するまでに毎月いくら積み立てるかを設定します。
ライフプランを作るメリット
ライフプランを作成することには、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは主なメリットを2つあげています。
将来のお金の不安を解消できる
何歳になっても、お金に関する不安は尽きないものです。とくに、収入が減少する定年後に関しては、どの程度の準備が必要であるかの目安を立てられずに悩む方も少なくありません。なかには手元にまとまった資金があっても、一向に不安が尽きないと心配している方も見受けられます。
自分と家族の将来の予定や夢をまとめたライフイベント表や、お金の推移を予測したキャッシュフロー表を作成すると、これまで大まかに考えていたスケジュールを数値に落とし込めるため、「何年後にいくら必要」という具体的な目標額が設定できます。貯蓄残高が枯渇する場合には対策を立てられるので、不安解消につながるでしょう。
ライフイベントを希望通り実現しやすくなる
ライフプランを作成するなかで、いくつかのライフイベントを設定して目標通りにお金を貯蓄すると、希望通りのライフイベントを実現しやすくなります。たとえば、夫婦でゆっくり海外旅行に行きたいという夢がある場合、「いつ、どこに行きたいので予算はいくらか」を数値に落とし込めば、実現可能性の高い目標になるでしょう。
ライフプランを作るポイント
ライフプランを作成するには、「自分自身の価値観に基づいた生き方=ライフデザイン」を考えましょう。これからの人生の夢や目標、理想とするセカンドライフやセカンドキャリアなどを言語化して認識することは、充実した人生を送るうえで大切です。
同時に、費用感を正確に見積もることも重要です。自分と家族の将来の予定、目標や希望などを時系列に並べたライフイベント表と、将来の収支状況や貯蓄残高の推移を予想したキャッシュフロー表を作成することで、実際に必要な費用と時期を把握できます。漠然としている夢は明確な目標となり、実行の可能性が高まるでしょう。
ライフプラン表の作り方
ライフプラン表は、「ライフデザインの設計」「ライフイベント表の作成」「キャッシュフロー表の作成」の3ステップを踏んで作成します。自分がどんな夢や目標を持つかによって、ライフイベントや必要資金が変わるため、ライフデザインはできるだけ明確化しておきましょう。
ライフイベント表を作成すると、いつまでに、いくらお金を準備しておくかという情報を整理できます。また、キャッシュフロー表を作成すると、「家計の収支」と「貯蓄残高の長期的な推移」を把握できるため、継続的な収支悪化の原因を解明して収支改善策を講じたり、目標達成に向けての対策を立てたりできるでしょう。
ライフプラン表の具体的な作り方については、次の記事で詳しく解説しています。この記事を参考にして、ぜひご自分のライフプラン表を作成してください。
実際の生活のなかでライフプランを活用するコツ
ライフプランは、作って終わりではありません。毎日の生活のなかで生かしてこそ意味があります。ここでは、ライフプランを作ったあと、実際の生活のなかで生かすコツについて解説します。
夢や目標をいつも意識する
ライフプランで設定した夢や目標が実現しないまま終わってしまうことがないように、毎日の生活のなかで常に夢や目標を意識しながら過ごすことが大切です。夢や目標を実現するために、定期的にライフイベント表、キャッシュフロー表を見直すと良いでしょう。
作成した表を見直すことで、何年後にどういったライフイベントがあり、どの程度のお金が必要で、現状の不足分をどのように備えるかについて考える契機になります。作業を通して、日頃から夢や目標を意識するようになれば、夢が目標となって実現しやすくなるでしょう。
働き方について考える
現在は定年を迎えたあとも、同じ職場での再雇用、パートタイマー、経験を生かして起業するなど、さまざまな働き方を選べます。定年後の就労形態は、その方の希望する条件や思い描くライフスタイル、また資産状況によって異なります。
仕事は単にお金を稼ぐ手段だけではなく、人とのつながりを保ち、生活にハリと活力をもたらす生き甲斐と言えるため、セカンドライフにおいても就労は重要なポイントになるでしょう。ライフプランを活用して老後資金を把握したうえで、自分にとって最適な働き方を選択できるように準備しておきましょう。
60歳以上になっても収入を得たい方、年を重ねて働くことに不安を持っている方は、こちらの記事で働き続けるポイントを紹介していますので、参考にしてみてください。
ライフプランを活用して充実したセカンドライフを
老後を迎える直前になってライフプランを作成するのではなく、できるだけ早い段階から準備しておくことにより、セカンドライフは充実したものになるはずです。
ライフプランは十人十色。少し手間はかかりますが、自分らしいライフイベント表やキャッシュフロー表を作成して、彩り豊かなセカンドライフを送る準備を始めてみてはいかがでしょうか。
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