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持ち家がなく、老後も賃貸で暮らすことを考えている人の中には、住まいに不安を感じる方もいるでしょう。
「高齢になると賃貸を借りにくい」といった話を耳にし、不安を強めている方も少なくありません。
ただし、持ち家がないからといって、老後に住まいの選択肢がなくなるわけではありません。一般の賃貸住宅に住み続けるほか、親族との同居や、高齢者向けの住宅へ住み替える方法もあります。
この記事では、持ち家がない場合に想定される住まいのリスクや、老後の主な5つの選択肢、事前に備えておきたいポイントについて解説します。
・持ち家がない人に考えられるリスク
・持ち家がない人の老後の暮らしの選択肢
・老後も安定して暮らすためのポイント
「老後に住む家がない」は本当?
「持ち家がないと、老後に住む家がない」といわれることがありますが、これは事実なのでしょうか。
まずは、シニア世代の持ち家所有率や、賃貸暮らしで入居を断られるケースについて確認していきましょう。
データ上ではシニア世代の多くが持ち家を所有している
画像出典:4 生活環境|令和7年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府
内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上の住宅所有状況は「持家(一戸建て)」が79.8%、「持家(分譲マンション等の集合住宅)」が3.2%です(※1)。
持ち家を所有している人が8割以上を占めており、65歳以上では持ち家で暮らしている人が多いことから、少なくともシニア世代全体で見ると、「老後に住む家がなくなる」という状況が広く生じているとはいいにくいでしょう。
ただし、持ち家がないまま老後を迎える場合は、賃貸住宅の入居審査や住み替えなど、持ち家世帯とは異なる課題に直面する可能性があります。
賃貸暮らしのシニア層は年齢を理由に入居を断られるケースも
持ち家を持たず賃貸住宅で暮らす高齢者に目を向けると、別の現実が見えてきます。
株式会社R65の2025年の調査によると、65歳以上のうち30.4%が、年齢を理由に賃貸物件への入居を断られた経験があります(※2)。2023年の同調査では26.8%だったことから、前回調査より割合が上昇しています(※3)。
背景としては、家賃滞納への懸念や、孤独死、事故、火災などへの不安、身元保証人を立てにくいことなどが挙げられます。
また、内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、20代〜50代では持ち家率が低下しており、若い世代ほど持ち家率が低い傾向も示されています(※1)。今後、賃貸のまま老後を迎える人が増えれば、高齢者の住まい探しはさらに身近な課題になる可能性があるでしょう。
持ち家がない場合に考えられる老後の住まいのリスク
老後に持ち家がない場合、以下のような住まいのリスクが考えられます。
- 賃貸契約が難しく住宅確保が困難になる
- 収入減少に伴い家賃負担が増大する可能性がある
- 賃貸はバリアフリー化に制限がある
一つずつ解説していきます。
賃貸契約が難しく住宅確保が困難になる
老後に持ち家がない場合、賃貸住宅を借りようとしても、年齢を理由に家主から断られるリスクがあります。
高齢者の賃貸契約が難しくなる主な理由は以下の通りです。
- 孤独死のリスク
- 身元保証人の不在
- 年金中心の収入による家賃滞納リスク
- 事故や火事への不安
とくに、収入が年金のみであったり、連帯保証人を立てられなかったりすると、家主側が慎重な判断をする可能性があります。万が一家賃を支払えなくなった場合に備えて「保証会社」を利用する方法もありますが、高齢者は審査が厳しいケースも少なくありません。
結果として、60代・70代になってから、建物の取り壊しや貸主の都合で住み替えを迫られた場合、新たな住まい探しに苦労するリスクもあるでしょう。
先にも触れたように、シニア世代の持ち家率は数字上は高いです。しかし、賃貸で暮らす人にとっては、老後の住まいを安定して確保すること自体が難しいのが現状です。
収入減少に伴い家賃負担が増大する可能性がある
総務省の家計調査「2025年(令和7年)家計の概要」によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、毎月の生活費が平均4万2,434円の赤字となる結果です(※4)。
画像出典:総務省「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」
一方、同調査の住居費を見ると消費支出の6.7%となっており、金額にすると1万7,739円にとどまっています。これは、持ち家世帯を含んだ平均値となっているため、金額が抑えられていると考えられます。
賃貸住宅に住む場合、実際の家賃は平均額の1万7,739円を大きく上回ることが多く、家計への影響はより深刻になるでしょう。
さらに、物価上昇や賃料の値上げなどが重なると、限られた年金収入の中で住居費を払い続けることが、老後の大きなリスクになる可能性もあります。
賃貸はバリアフリー化に制限がある
賃貸住宅では、老後に必要となるバリアフリー対応に制限があることもリスクの一つです。
加齢に伴い、手すりの設置や段差の解消が必要になることが多いですが、賃貸物件には原状回復義務があるため、入居者の判断で自由にリフォームすることは現実的ではありません。工事をする際にはオーナーの許可が必要となり、希望どおりの住環境を整えにくいケースも少なくありません。
また、老後はバリアフリーだけでなく生活導線も重要です。例えば、夜間のトイレ利用を考えると寝室との距離が近い方が安心ですが、賃貸では間取りの選択肢が限られがちです。
シニア向け賃貸住宅であれば対応しやすいですが、賃料が高い傾向があるため、予算に見合う物件を見つけるのが難しいケースも多いです。
持ち家がない人の老後の暮らしの選択肢
持ち家がない場合の老後の暮らしの選択肢として、主に以下の5つが挙げられます。
- 一般の賃貸住宅に住み続ける
- 親族(子どもや兄弟姉妹など)と同居
- 高齢者向け優良賃貸住宅に移り住む
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に移り住む
- リノベーション済みマンションを購入する
それぞれの選択肢のメリットや注意点を確認していきましょう。
一般の賃貸住宅に住み続ける
老後も一般の賃貸住宅に住み続けるという選択肢があります。持ち家と異なり、固定資産税の納付義務や大規模な修繕費が発生する負担がない点はメリットと言えるでしょう。
一方で先にも触れた通り、家賃の支払いが生涯にわたって続くため、家計を圧迫する可能性が高くなります。さらに、高齢になるにつれて入居審査が厳しくなるケースがあることに注意が必要です。
結果として、将来的に住まい探しが難しくなる可能性のあることは認識しておかなくてはなりません。
一般の賃貸住宅に住み続ける方法は、一定の収入や十分な貯蓄があるうえで、ライフスタイルに合わせて柔軟に住む場所を選びたい人に向いた選択肢といえます。
親族(子どもや兄弟姉妹など)と同居
子どもや兄弟姉妹など、親族と同居するのも一つの選択肢です。
核家族化が進んだ現代では同居は少数派ですが、住まいの負担を軽減できる点は大きなメリットと言えるでしょう。また、同居によって老後の孤独感を和らげられる可能性もあります。
一方で、生活リズムや価値観の違いから、子どもや兄弟姉妹との間でストレスや摩擦が生じることもあります。トラブルを防ぐには、あらかじめ生活ルールを決めておくことが重要です。
こうした背景から、近年は無理に同居せず、適度な距離を保つ「近居」を選ぶ人も増えています。家族との関係性に合った住まい方を検討することが大切です。
高齢者向け優良賃貸住宅に移り住む
高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)に住むのも、選択肢の一つです。高齢者向け優良賃貸住宅は、バリアフリーや手すりなどを設置した高齢者が住みやすい設計で、高齢を理由に入居を断られる心配が少ない住宅です。
自治体によっては、一定期間、家賃補助を受けられ自己負担を軽減できるところもあります。入居者に対する収入の最低基準がない場合もあり、年金収入だけの高齢者も入居しやすい点がメリットです。
ただし、申し込みには60歳以上で、保証委託契約制度か連帯保証人を選定する必要があります。
また、家賃は前年の世帯所得月額によって所得ランクが決まり、入居者の負担額が決定する仕組みです。そのため、収入が多い高齢者世帯の場合は補助が受けられないケースもあることに注意しましょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に移り住む
サービス付き高齢者向け住宅を選択するのも一つの方法です。サービス付き高齢者向け住宅は、生活相談を含め入居者の見守りサービスを実施している住居です(※5)。60歳以上、または要支援・要介護の認定を受けている人が入居できます。
日中は介護士や看護師などの専門家が常駐しているため、入浴の介護や食事の提供、健康管理などのサービスが受けられます。また、自立して生活したい高齢者にとって、生活の自由度が高いこともメリットです。
ただし、サ高住によってサービスは異なり、外出や外泊などのルールが定められておらず比較的自由度が高いケースもある一方、事前報告や門限といった制限がある場合もあります。
また、入居の際は賃貸契約が必要となり、審査が行われることに注意が必要です。
リノベーション済みマンションを購入する
老後の住まいを確保する方法として、リノベーション済みマンションを購入するという選択肢もあります。リノベーション済み物件は、内装や設備が一新されているケースが多く、前の居住者の使用感が気になりにくい点が特徴です。
バリアフリーを意識した設計や、シニア層でも暮らしやすい住環境が整えられている物件もあり、老後の住まいとして検討しやすいといえます。また、新築マンションと比べて価格を抑えやすいこともメリットの一つです。
すでに工事が終了しているため、契約から引き渡しまでの期間が短い傾向があり、即入居したい人でも利用しやすい選択肢といえます。
老後は移動の負担を減らすため、駅近や生活利便施設が整った立地を重視する人も少なくありません。リノベーション済みマンションであれば、比較的費用を抑えながら好立地の物件を選べる可能性があります。
東京ガスリノベーションでは、中古マンションを売主から直接買い取り、リノベーションを施したうえで販売する「買取再販」を行っています。老後の住まいの選択肢の一つとして、ぜひご検討ください。
持ち家がない人が老後に向けて備えておくべきポイント
持ち家がないまま老後を迎える場合、住居費を支払い続ける必要があるため、現役時代からの計画的な準備が不可欠です。早期に資金計画を立てることや、居住地域の家賃補助や公的支援を把握することで、住居費の支払い負担を軽減しましょう。
早めに資金計画・家計の見直しを行う
持ち家がなく老後も住居費がかかる場合、早い段階で資金計画や家計の見直しを行っておくことが重要です。老後の収入は年金が中心となり、大きくふえることは期待しにくい一方、医療費の増加などによって支出が膨らむ可能性があるためです。
住居費の支払いに困らないよう、老後に必要な生活費や貯蓄額、収入源を具体的にシミュレーションしておきましょう。
近年は老後資金として3,000万円以上(※6)が必要という試算もあり、年金だけでは生活費が不足するケースも少なくありません。低金利が続く中、すぐに使わない資金については、長期・分散・積立を意識した資産運用を検討するのも一つの選択肢といえます。
家賃補助や公的支援制度の活用を検討する
老後に持ち家がなく賃貸住宅で暮らす場合は、国や自治体からの家賃補助や支援制度を活用すると、住まいの不安や経済的負担を軽減できる可能性があります。
自治体によっては、高齢者や低所得者を対象とした家賃補助制度を設けており、毎月の家賃負担を抑えながら安定した住環境を確保することが可能です。例えば目黒区では、「高齢者世帯等居住継続家賃助成」として、所定の要件を満たした高齢者世帯に11〜14万円の家賃補助を行っています。
また、東京都では、家賃債務保証や見守りサービス、残置家財の整理支援などを組み合わせた居住支援制度を実施しています(※7)。
老後の住まいを考える際は、こうした公的制度も含めて早めに情報収集しておくことが大切です。
まとめ
持ち家がない場合でも、老後の住まいの選択肢がなくなるわけではありません。ただし、一般の賃貸住宅では年齢や収入面を理由に入居審査が厳しくなることがあり、老後に住まい探しで苦労する可能性はあります。
そのため、老後を迎えてから慌てて住まいを探すのではなく、どのような住まい方をしたいのかを早めに考え、準備しておくことが大切です。資金計画を立てることに加え、賃貸を続けるのか、高齢者向け住宅へ住み替えるのか、購入を視野に入れるのかなど、自分に合った選択肢を整理しておきましょう。
老後の住まいには、一般の賃貸住宅に住み続ける方法のほか、高齢者向け優良賃貸住宅やサービス付き高齢者向け住宅への住み替え、親族との同居、マンション購入など、さまざまな選択肢があります。
その一つとして、リノベーション済みマンションを購入する方法もあります。東京ガスリノベーションでは、中古マンションを活用した買取再販を行っています。自分のライフスタイルに合った住まいを考えるうえで、選択肢の一つとしてぜひ検討してみてください。
(※1)4 生活環境|令和7年版高齢社会白書(全体版) – 内閣府
(※2)高齢者の約3人に1人が年齢を理由に入居拒否を経験。直近1年で「部屋探しに苦労した高齢者」は6割以上に。【高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2025年)】 | 株式会社R65のプレスリリース
(※3)年齢を理由とした賃貸住宅への入居拒否を経験。収入による差はなし。【高齢者の住宅難民問題に関する実態調査(2023年)】
(※4)総務省「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」
(※5)厚生労働省|サービス付き高齢者向け住宅について
(※6)事務局説明資料(人生100年時代における資産形成)
(※7)高齢者のための入居・居住の支援|東京都住宅政策本部
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