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子どもの独立や定年退職などをきっかけに、将来に備えてマンションの住み替えを検討する方は多いでしょう。
住み替えは、場合により家の売却と購入の手続きをほぼ同時に行う必要があります。しかし、仲介による売却では「予定通りに売却できず、住み替えができない」などのトラブルが起こりがちです。
住み替えをスムーズに進めるには、売却で起こりうるリスクを把握して、事前にできる対策を講じることが大切です。
今回は、住み替えでマンションが売れない場合に生じるリスクと、売れない理由、対処法について解説します。
住み替えでマンションが売れない場合に生じるリスクとは?
マンションの住み替え方法には大きく分けて「売り先行」と「買い先行」の2つがあり、それぞれ次に紹介するようなリスクが伴います。
売り先行の住み替えで生じるリスク
売り先行とは、今住んでいるマンションを売却した後に新居を購入する住み替え方法です。先に売却代金が手元に入るため、新居購入の資金計画を立てやすいほか、売却活動に時間をかけられます。
一方で、売り先行の住み替えでマンションが売れないと、以下のようなリスクが生じることがあります。
- 売却が済むまで購入活動が進められない
- 内覧の対応を意識しながら生活しなければならない
売り先行で住み替えをする場合、今の家が売れるまでは新居を購入できないので、思った通りには購入活動を進められません。理想の物件が見つかった場合、買い先行の住み替えに変更するか、購入資金の状況によってはあきらめなければならない場合もあるでしょう。
また、マンションの売却では、物件の特性や市場の状況によって異なりますが成約までにだいたい5~10回程度の一般の購入希望者に対する内覧を経て成約に至ることもあります。売り先行の場合、一般的に今の家で生活しながら売却活動を行うため、内覧の予約が入るたびに掃除などの「見栄えをよくする」ための作業が発生します。マンションが売れるまで、こうした対応が必要になるため、生活を送るうえで負担となってしまうことがあります。
買い先行の住み替えで生じるリスク
買い先行とは、先に新居を購入してから今住んでいるマンションを売却する住み替え方法です。仮住まいが不要で、納得できるまで時間をかけて新居を探せます。空き家の状態で売るため、売却しやすいのもメリットです。
一方で、買い先行には以下のようなリスクもあります。
- 旧居の住宅ローンや修繕積立金などの支払いが続く
- 売却期間が長期化すると、管理状態が悪くなる可能性がある
旧居の住宅ローンが残っている場合、新居のローンと返済が重なる「ダブルローン」の状態になります。旧居を売却するまではマンション管理組合に支払う管理費・修繕積立金の支払いも続くため、売却期間が長期化するほど経済的な負担は大きくなるでしょう。
また、売却期間が長期化すると、住んでいる新居と別の場所にある旧居の管理が行き届かなくなることも考えられます。小まめな清掃、換気をしていないなど、管理状態が悪いと室内が劣化し、資産価値の低下にもつながります。この状態では、当然ながらますます買い手を見つけるのが難しくなってしまいます。
マンションが売れない4つの理由と対処法
上記のような事態は絶対に避けたいものですが、買い手を見つけるうえでは、誰しもに起こり得るリスクです。
このリスクを最小限にするため、まずは売れない状況は何故生じるのかを説明していきます。
マンションが売れない場合に考えられる主な理由は以下の4つです。
- 相場よりも売却価格の設定が高い
- 内覧時の対応が適切でない
- 不動産会社に実力がない
- 築年数や立地などの条件が悪い
ここでは、それぞれの内容と対処法について解説します。
相場よりも売却価格の設定が高い
マンションが売れない理由として最初に考えられるのは、相場より売却価格の設定が高いことです。
購入希望者は、条件が似ている多くの物件を比較したうえで内覧する物件を決めます。相場より売却価格の設定が高いと、内覧前に購入候補から外されてしまいます。
売却活動を始めても問い合わせがない場合は、マンションの売却相場を確認し、必要に応じて売却価格を下げることも検討しましょう。
内覧時の対応が適切でない
内覧の予約は入っても成約に至らない場合は、内覧時の対応が適切でない可能性があります。
購入希望者にとって、内覧は物件を購入するか判断する重要な時間です。そのため、マンションが売れるかどうかは、内覧時の印象や納得感に左右される部分があります。
購入希望者に好印象を持ってもらえるように、以下をあらためて意識してみましょう。
- 部屋や水回りはきれいに掃除されているか
- 内覧者の疑問に対して適切かつ誠実に答えられているか
- 悪いところも含めて事実を正直に伝えられているか
不動産会社が適切でない
限られた期間でマンションを売却できるかどうかは、不動産会社の力量にも左右されます。不動産会社によって、得意とするエリアや物件種別は異なり、営業力にも差があるからです。
また、不動産会社は販売状況を見て、売主とコミュニケーションをとって価格設定やアピール戦略を調整していく役割もあります。
なかなか買主が現れず、不動産会社に相談しても納得がいく説明をしてくれない場合は、思い切って別の不動産会社への切り替えも検討しましょう。
築年数や立地などの条件が悪い
築年数や立地などの条件が悪いことも、マンションが売れない理由の1つです。
築年数が経過したマンションは、新築物件に比べると売れにくい傾向にあります。とくに1981年以前に建てられた物件は新耐震基準を満たしていないことがほとんどであるため、買い手がつきにくいのが現状です。場合によっては、今後の長期修繕計画の提示、ホームインスペクション(住宅診断)の実施などを視野に入れましょう。
また、マンションの価値は立地にも大きく影響を受けます。交通アクセスが悪く、周辺施設が充実していない物件は、どうしても売れにくくなってしまいます。立地については対策のしようがない部分がありますが、しっかりと周辺調査を行うことで、適切な価格を設定することが重要になります。
住み替えでマンションが売れないときは「買取」による売却を検討
さまざまな対策を試みたものの、住み替えでマンションが売れない場合は「買取」による売却を検討しましょう。
買取とは、買取業者(不動産会社)に直接物件を買い取ってもらう方法です。仲介で買主が見つからなかった場合でも、買取業者にマンションを買い取ってもらうことで、売却活動が長期化するリスクを回避できます。
買取は買主を探す時間が不要になるうえ、査定価格に納得できれば仲介よりも早く売却できる可能性があります。状況にもよりますが、売却終了までの期間は最短2週間、平均1か月程度です。
一方で、買取業者は、買い取ったマンションをリフォームして新たに売り出すことを想定しているため、買取価格は売却相場よりやや低くなる傾向があります。
価格は低くなってしまうものの、スケジュール通りの進行をしたいと思っている場合は、住み替えでマンションが売れないときに備えて、買取業者に声をかけて早めに検討しておいてもよいでしょう。
マンション買取の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。
今からできる事前準備!「買取査定」の実施
買取査定とは、仲介のように一般の購入希望者が「買うであろう価格」ではなく、所有中の不動産を「買取業者がいくらで買い取るか」を査定することです。買主が明確であり精度の高い売却価格がわかるため、住み替え時の資金計画が立てやすくなります。
住み替えの資金繰りは今後の暮らしに大きく影響します。確実に売却をしていくため、買取査定を受けておきましょう。
「売れなかった場合」も考慮した住み替えの計画を立てよう
仲介による売却でマンションが思うように売れない場合は、売却価格の設定や内覧時の対応、不動産会社などを見直してみましょう。それでも売れなかったときのことを視野に入れて、買取の選択肢を検討しておくのも有効です。
マンションの住み替えでは、計画通りに手続きが進まない可能性もあります。とくに家の売却は資金計画に大きな影響を与えるため、事前に対策を講じておきましょう。
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