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近年、老後を「おひとりさま」で過ごす方が増えています。
高齢者の一人暮らしは、自由がある一方で、「身寄りがないと入院を断られてしまうのでは?」と不安を抱く方も少なくありません。
この記事では、身寄りのない独身の方が入院する方法や、事前に備えておくべきことなどについて解説します。
あわせて、病院が身元保証人を求める背景、いざという時に相談できる窓口、現実的な解決策についても、網羅的に見ていきましょう。
・身寄りなしの独身でも入院できるのか
・身寄りなしの独身が入院時に困ったときの相談先
・身寄りなしの独身が入院時に困ったときの対処法
身寄りなし・独身の場合には入院できる?
入院が必要になった時、独身で身寄りがない方でも入院することは不可能ではありません。
ただし、多くの病院では入院時に身元保証人を求めるため、手続きが進みにくいのが実情です。
ここでは、独身で身寄りがない方に対して病院が実際に取っている対応や、身元保証人を求める背景、代替手段などについて解説します。
身寄りがない場合の病院側の対応
総務省の「高齢者の身元保証に関する調査」(※1)によると、入院や施設への入所の際、9割以上の病院が身元保証人を求めています。
独身で身寄りがなく、身元保証人のいない場合の病院側の対応とその割合は以下の通りです。
| 現状の対応方法 | 割合 |
|---|---|
| 個別に対応 | 77.1% |
| 入院を断る | 5.9% |
| 身元保証会社を紹介 | 6.8% |
| 身寄りがないまま入院 | 4.9% |
| 入院前に保証金を預かる | 1.7% |
| 成年後見制度の利用を促す | 1.5% |
| その他 | 6.6% |
個別に対応している病院が多いものの、入院を断ったり保証金を預かったりするなどの対応を求める病院もあります。
原則として病院側は、医師法第19条によって治療を拒むことはできません(※2)。しかし、独身で身寄りがない場合、状況によってはスムーズに入院できない可能性があると認識しておきましょう。
入院時に身元保証人を求められる理由
総務省の「高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機)(※3)」によると、医療機関が身元保証人を求める理由として、以下の6つが挙げられます。
- 緊急時の連絡先確保のため
- 入院・治療に関する確認のため
- 入院中に必要な物品を準備してもらうため
- 入院費用の支払い保証のため
- 退院後に必要となる支援のため
- 死亡時の遺体・遺品引取と葬儀準備のため
1.緊急時の連絡先確保のため
病院が入院時に身元保証人を求める主な理由の一つが、緊急連絡先の確保です。容態が急変したときや、問題行動があったときに、連絡する相手が必要です。
たとえば、以下のようなケースが想定されます。
- 手術中に容態が急変した
- 他の患者とトラブルになった
入院中は、予期せぬ事態が起こる可能性があります。病院側がすべて対応できればよいですが、人員不足などの理由から難しいケースもあるでしょう。そのような場合に備え、適切な対応ができる身元保証人を求めているのです。
2.入院・治療に関する確認のため
入院や治療に関して確認を取る相手として、身元保証人が求められる場合もあります。
病院は医療法第6条の4によって、入院や治療に関する計画を、本人だけでなく家族にも説明する義務を負っています(※4)。しかし、家族がいない場合や、家族が説明を受けられない場合は、身元保証人に説明義務を果たすのが一般的です。
患者が正確に状況を理解できていなかったり、判断能力の低下で意思表示ができなかったりする場合などは、身元保証人が患者の入院生活や治療内容の理解をサポートする役割を担うことになります。
3.入院中に必要な物品を準備してもらうため
入院に必要なものを用意してもらうために、身元保証人が求められることもあります。
入院にはパジャマや下着、洗面用具などの日用品が必要ですが、患者の状況によっては自分で準備することが難しい場合があります。そうした際、代わりに準備をしてもらうために、身元保証人が求められることもあります。
なお、近年は日用品のレンタルサービスや売店を備えた病院も増えているため、事前に確認しておくと安心です(※5)。
4.入院費用の支払い保証のため
入院費用の支払いを確保するために、身元保証人が求められることもあります。
患者本人が入院費用を支払えなくなるケースは、一定数存在するのが実情です。入院費が未払いになると、病院の経営に影響を及ぼします。
厚生労働省の調査によると、1病院あたりの平均未収金額は119万円(令和3年11月時点)にのぼります(※6)。もちろん、これらの未収金がすべて身寄りのない人のものとは限りませんが、未収金の存在は病院にとって大きな負担です。
身元保証人がいれば、患者本人が費用を支払えない場合に、事情の確認や支払いの協力を求められます。これにより、病院は未払いのリスクを避けることが可能になります。
5.退院後に必要となる支援のため
退院後の生活をサポートするために、身元保証人が求められることもあります。
退院してから、すぐに自分で日常生活を送れる場合は問題ありませんが、介護施設やリハビリ施設の利用が必要となるケースも少なくありません。
適切な生活支援や、施設への入所や通院が必要になった場合、病院は身元保証人に説明し、支援を依頼できます。
入院時だけでなく、患者が退院したあとの健康や生活を守るための手段として、病院は身元保証人を求めるケースがあるということです。
6.死亡時の遺体・遺品引取と葬儀準備のため
入院し、治療を行っても、状況によっては死亡してしまうケースもあります。その際の遺体と遺品の引き取り先として身元保証人が求められます。
家族がいればスムーズに引き取ってもらいやすいですが、独身で身寄りのない患者の場合、身元保証人が代わりに対応することが多いです。
病院には遺体安置室があるとはいえ、数に限りがあります。速やかに遺体を引き取ってもらう手段を確保することも、病院側のリスクを軽減するために欠かせないことです。
身寄りなしの独身が入院時に困ったときの相談先
独身で身寄りなしの方が入院を検討する際の相談先としては、主に次の2つがあります。
- 医療ソーシャルワーカー
- 地域包括支援センター
それぞれの支援内容や、利用する際の注意点について確認していきましょう。
医療ソーシャルワーカー

引用元:公益社団法人 日本医療ソーシャルワーカー協会|業務内容
独身で身寄りがない方が入院や治療で困ったときは、医療ソーシャルワーカーに相談する方法があります。医療ソーシャルワーカーとは、患者やその家族の経済的・心理的・社会的な問題解決に向けた支援を行うソーシャルワーカーのことです。
医療ソーシャルワーカーの主な役割は、次の6つです。
- 療養中の心理・社会的問題の解決と調整の援助
- 退院時の援助
- 社会復帰の援助
- 受診や受療の援助
- 経済的な問題の解決や調整援助
- 地域活動
治療に関わる相談や援助だけでなく、退院してから社会復帰するまでなど、経済的・精神的に支えながら適切な対応方法をアドバイスしてくれます。
多くの医療機関には医療ソーシャルワーカーが在籍しているため、必要に応じて相談してみるとよいでしょう。
ただし、医療ソーシャルワーカーはあくまでも相談や調整を行う専門職であり、医療行為の同意や支払い費用の保証をする身元保証人になれない点に注意が必要です。
地域包括支援センター
地域包括支援センターも、独身で身寄りがない方の相談先の一つです。
地域包括支援センターは、自治体が主体となり、主にその地域に住んでいる65歳以上の高齢者の生活安定に必要なサポートを行っている施設です。ケアマネージャーや社会福祉士、保健師などと連携し、幅広い支援を展開しています。
身寄りのない独身の方も、成年後見制度の促進や高齢者の介護予防支援などの相談が可能です。身元保証人がおらず入院で困ったときに地域包括支援センターで相談すると、対応できる機関や制度を紹介してもらえます。
ただし、地域包括支援センターは、問題を直接解決するところではありません。あくまでも、状況に応じた適切な窓口や支援につなぐのが主な役割です。
また、相談は無料ですが、紹介された先の機関や民間のサービス(身元保証サービスなど)を利用する場合には、それぞれの費用が別途発生することも覚えておきましょう。
身寄りなしの独身が入院時に困ったときの対処法
医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センター以外にも、身寄りのない独身の方が入院の際に困った場合に支援を受ける方法があります。
- 親戚や友人に依頼
- 成年後見制度
- 身元保証サービス
一つずつ解説していきます。
親戚や友人に依頼
身寄りのない独身の方が入院時に身元保証人を求められて困ったとき、まず考えられるのが、親戚や友人・知人といった、面識があり信頼できる人です。気心の知れた間柄であれば、いざというときに依頼しやすいでしょう。
ただし、身元保証人には入院費用の支払い保証を求められるのが一般的なため、収入があり、支払能力のある人からしか選べません。また、入院費用が支払えなかった場合など、代わりに支払ってもらうことになるため、これまでの関係にヒビが入ってしまう可能性があります。
身元保証人を依頼する人との関係性や、依頼する内容や範囲などを相手にしっかり伝えることが重要です。
成年後見制度
成年後見制度とは、本人の判断力が低下した際に、後見人が適切な支援を行うことで、本人の権利を守る制度です。
判断能力が低下したあとに家庭裁判所が後見人を選任する「法定後見制度」と、判断能力が十分なうちにあらかじめ契約を結び、将来必要になったときに効力が発生する「任意後見制度」の2つがあります。
法定後見は、すでに判断能力が低下している人を支援するために開始される制度で、任意後見は「まだ判断できる今のうち」に将来の備えとして契約できる制度です。
成年後見制度を利用すれば、入院や治療の説明を受ける際にも後見人に同席してもらい、適切な判断で医師との話を進められます。また、退院後の介護・福祉サービスの利用契約や財産管理なども依頼できるため、高齢で認知機能の衰えが気になる方にとって心強い制度と言えるでしょう。
ただし、成年後見制度では医療に関わる同意はできません。対応できるのは、入院契約の締結や介護・福祉サービスの利用契約などにとどまることを覚えておきましょう。
身元保証サービス
「親戚や友人には頼りづらい・頼れない」「成年後見制度だけでは不安」といった方もいるでしょう。そういった悩みを解決できるのが、民間の専門会社が提供する「身元保証サービス」です。
身元保証サービスは、入院時の手続きから緊急時の駆けつけ、退院後の生活支援まで包括的なサポートを行います。なお、身元保証だけでなく、見守りサポートや死後の事務支援まで依頼できる所もあるなど、具体的なサービス内容は企業によってさまざまです。
東京ガスが提携しているファミトラが提供する「みもとら」では、入院時に必須となる身元保証や、医療契約の手続き支援といった基本的なサポートを提供しています。その上で、希望に応じて安否確認のための定期訪問といった生活支援や、亡くなったあとの各種手続きを代行する死後事務などをオプションとして追加することも可能です。
ニーズに合わせてプランを選べるため、一人ひとりに最適なサービスを提供できる仕組みとなっています。独身で身寄りがなく入院時の身元保証人で困ったときは、ぜひ「みもとら」に相談してみてください。
まとめ
身寄りのない独身の方が入院する際は、身元保証人の確保で悩むケースが少なくありません。病院は、医療提供を拒むことはできないものの、9割以上が入院には身元保証人を求めているのが実情です。
独身で身寄りがなく、身元保証人で困ったときは、医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談する方法があります。ただし、どちらも身元保証人が担う役割すべてを果たせるわけではありません。
入院時の身元保証で悩んだときは、身元保証サービスの利用を検討してみましょう。
身元保証サービスの利用を検討するなら、「みもとら」がおすすめです。みもとらでは、入院時に不可欠な身元保証や医療契約の手続き支援、医療同意書の代理作成、治療方針の決定支援といった包括的な身元保証支援を受けられます。
さらに、安否確認の定期訪問や日常生活の支援、死後の事務支援もオプションで利用できます。
入院時だけでなく、退院後も安心できるサービスを提供しているため、ぜひ一度相談してみましょう。
(※1)出典元:総務省 高齢者の身元保証に関する調査 調査結果「表1-①」
(※2)出典元:e-GOV 医師法 第五章 第十九条
(※3)出典元:総務省 高齢者の身元保証に関する調査(行政相談契機)
(※4)出典元:e-GOV 医療法第六条の四
(※5)出典元:総務省 身寄りのない高齢者の入院、入所に係る支援の取組事例集
(※6)出典元:厚生労働省 令和3年 医療施設経営安定化推進事業 病院経営管理指標及び医療施設における未収金の実態に関する調査研究
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