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「空き家を活用して解体費用を節約したい」「具体的な活用方法を知りたい」とお悩みの方もいるでしょう。
空き家は、建物の特徴や立地、地域のニーズによって、宿泊施設・飲食店・ワークスペースなど、さまざまな形で活用できます。この記事では、全国の空き家活用の成功事例を用途別に紹介します。
・用途別の空き家活用の成功事例
・空き家活用のポイント
・改修費用・管理負担が大きい場合の選択肢
【用途別】空き家活用の成功事例16選
ここでは、実際に空き家を再生した事例を、以下の5つのカテゴリに分けて紹介します。
- 宿泊施設・移住体験施設
- 飲食店・商業店舗
- ワークスペース・サテライトオフィス
- 多目的シェアスペース
- 居住用住宅・地域コミュニティ
宿泊施設・移住体験施設への活用事例
観光地や歴史ある街並みの近くに立つ空き家、あるいは古民家としての風情が残る建物は、宿泊施設や移住体験施設など、地域の暮らし・文化を体験できる施設として再生されるケースがあります。代表的な事例をいくつか見ていきましょう。
栃木県栃木市:移住体験施設「蔵の街やどかりの家」など
栃木県栃木市では、長期間空き家となっていた古民家や蔵を、「蔵の街やどかりの家」や「IJUテラス蔵人館」といった移住体験宿泊施設として整備しました(※1)。
「蔵の街やどかりの家」は、9年間空き家だった昭和25年築の住宅を改修した施設です。移住や二地域居住を検討している人が、まちなかでの暮らしや地域の雰囲気を実際に体験できる場として活用された事例です。
長野県松本市:宿泊施設「Satoyama Villa 本陣」
長野県松本市では、約10年間空き家となっていた旧本陣小澤家の建物を、宿泊施設「Satoyama Villa 本陣」として再生しました(※2)。
旧本陣小澤家は、かつて松本藩主なども利用した旧江戸街道の宿場・保福寺宿に立つ建物で、国の登録有形文化財にも登録されています。歴史的な建築の趣を残しながら再生され、地域の文化や景観を体験できる滞在拠点として活用されています。歴史的な建物の価値を残しながら、滞在拠点として再生している点が特徴です。
沖縄県嘉手納町:「お試し居住」用宿泊施設
沖縄県嘉手納町では、既存の空き家を移住希望者向けの「お試し居住」用宿泊施設として提供する社会実験が実施されました(※3)。
町域の約8割を米軍基地が占め、新たな住宅・宅地の確保が難しい事情があるなか、空き家を移住・定住促進に活かす事業の仕組みを検討した取り組みです。マリンスポーツの観光メニューや職業体験もあわせて用意し、町での滞在体験をとおして、定住促進を図りました。住宅用地の確保が難しい地域でも、既存の空き家を移住・定住促進に活かせることを示しています。
沖縄県与那国町:古民家を活用した定住促進住宅
沖縄県与那国町では、独自に工夫された建築技術や工法で建てられた古民家を地域資源として捉え、移住・定住促進のための住宅として活用しています(※3)。
町では「与那国町古民家及び空き家再生事業計画」や「与那国町古民家活用型定住促進モデル実施計画」を策定し、古民家を改修・活用した定住者向け住宅の整備を進めました。古い建築技術と現代の建築技術を融合させることで、Iターン者が島内で移住・定住を体験できる住宅の提供を行っています。
離島ならではの建築文化や景観を活かしながら、移住希望者が島での暮らしを体験できる住まいとして整備した事例です。
飲食店・商業店舗への活用事例
人通りのある立地や地域住民が集まりやすい場所に位置する空き家は、飲食店や商業店舗、レンタルスペースとして活用できる可能性があります。地域のにぎわいづくりにつなげた事例を見ていきましょう。
岡山県瀬戸内市:複合施設「牛窓クラフトコンプレックス」
岡山県瀬戸内市では、約20年間空き家となっていた旧歯科医院を、複合施設「牛窓クラフトコンプレックス」として再生しました(※4)。現在はカフェやアクセサリー店、住居などが入る多目的な施設として、地域に新たなにぎわいを生んでいます。
建物は築70〜80年ほどで、残置物が多く傷みも進んでいましたが、有志やボランティアの協力を得ながら片付けや柱の補強などを進めました。状態の悪い空き家でも、地域の協力があれば再生できることを示す事例です。
滋賀県愛荘町:飲食店・コミュニティキッチン「まちのキッチンMACHI KICHI」
滋賀県愛荘町では、空き家を飲食店・コミュニティキッチン「まちのキッチンMACHI KICHI」として活用しています(※5)。地域おこし協力隊の活動を通じて空き家の購入・改修が行われ、地元食材を使った弁当販売や低価格のレンタルスペースとして運営されています。
手打ちそば店の営業やワークショップなどにも使われており、飲食をきっかけに地域住民の交流や小さな起業を後押しする場となっています。地域おこし協力隊の活動が、空き家の再生と地域交流の場づくりにつながっています。
和歌山県和歌山市:商店街の交流拠点「週末のイエティ」
和歌山県和歌山市では、にぎわいが低下していた北ぶらくり丁商店街の空き家を、交流拠点「週末のイエティ」として再生しました(※5)。
ポップアップショップや学習利用、英語教室、シルクスクリーン体験などに利用できるレンタルスペースとして運営されています。商店街の入口という立地に、人が立ち入りやすい拠点を構えることで、商店街全体の雰囲気改善やにぎわい創出につなげた事例です。
ワークスペース・サテライトオフィスへの活用事例
観光や自然環境など滞在ニーズのある地域では、空き家がワークスペースやサテライトオフィスとして活用されるケースもあります。働く場として再生することで、地域外の人や企業との新たな接点を生み出した事例を見ていきましょう。
徳島県神山町:空き家を活用したサテライトオフィス
徳島県神山町では、空き家となっていた建物をサテライトオフィスやコワーキングスペースとして活用しています。築100年以上の家屋を改修した「ブルーベアオフィス神山」(※6)や、元縫製工場をリノベーションした「神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス」(※7)などがその代表例です。
IT企業やクリエイターが地域に拠点を構えるきっかけとなり、地方移住や関係人口の増加にもつながっています。
山梨県富士吉田市:「まるサテ」構想・ドットワークPlus
山梨県富士吉田市では、市内の空きスペースや店舗・宿泊施設などをワークスペースとして活用する「まるごとサテライトオフィス構想」に取り組んでいます(※8)。市内約40か所にワークスペース提携施設を用意し、観光とテレワークを組み合わせながら地域と関われる仕組みを整えました。
中核施設の「ドットワークPlus」では交流会も開かれており、空き店舗のオーナーと出店希望者のマッチングにも発展しています。点在する空き家や空き店舗を、まち全体のワークスペースとして活かしている点が特徴です。
多目的シェアスペースへの活用事例
広さや間取りに余裕のある空き家は、シェアスペースやレンタルスペースとして再生されることがあります。店舗、イベント、子育て支援、地域交流など複数の用途を組み合わせて活用した事例を紹介します。
神奈川県二宮町:シェアスペース「ハジマリ」
神奈川県二宮町では、空き家をセルフリノベーションして、シェアハウスやチャレンジショップとして活用する「ハジマリ」の取り組みが実施されました(※9)。1日単位・1週間単位で借りられるポップアップキッチンがあり、子育て中の人や起業に挑戦したい人が無理のない範囲で自分のお店を開ける点が特徴です。
カフェやレンタルスペース、イベント会場などとして利用され、地域内外の人が集まる拠点として機能しています。
愛媛県八幡浜市:複合型コワーキングスペース「コダテル」
愛媛県八幡浜市では、空き家だった民家をリノベーションし、複合型コワーキングスペース「コダテル」として活用しています(※9)。コワーキングスペースとしての機能に加え、学びの場、交流スペース、宿泊機能も備えた複合的な拠点です。
地元の人から市外の訪問者まで幅広い層が利用しており、働く・学ぶ・交流するという複数の目的を一つの空き家で実現した事例といえます。
宮城県気仙沼市:子育てシェアスペース「Omusubi」
宮城県気仙沼市では、空き家を改修して子育てシェアスペース「Omusubi」として活用しています(※9)。
一時預かり専門の託児所、託児付きコワーキングスペース、女性専用シェアハウスという3つの機能を備えています。子育て中の女性の、仕事や求職活動、地域活動を支える拠点として再生した事例です。
居住用住宅・地域コミュニティへの活用事例
住宅として活用できる状態の空き家や、地域住民が集まりやすい立地の建物は、移住者向け住宅や地域の交流拠点として再生されるケースがあります。暮らしや地域活動を支える場として生まれ変わった事例を紹介します。
宮城県名取市:せり農家の農家住宅・農作業スペース
宮城県名取市では、新規就農者とその家族のための住宅として、市内の空き家を活用しました(※9)。特産品である仙台せりの生産量増加と、一次産業の担い手不足解消が目的です。空き家活用と地域農業の担い手確保を同時に実現しています。
山形県上山市:デザイン性を高めた子育て世帯向け住宅
山形県上山市では、山形県・上山市・東北芸術工科大学・山形県すまい・まちづくり公社が連携し、空き家を子育て世帯向け住宅として再生しました(※9)。市が掘り起こした空き家を公社が買い取り、芸術工科大学の知見を活かしたリノベーションを実施しています。
デザイン性と住みやすさを高めた住宅として販売することで、空き家の利活用と子育て世帯の住まい確保を両立させた事例です。行政・大学・公的機関の連携が鍵となっています。
福岡県北九州市:相談窓口「石坂BASE」
福岡県北九州市では、空き家を改修して不動産相談窓口を備えた「石坂BASE」として活用しています(※10)。空き家の早期把握や、生活困窮者など住まいに関するニーズとのマッチングを促す拠点として整備された施設です。
さらに、建築を学ぶ学生の実践フィールドや地域住民が交流するコミュニティスペースとしても使われています。一つの空き家が複数の社会課題の解決につながっている点が注目されます。
岡山県瀬戸内市:旧食堂を再生した集会所
岡山県瀬戸内市では、約20年間空き家となっていた築約80年の旧食堂を、地域の集会所として再生しました(※4)。医療生活協同組合の集会所や近隣の子どもたちが通う書道教室の会場として利用され、年間約1,000人が訪れる地域の交流スペースとなっています。
当初、台風による被害もあり、所有者は活用に消極的でしたが、仲介者が状況を丁寧に確認し、計画を説明することで活用の合意につながりました。
成功事例から見る空き家活用のポイント
空き家活用の成功事例には、いくつか共通するポイントがあります。
- 建物の状態や特徴に合わせて活用方法を選ぶ
- 利用者のニーズに合う用途を考える
- 自治体や公的機関のサポートを活用する
建物の状態や特徴に合わせて活用方法を選ぶ
空き家を活用する際は、まず建物の状態や広さ、間取り、外観、庭や納屋の有無などを確認し、その特徴に合った活用方法を選ぶことが出発点になります。
今回紹介した事例でも、歴史ある古民家を宿泊施設や移住体験施設として再生したり、広さのある建物をシェアスペースやコワーキングスペースとして活用したりするケースが見られました。住宅として使いやすい間取りの空き家であれば、移住者向けや子育て世帯向けの住宅として活用できる可能性もあります。
空き家というと、まず売却や賃貸を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし建物の特徴によっては、宿泊施設・飲食店・ワークスペース・シェアスペース・地域の交流拠点など、さまざまな活用方法を検討できます。「この建物は何に使いやすいか」という視点で考えてみると、想定外の選択肢が見えてくる可能性があります。
利用者のニーズに合う用途を考える
空き家活用では、所有者がどのように使いたいかという意向とあわせて、実際に利用する人のニーズに合っているかどうかも大切な視点です。
地域ごとに求められているものは異なります。移住希望者が多い地域であればお試し居住施設や移住体験住宅、観光客が訪れる地域であれば古民家宿やカフェ、起業に挑戦したい人が多い地域であればポップアップショップやレンタルキッチン、子育て中の人が集まりやすい場所が必要とされている地域であれば託児付きのシェアスペースなど、地域の状況に応じた活用方法が考えられます。
「誰に使ってもらうのか」「どのような困りごとを解決できるのか」を整理しておくと、活用後の利用イメージが具体化しやすくなります。周辺にどのような人がいて、どのような場が求められているかを事前に確認しておくことが、活用の成否を左右するでしょう。
自治体や公的機関のサポートを活用する
空き家の活用には、片付けや改修、利用者探し、運営体制づくりなど、所有者だけでは対応が難しい工程も少なくありません。今回紹介した事例の中にも、自治体の移住促進事業や空き家バンク、地域おこし協力隊、地域団体、公的機関などが関わることで活用が実現したものが多くあります。
所有者だけで活用方法を決めようとすると、費用面や運営面の不安が大きくなりがちです。外部のサポートを受けることで、活用の選択肢が広がり、無理のないペースで進めやすくなります。まずは自治体の相談窓口や空き家バンク、補助制度などを調べるところから始めてみると良いでしょう。
まとめ
空き家は、宿泊施設や飲食店、ワークスペース、シェアスペース、住居、地域の交流拠点など、さまざまな形で活用されています。今回紹介した事例のように、建物の特徴や地域のニーズをうまく活かすことで、空き家が新たな人の流れや活動を生む場所に変わるケースも少なくありません。
自分の空き家にどのような活用方法が合うかは、立地や建物の状態、改修にかけられる費用、所有者の意向などによって異なります。まずは今回の事例を参考に、自分の空き家に合いそうな活用方法を整理してみることから始めてみましょう。
活用方法を検討するなかで、老朽化が進んでいる場合や、改修費用・管理負担が大きい場合は、解体も選択肢の一つです。クラッソーネでは空き家の一括解体見積もりに特化したサービスを提供しているほか、空き家活用に関する相談にも対応しています。活用と解体、どちらの方向で進めるか迷っている場合は、専門家に相談しながら自分に合った進め方を考えてみてください。
(※1)蔵の街 やどかりの家|おためし住宅|栃木県移住・定住促進サイト
(※2)Satoyama villa HONJIN | 扉グループホールディングス
(※3)沖縄県空家等利活用事例集
(※4)空き家活用 事例集 瀬戸内市移住交流促進協議会
(※5)近畿管内における空き家活用事例
(※6)サテライトオフィスの成功を目指して~徳島県神山町~|田舎暮らし特集|ニッポン移住・交流ナビ JOIN – 田舎暮らしを応援します –
(※7)神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス | イン神山|神山町のいまを伝える
(※8)富⼠吉⽥市 地域振興・移住定住課 委託企業:キャップクラウド株式会社
(※9)名取市空き家活用事例集
(※10)一般社団法人北九州未来づくりラボ
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